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まだ始めていないの? 手軽に始めるグループウェア活用術IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

» 2015年12月07日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]
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 ここからは、グループウェア未導入企業の参考となるような使い方をするユーザー企業の例を見ていこう。

企業を越えたプロジェクト単位で、期間限定でグループウェアを利用

 これは建設会社が工事の案件単位でサービスの利用を申し込み、そのプロジェクトが完了した段階で利用を終了するという使い方だ。建設現場ではさまざまな工事業者が働いているが、会社をまたいで関係するプロジェクトメンバーをユーザー登録し、スケジュール管理やデータのやりとり、連絡事項の共有などをグループウェア上で行うのである。

 工事期間も決まっているため、その間だけサービスを使い、工事が終了すれば利用を停止すればいい。クラウドサービスなので、事務所内のPCからだけでなく、工事現場のスマートフォンやタブレット端末からも利用することが可能だ。まさにクラウド型グループウェアならではの使い方である。

 こうした利用方法は、何も建設現場だけに限定されるものではなく、IT業界などプロジェクト案件が発生する他の業界でも十分に応用できるものだ。クラウド型のグループウェアは、「閉じた社内だけで、継続的に使うもの」という固定観念を壊すような使い方も可能にする。

スケジュール管理は不要、まずは社内メールをグループウェアの回覧板にリプレース

 グループウェアを使い始める企業の例として、メンバー同士のスケジュール共有はさておき、メールを使った今の社内でのやりとりをグループウェアの回覧板に置き換えるという例がかなりあるという。

 それというのもメールでのやりとりの場合、送信者が10人に同報すれば10人からの返事が返ってくることになり、やりとりを重ねていくうちに、送信者本人や他のメンバーも、誰がいつ、どんなことを言っていたのかを正確に把握することが難しくなってくる。

 その時に回覧版の機能を使えば、1つの画面上で他のメンバーのコメントも見ることができるので、社内メールの代替先として非常に有用となる。

 そうしてグループウェアの利用頻度が上がってくると、じゃあ次は社内文書もグループウェアに置いて共有しようとか、会議室など設備の予約はグループウェアでするようにしようというように、利用の幅がどんどん広がっていくという。

 現在、何か1つでも情報共有をスムーズに行いたいテーマがあるなら、そこを起点にグループウェアの利用を開始し、慣れるに従って活用の幅を広げていくというのは、非常に現実的なアプローチ方法だ。

ワークフローは紙で、メールや通達はグループウェアで

 まだグループウェアを利用していない企業の中には「うちにはずっと昔から紙文化が根付いており、デジタルなグループウェアはそぐわない」と考えているところもあるのではないだろうか。

 ある老舗の和菓子屋では、大正末期からの書類が残されており、文書自体が会社の歴史となっていた。紙文化が強く根付いており、今でも稟議は紙で回しているという。

 実はこの和菓子屋では、以前から紙文化を残したまま、オンプレミス型のグループウェアを利用していた。しかし世の中の環境変化や従業員の柔軟な働き方に対応していくために、クラウド型グループウェアへの移行を検討し始めているという。その利用形態は、従来通りワークフローは紙で回し、メールや社内通知や通達は、グループウェアのWebメール機能や電子掲示板機能を使うというものだ。

 グループウェアを導入するにあたっては、自社の企業文化をどこまで尊重するかという考慮点も生まれてくるだろう。まずは自社が「ここは譲れない」と考えるところを明らかにした上で、サービスベンダーに相談されてみてはどうだろうか。その際にはベンダー側から「そこは拘るべきポイントではない」というアドバイスがあるかもしれないが、それはグループウェア利用の効果を最大限に得るための有効な議論につながっていくだろう。

コラム:どうやってグループウェアのサービスを調べればいい?

 まだグループウェアを使っていない中堅中小企業が実際にその利用を始めたいと考えたとき、「どのサービスを選べばいいのか」というのは非常に悩ましい問題だ。

 今回の取材であるベンダーから聞くことができた話だが、首都圏の企業からの問い合わせは既に利用中のクラウドサービスを見直すための問い合わせ、一方地方ではグループウェアを全く使ったことのない企業から口コミでの紹介をキッカケに問い合わせてくるケースが多いという。その場合、他のサービスを調べずにピンポイントで問い合わせてくる企業が多いとのことだ。

 また、グループウェアの導入を検討する動機も、自社でも積極的に情報共有をしたいとか、業務効率を高めたいというよりも“知り合いの会社が使っているからウチも”という理由が結構多いという。その場合、ベンダー側でヒアリングを進めていくと、当然のことながらグループウェアを入れる必要のない企業も出てくるが、それでも“一応うちでも”と導入する企業もあるとのことだ。

 確かにクラウド型のグループウェアは、導入にイニシャルコストもかからず、必要な人数分だけを月額料金で利用できるし、止めるのも簡単だ。取りあえずは入れてみて、使いながら自社に合った使い方を見つけていく、という方法もあるだろう。

 しかし目的が曖昧なままでグループウェアの利用を始めてしまうと、いくらクラウドサービスの利用でITコストを経費化できるとはいえ、ムダな出費がかさむことになってしまう。例えば従業員数が数名で、全員がワンフロアにいて、各自のスケジュール管理もホワイトボードで事足りていて、共有のファイルサーバも立てているという場合なら、グループウェアを入れる必要はないかもしれない。サービス選定のきっかけは口コミでもいいが、自社にとって本当にグループウェアが必要かどうかは、問い合わせ先のベンダーともよくよく相談することが肝要だ。

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