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» 2014年10月27日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:急成長するエンタープライズ向け「フラッシュストレージ」最新動向 (1/4)

データ通信速度が高速化する中、HDDではなかなかI/O速度が追い付かない。そんな弱点を解消するフラッシュストレージの根幹をなすフラッシュメモリの種類や比較、製品群の特徴や導入事例などを解説する。

[二瓶 朗,グラムワークス]

 企業システムで扱われるデータは、より大容量、複雑化する。システムを構成する機器やネットワークの高性能化が進む一方で、データ処理を行うストレージ分野では技術革新に追い付けるほどの性能向上ができず、ボトルネックとなることも少なくない。

 そんな中、台頭してきたのが「フラッシュストレージ」だ。高性能だが高価なイメージのあるフラッシュストレージも、容量ではなく処理性能を考えれば、費用対効果は十分に得られる。今回は、フラッシュストレージについて、種類や基本構造、導入メリットなど基本知識をおさらいするとともに、今後の導入、運用を考えた製品選定のポイントをまとめる。

フラッシュストレージとは?

 記憶媒体にフラッシュメモリを採用したフラッシュストレージのシェアが拡大した。2014年2月にIDC Japanが発表した調査結果では、2013年のフラッシュストレージの売上は112億1600万円で、2012年の売上と比較すると175.4%と大きく成長した。

 これは引き続き拡大すると予想され、2017年の売上は334億3800万円に増加する見込みだ。2012年から2017年までの年間平均成長率は39.2%と予想され、まさに注目のストレージといえる。

 詳しくは後述するが、HDDに代わってフラッシュストレージが求められるようになった背景には、サーバやネットワークなどシステムのデータ通信速度が高速化するのに対してHDDのI/O速度の伸長が追い付かず、システムのパフォーマンスに影響するボトルネックになってしまっていることが挙げられる。HDDの持つ弱点を解消するフラッシュストレージとはいかなるものだろうか、詳しく解説する。

フラッシュメモリとは?

 フラッシュストレージは、前述した通り記憶媒体にフラッシュメモリを採用したストレージデバイスの総称だ。

 フラッシュストレージの根幹をなすフラッシュメモリは、データを自由に書き込みできる「RAM」と、電源を切っても記録内容が保持される「ROM」の両方の特性を併せ持つ半導体のことだ。基礎構造の違いから「NAND型フラッシュメモリ」「NOR型フラッシュメモリ」などに分類されるが、現在、データストレージ向けに一般的に採用されるのはNAND型だ。

 また、NAND型フラッシュメモリの半導体にはデータの記録方式の違いによって、「SLC(Single Level Cell)」と「MLC(Multi Level Cell)」、そして「TLC(Triple Level Cell)」といった種類がある。性能の違いは以下の通りだが、現在はコストと性能、寿命のバランスのよいMLCタイプのフラッシュメモリが採用されることが一般的だ。エンタープライズ向けにMLCを改良して寿命を延ばしたフラッシュメモリである「eMLC」も登場した。

 なお、フラッシュメモリは、データの書き換え回数に上限がある。書き換え回数が性能の上限に達すると、それ以上は使えなくなる、いわゆる「寿命」だ。書き換えと表現しているのは、フラッシュメモリにデータを保存する場合、HDDなど磁気メディアのようにデータの上書きができないためだ。既にデータのある領域にデータを書き込む場合には、古いデータを消去してから新しいデータを保存する必要がある。

NAND型フラッシュメモリの種類と比較 表1 NAND型フラッシュメモリの種類と比較

 フラッシュメモリを「集合体」として実装したのがフラッシュストレージだ。具体的には、「SSD(Solid State Drive)」、または独自設計、仕様によってフラッシュメモリを集合してモジュール化し、それらを内蔵してサーバやエンタープライズ向けのストレージデバイスとして利用する。

 なお、「USBメモリ」や「SDメモリカード」などもフラッシュストレージだが、ここで紹介するような製品群とは用途が違うため、本稿では触れない。

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