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» 2018年10月17日 10時00分 公開

連携機能で250兆円経済圏の可能性を秘める「APIエコノミー」とは?5分で分かる最新キーワード解説(4/4 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]
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APIマネジメントサービスとは?

 もう1つAPIエコノミーに関連するのがAPIマネジメントサービスだ。こちらはAPI提供業者やサービス業者が利用するサービスになる。APIを提供して、外部からのAPIアクセスを受け入れ、社内サービスにつなぐというプロセスに必要な各種機能とAPI管理機能全般、さらにAPI開発、デプロイをスムーズにするためのサービスと考えるといいだろう。現在国内にAPIマネジメントサービス業者はないが、主に次のような海外業者のサービスが利用可能だ。

APIマネジメントサービスの例 表1 APIマネジメントサービスの例

APIエコノミーに参加するメリットは?

 APIを活用することによるエンドユーザー側のメリットとしては、自前のITリソースを増やすことなく、開発工費を抑えながら、業務効率化や新サービスの創造を実現できることだ。しかも最新の技術やアイデアを取り込める可能性があり、自社では収集できないレベルの大量な、あるいは高度に専門的なデータを利用できる可能性もある。これはサービス業者側でもほぼ同じである。

 ただし、API活用は他社のサービスに依存することにもなるので、突然のサービス停止や仕様変更、サービス品質の低下などには注意が必要だ。特に無償APIにはリスクがある。ビジネスで確実に利用したい場合は、有償で、可能ならSLA保証が得られるようなAPIを選びたい。

 APIを提供する側では、異業種の企業でもAPIを介したコラボレーションが可能になり、新規顧客獲得や販売チャネル増加のチャンスともなる。各社のシステムが共通の連携インタフェースを持っていなくても、APIを開発すれば簡単に連携可能になる。協業する相手企業が増えても、APIを提供するだけでシステム連携ができることになり、コラボレーションの壁をずっと低くできる。

 なお、独自技術を生かして構築されたシステムの機能を外部に提供する場合でも、システムのロジックを公開する必要はなく、ただそれにアクセスする方法だけを公開するので、技術流出などのリスクはまずない。

 日本はAPIの活用で世界から遅れているといわれる。その理由はAPIの多くが海外製であり、ほとんど英語のドキュメントしか提供されていないことにありそうだ。しかし現在ではフィンテックをはじめとするAPI活用サービスが多く登場し、Google Mapsをはじめとする便利なサービス機能がさまざまなWebサイトやスマホアプリなどに搭載されるようになって、開発者以外にもAPIの有用性が認知されるようになった。

 日本製のオープンAPIが多く提供されるようになり、日本語のドキュメントも充実してきている。APIは数年前よりはるかに理解しやすくなり、ビジネスで活用した場合のインパクトの大きさも、経営層や業務部門にも想像できるようになってきたのではないだろうか。そして日本語ベースのAPI取引所のオープンは、さらにAPI認知・普及の勢いに拍車を掛けそうだ。

関連するキーワード

フィンテック(FinTech)

 金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。スマホ決済や送金、複数の銀行口座などの情報を一括管理できる個人資産管理サービスなどは近年の日本で特に普及しているフィンテックだ。ECの決済サービスなどもこう呼ばれることがある。直接融資、仮想通貨による送金なども含め、ITとネットワークを利用した金融関連サービスの総称になっている。

「APIエコノミー」との関連は?

 スマホやPCで金融機関の口座残高を問い合わせたり、送金を行ったりするアプリケーションは、金融機関が提供するAPIを利用している。ECでの決済でも、決済サービス企業が提供するAPIを使用している場合が多い。フィンテックは特にAPIが活用されている領域であり、APIエコノミー形成が進んでいる。なお、仮想通貨に使われているブロックチェーン(分散型台帳管理技術)はデータの改ざんが原理的にできない安全な技術であるため、金融関係のサービスに今後適用が進むと考えられている。

 ブロックチェーンを簡単に利用できるAPIも登場してきており、さまざまなアプリケーション開発を容易にすると思われる。ブロックチェーン技術を活用したアプリケーションはDapp(Decentralized Application)とも呼ばれており、関連APIはその普及に拍車を掛けるものと期待されている。

APIマネジメントサービス

 EC、スマホアプリ、デジタル家電、IoTデバイスなど、さまざまな機器やWeb上のサービスから、膨大なAPIアクセスが発生することが想定される。それに備え、社内システムやミドルウェアの前段にゲートウェイを設置して、社内サービスにつなげるためのデータ変換やマッピングなどの中間処理を行ったり、セキュリティ確保、負荷分散、API利用情報管理、開発者支援など、APIで外部から社内サービスにアクセスする場合に必要な管理機能をまとめて提供するのがこのサービスだ。APIの開発環境、APIのデプロイ機能、実行機能なども備わっている。

「APIエコノミー」との関連は?

 APIマネジメントサービスはAPIの開発、提供、実際のサービスへの組み込みを容易にし、セキュリティの担保やサービス品質維持のための負荷分散などのようにAPI利用を安全・快適にするためのサービスを提供してくれる。APIエコノミーの拡大のために今後重要になるサービスと考えられる。

Web API

 HTTPプロトコルで利用できるAPIのことを指す。Google、Amazon、Yahoo!、楽天などの各種サービス、Twitter、Facebook、Slackその他のSNS関係、あるいは「乗り換え案内」「交通案内」「グルメ」「観光案内」「天気」、その他のよく目にする日本の情報サービスものきなみWeb APIを提供しており、画像認識や機械学習などの各種AIシステムもWeb APIで利用可能だ。

「APIエコノミー」との関連は?

 Web APIはWeb系開発者に使いやすいばかりでなく、利用方法のドキュメントやサンプルコードさえあれば業務部門の人でもシンプルな用途なら十分に使いこなせる。業務部門の効率化のために普及が進んでいるRPAに、Web APIを組み合わせて利用する業務効率化や業務プロセス改善に役立つ。またほとんどの業務システムがWeb対応しているため、企業のコラボレーションの際にもWeb APIによるデータ連携は第一の選択になると思われる。APIエコノミーを拡大させる主役である。

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