連載
» 2018年08月22日 10時00分 公開

5分で分かる最新キーワード解説:5G時代の先を開拓する無線技術「OAM-MIMO多重伝送」って何? (1/5)

既に5Gの5倍、LTEやWi-Fiの約100倍にあたる100Gbpsの無線伝送に成功した「OAM−MIMO多重伝送」技術。一体どんなものなのか?

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 無線通信の最もホットな話題は「5G」だが、端末と基地局間は最速20Gbps/10Gbps(下り/上り方向)で結ばれるとしても、より高速で大容量伝送が求められる基地局間通信は有線(光ファイバー)に頼らざるを得ない。

 将来の5G普及とその先のさらなるトラフィック増加に対応するためには、無線による基地局間通信などさまざまなユースケースに対応できる高速無線通信技術が必要とされる。これに対する回答の1つが「OAM−MIMO多重伝送」技術だ。既に5Gの5倍、LTEやWi-Fiの約100倍にあたる100Gbpsの無線伝送に成功している(現時点で世界最速)。一体どんな技術なのか。

「OAM−MIMO多重伝送」無線伝送技術とは?

 OAM−MIMO多重伝送は、一度に大量のデータを送受信するための無線信号多重化技術だ。NTTの研究チームが開発し、実験室環境内で100Gbpsでの通信に世界で初めて成功した。100Gbpsとは、一般的なDVD1枚分のデータを1秒以下で伝送できるようなスピードであり、無線通信技術としては画期的な成果だ。

 この技術には「OAM」という電波の性質を利用して一度に複数のビットストリームを多重化させる「OAM多重」技術と、複数の送信アンテナと同数の受信アンテナを用いて同時に別々の信号を送受信する「MIMO」技術とが盛り込まれている。「OAM多重」技術も「MIMO」技術もそれぞれは新しい技術ではないが、両方の組み合わせによる高速な情報伝送を実証したのはこれが初めてとなる。

 無線通信の高速、大容量化に向けてNTTドコモは既に20Gbps無線通信のフィールド実験に成功し、5G商用化目前という状況だが、研究機関の技術的挑戦は5Gの先を見越した次世代技術の開発へと向かっている。

 海外を見れば、米国の南カリフォルニア大学ではOAM多重技術を用いて最大32Gbps(実験室環境)、中国のファーウェイはマルチユーザーMIMO技術を使用して最大70Gbps(実験室環境)の通信速度を達成と、高速化研究の成果が次々に発表されている。その中にあって、NTTによる「OAM−MIMO多重伝送」技術による実験は、10メートルと近距離での結果ではあるが、従来の研究成果のいずれをも上回る高速性を実証したことになる。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。