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もしも担当者になったら何から始めればいいの? 「ソーシャルメディア分析」はじめの一歩IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

» 2016年09月26日 10時00分 公開
[宮田健キーマンズネット]
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ソーシャル分析とメディア特性

 ソーシャルメディア分析をマーケティング施策として活用したいと考えた場合、その背景には「売り上げを上げたい」「知名度を上げたい」「発信力を高めたい」「流行に乗りたい」など、さまざまな理由がある。

 対象となるソーシャルメディアも「Twitter」「Facebook」「Instagram」といった主要なソーシャルメディアの他に、老舗の掲示板「2ちゃんねる」や「Yahoo!知恵袋」、そして個人が運営するターゲットが絞られた趣味の掲示板、地域限定の掲示板など、さまざまなものがある。目的に合わせ、適切なメディア選択を行うことで、マーケティング効果を最大化する工夫が必要だ(表1)。

表1 メディア特性 表1 メディア特性。利用目的に合わせて、分析するメディアを変えることも重要。ソーシャルメディアや掲示板はそれぞれの特性があり、分析用途によって適切なデータソースを選択すると良い(出典:ホットリンク)

 例えば自社の製品名を基に、これらのソーシャルメディアや掲示板を検索しても、それがすぐに「分析」にはつながらない。単純な検索であると、無関係なつぶやきだったり、分析には向かないつぶやきなどの「ノイズ」が多数表示されたりと、そのままでは評価ができない。

 ソーシャルメディア分析ではノイズを減らすために検索ワードを変えてみて、表示される結果がどう変わるかを見るという作業を繰り返すことで、有効と思われる反応を探し出す必要がある。例えば飲料であれば「のどごし」「さわやか」「おいしい」「うまい」などのポジティブな言葉や、「まずい」「苦い」「合わない」などのネガティブな言葉のどちらが多いのか、などでもチェックを行ったりする。

 さらに、特定のマーケティング施策を実施した場合、「期間」を指定して反応をチェックすることも重要だろう。1年前との比較や、春、夏、秋、冬での季節トレンドなどを「比較」することも多い。

 Twitterの「アナリティクス」やFacebookの「インサイト」といった画面からは、特定の投稿のアクション数などを見ることができる。ただしこれはあくまで「ピンポイントの投稿」に対するものだ。ソーシャルメディア全体の傾向を見たり、複数のメディアを横断的に比較したり、継続的に振り返るなどの必要性を感じたら、各種ソーシャルメディア分析ツールの導入を検討したい。

ソーシャルメディア分析はリアルにも波及する

 ソーシャルメディアの影響は、サイバー空間だけではなくリアルにも波及する。例えば歴史ある実店舗での営業とともに、新たにWeb通販を始めた京都の茶葉販売店では、Web担当者がソーシャルメディアでの反応をチェックしていた。

 すると、Web通販の反応だけでなく、リアル店舗での反応も多かったそうだ。その内容は「接客がとても良かった」「おいしかった」とポジティブなものが多く、経営者はこの情報を全社メールで全社員に知らせたという。店舗の接客スタッフは年代的にSNSを使っていなかったそうだが、自分たちが知らないところで評価されていることに喜んだとともに、もし自分たちが接客ミスをすると、商品への評価も変わってしまうかもしれないと「身の引き締まる思い」を感じたという。

 ソーシャルメディア分析は、口コミを「可視化」し、自分たちがどのように見られているのかを知るためのツール/手法だ。そのため「ソーシャルリスニングツール」とも呼ばれる。これらのツールによって、企業は自社に対しての口コミを知らない状態から口コミを把握し、即座に反応することすらできるようになった。

 ソーシャルメディア分析はまだノウハウも少なく、多くの企業が手探り状態ともいえる。もしあなたが「明日からソーシャル担当だ」と言われたら、大きなチャンスだと思って取り組んでいただきたい。もしかしたら、ソーシャルメディア分析があなたの会社の危機を救い、小さな声でささやかれたヒントを、大きなビジネスに変えるチャンスにできるかもしれないのだ。

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