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もの作りを劇的に変える3Dプリンタ市場概観すご腕アナリスト市場予測(2/4 ページ)

» 2015年07月16日 10時00分 公開
[三谷智子ガートナー ジャパン]

3Dプリンタの市場の現在と未来

 ガートナーでは、表1の7つの技術方式それぞれについて、2012年から2018年までの世界市場の推移予測を公表している。まず、全タイプを合計した市場の伸びの様子を図1に示す。

世界の3Dプリンタ出荷台数とエンドユーザー支出金額推移予測 図1 世界の3Dプリンタ出荷台数とエンドユーザー支出金額推移予測(出典:ガートナー)

3年では出荷台数で10倍、金額で8倍の市場に成長

 図1は世界市場の総計を示したものだが、出荷台数は2015年は21万7350台で、2012年と比較すれば5.7倍に成長している。もともとの母数が少ないだけに、飛躍的な伸びを記録しており、2014年と比べても約2倍、さらに2016年、2017年と倍々ゲームで市場が拡大しそうだ。2018年には231万9494台に拡大することが予測されている。これは3年で台数ベースで現在の10倍の市場になるということだ。

 図1の下部には台数と金額の2013年〜2018年の年平均成長率(CAGR)を示している。全タイプの合計での平均成長率は106.6%にのぼる。この成長を主に支えているのは、特許の切れた技術である材料押出タイプと光重合タイプで、それぞれ年平均成長率は107.6%、105.6%である。

 他のタイプは材料噴射タイプが97%、結合剤噴射タイプが80.1%、シート積層タイプが78.1%、指向性エネルギー堆積タイプが64.6%、粉末床溶融結合タイプが30.7%と予測される。全てのタイプが今後も伸びるが、低価格化の進行が早い技術方式や低価格化の可能性が高い技術方式が大きく伸びていく。

 一方、金額として見ると、2015年は16億0900万ドルの市場が、2015年はほぼ倍に近い30億6800万ドル、翌年は62億9920万ドル、2018年には134億0180万ドル(2015年の約8.3倍)に膨れ上がる。ただし2013年〜2018年の年平均成長率は87.7%にとどまり、出荷台数の成長率には届かない。低価格な機種が増加していくのがその理由だ。

 金額ベースでの2013年〜2018年の年平均成長率は、光重合タイプが109%、材料噴射タイプが100%、結合剤噴射タイプが80.1%、材料押出タイプが94.2%、シート積層タイプが86.5%、指向性エネルギー堆積タイプが57.2%、粉末床溶融結合タイプが29.6%と予測される。

材料押出タイプが中心、光重合、材料噴射タイプも成長

 図2には、各技術タイプ別に、2015年と2018年の出荷台数と金額の構成比を示す。

世界の3Dプリンタ技術タイプ別出荷台数とエンドユーザー支出金額構成比予測 図2 世界の3Dプリンタ技術タイプ別出荷台数とエンドユーザー支出金額構成比予測(出典:ガートナー)

 出荷台数としては材料押出タイプが圧倒的に多い(92%超)ことがひと目で分かる。次に多いのが光重合タイプだが、全体の中で4.2%にすぎない。この傾向は2018年でもそう大きくは変わらないようだ。

 ところが金額ベースの構成比では全く異なる様相が見える。材料押出タイプはおよそ半分を占めるが、光重合、材料噴射、粉末床溶融結合タイプが、かなり拮抗(きっこう)したバランスで残りの半分の大部分を占める。もちろん機種の価格が高額なものが多いのが理由だ。

 2018年にも材料押出タイプが約半分を占めることに変わりはないが、残りのタイプのバランスが崩れ、光重合タイプと材料噴射タイプのシェアが大きくなっていく。

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