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» 2015年07月16日 10時00分 公開

すご腕アナリスト市場予測:もの作りを劇的に変える3Dプリンタ市場概観 (1/4)

「第三の産業革命」とまでいわれるほどの潜在力を持つ3Dプリンタ。国内ベンダーの動向やその用途など市場動向をアナリストが解説する。

[三谷智子,ガートナー ジャパン]

アナリストプロフィール

三谷智子(Tomoko Mitani):ガートナー ジャパン リサーチ部門 テクノロジ&サービス・プロバイダー セキュリティ・イメージング&プリントサービス担当 主席アナリスト

ガートナー ジャパンにおいて、テクノロジ&サービス・プロバイダーのイメージング&プリントサービス担当として、2D/3Dプリンタ、複写機および複合機 の最新の市場について定量的、定性的に調査分析し、技術動向やベンダー分析を行うとともに、プリンティング関連のアウトソーシングサービス市場の分析を行っている。


 一部技術の特許の存続期間が終了し、低価格な3Dプリンタが市場に出回るいま、製造業や建築業のプロトタイプ製造のみならず、各種資材や医療用部材、食品、ウェアラブル機器、ホビー用途など、多様な活用の途が模索されるようになった。

 その巨大な潜在力は、18世紀の動力、19世紀の製造技術の発展に次ぐ、「第三の産業革命」とまで言われるほどだ。その一方で個人による武器の製造や企業による知的財産権の侵害などの懸念もつきまとう。これからのITデバイス市場をけん引する重要な要素となる3Dプリンタの市場の現在の動向をまとめ、近未来を予測してみよう。

3Dプリンタ市場概観

 このところ家電店に数万円台の3Dプリンタが登場するようになり、書店には全55号集めれば3Dプリンタが出来上がる部品つきの雑誌まで並んでいる。数年前とは隔世の感があるほど、3Dプリンタの低価格化が急速に進んでいるのだ。

 3Dプリンタ技術は1980年代からベンダー各社の技術が特許によって守られてきたが、2009年に熱溶解積層方式(FDM、Fused Deposition Modeling)が、2014年に粉末焼結方式(SLS方式、Selective Laser Sintering)が特許存続期限を過ぎ、世界の多くのメーカーが自社開発製品を続々と市場に投入し始めた。

 その結果、以前とは比較にならない価格破壊が起こり、特に熱溶解積層方式の機種では中心価格帯が40万円〜50万円程度、低価格な機種では10万円以下、中には数万円の機種まで登場するようになった。この方式の3Dプリンタが出荷数も金額でも市場をけん引しているのが現在の状況だ。

3Dプリンタの7つの技術

 技術開発と市場投入の時期は前後するが、他の技術方式を用いた3Dプリンタもこの間に続々登場している。その概要と主要ベンダーを表1に示す。

3Dプリンタの7つの技術 表1 3Dプリンタの7つの技術(出典:ガートナー)

 表1はガートナーによる7分類で示したが、別の分類名が使われる場合も多い。熱溶解積層方式(表1の材料押出に相当)、粉末焼結方式(粉末床溶融結合に相当)、インクジェット方式(材料噴射に相当)、プロジェクション方式(光重合に相当)、インクジェット粉末積層方式(粉末固着式積層方式とも。粉末床溶融結合に相当)などといった、実製品の機構面の特長に着目した呼び方もある。

 ちなみに表1の「光重合」は「光造形方式」「STL方式」とも呼ばれ、3Dプリンタ技術の嚆矢(こうし)とされるが、これはそもそも1980年に日本の研究者が発明したものだ。その数年後に米国の研究者がその基本技術で特許を取得、現在3Dプリンタのトップメーカーの1つになっている3D Systemsを起業して、現実の製品として世に出るようになった。

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