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副業がバレておびえる毎日、21年副業調査まとめ

キャリアアップのきっかけになるとして数年前からビジネスパーソンの関心を集めている副業や兼業。副業に関する幾つかの調査結果を抜粋して紹介する。副業への意欲や副業をする理由、副業がバレた原因やその結末といった内容も見受けられた。

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 キャリアアップのきっかけになるとして数年前からビジネスパーソンの関心を集めている副業や兼業。徐々に副業を解禁する企業の事例が聞かれるようにもなった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でテレワークへの急激なシフトが進むなど、場所を選ばず働ける環境が整ったことで、副業に踏み出したケースもあるだろう。

 実際に副業はどれほど進んでいるのか。2021年の3〜4月に発表された副業に関連する調査の結果を抜粋して紹介する。調査では、副業への意欲や副業をする理由、副業がバレた原因やその結末といった内容も見受けられた。

副業がバレておびえる毎日、まだまだ市民権を得ていない企業も

 従業員が副業に取り組みたいと考えても、それが制度として認められている企業ばかりではない。まずはビズヒッツが「副業がバレた経験がある」294人を対象に実施した調査(期間:2021年3月10日〜24日)から、副業がバレた原因や副業がバレて困ったことを紹介する。

 「副業がバレた理由」を聞いた質問では、「副業しているところを見られた」という理由が109票と最も多く、2位は「PC・スマホを見られた」(35票)、3位は「給与・税金の手続きで」「ついしゃべってしまった」(いずれも28票)だった(図1)。

 2位については、「仕事で使うPCで副業の取引先とのメール画面を開いたまま席をたってしまい、 同僚に画面を見られてバレた」「PCの履歴から判明した」などのコメントが見られ、勤め先企業のPCで副業をする“猛者”も見受けられた。3位に関するコメントでは、「人事担当者が住民税が異様に高いことに気付いた」「酔った勢いで自分から暴露してしまった」などのエピソードが寄せられた。


図1 副業がバレた理由

 また「副業がバレて困ったこと」を聞いた質問は以下のような結果になった。

 困ったことについて「なし」が43票と最も多く、続いて「副業を辞める/減らすことになった」(34票)、「詮索(せんさく)された」(24票)、職場でおびえるようになった(23票)、「自分のイメージが悪くなった」(23票)、「働きづらくなった」(19票)、「稼ぎを家計に入れることになった」(17票)という回答が続いた(図2)。

 困ったことはないと回答した人の中には、「申請すれば副業できるようになった」「副業での経験を生かせる業務の担当になった」など、副業の発覚をきっかけに事態が好転した人もいた。一方で、具体的に困ったこととしては「副業できなくなり収入が減った」といった金銭面の問題を抱えたり、「黙っておくからとは言ってくれていたが、どこからかバレるんじゃないかと思い気持ちが不安定になる」などおびえるようになったりしたとの経験が寄せられていた。


図2 副業がバレて困ったこと

800万円の年収だと75%が副業

 ウォンテッドリーが2021年4月22日に発表した、「コロナ禍における転職・働き方に関する調査」(調査期間:2021年2月22日〜26日)の結果によると、現在、副業を行っている人の割合は全体の34%で「やりたくない」と回答した人はほとんどいなかった。また、年収別に転職を実施している割合を見ると800万円台が75%でひときわ目立った(図3)


図3 副業への意欲

 副業に対して最も求めることは「給与水準」または「自己成長性」と回答した割合が最も高く、どちらも26%。後に「勤務形態の柔軟性」(21%)、「仕事内容のやりがい」(18%)が続いた(図4)。

 なお、同調査は過去1年以内に転職した267人を対象にしており、「直近の転職で重視したこと」という質問においては、「仕事内容のやりがい」と回答した人の割合が60%(複数回答)で最も高かった。2位が「自己成長性」(52%)、3位が「勤務形態の柔軟性」(42%)、4位が「給与水準」(41%)だった。「副業に対して最も求めること」と比較すると1位と4位が入れ替わっている(図5)。

 同調査は、転職市場にいた(いる)人を対象にしていることから、キャリアの転換点にいる人や、現在従事している仕事以外にも目を向けている人が多いと予測できるが、年収が800万円台である人の75%が副業をしているということが大きなトピックとして取り上げられていた。


図4 副業に対して最も求めること

図5 直近の転職で重視したこと

ビスリーチの調査は?

 一方、転職サイトを運営するビズリーチがサイトの登録会員775人を対象に実施した「キャリア観・転職活動に関するアンケート」調査(期間:2021年3月29日〜2021年4月4日)においては、コロナ禍で副業、兼業に取り組んだと回答した人は11.1%だった。

 まず「約1年続くコロナ禍を経て、自身のキャリア観に変化があったか」という質問では、66.2%が「変化があった」と答えた(図6)。またキャリア観の変化に最も影響を及ぼしたこととしては 「働き方の多様化(リモートワークや副業・兼業の解禁など)」(40.6%)、「転職」(22.8%)、「新型コロナウイルス感染症の拡大による経済環境の悪化」(16.2%)などが挙がった(図7)。

 働き方が多様化する時代において9割以上の回答者が「主体的なキャリア形成が重要」(98.5%)だと回答したが、主体的なキャリア形成のために取り組んだこととして副業や兼業を挙げた割合は11.1%だった(図8)。

 なお、ビズリーチ会員の平均年収は2021年1月末時点で740万円、平均年齢は40歳だ。


図8 主体的なキャリア形成のために取り組んだことと

図6 コロナ禍でのキャリア観の変化

図7 キャリア観の変化に最も影響を及ぼしたことと

 転職市場においては副業というワードが浸透しているようにも見えたが、副業を認めていない企業も存在しており、まだ副業が市民権を得るという段階には至っていないと考えられる。キーマンズネットでは、今後も副業に関する調査を継続的に追う予定だ。

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