「Cisco Meraki」にセルラーゲートウェイやCatalyst同等性能のスイッチが登場
中小向けのイメージが強かった「Cisco Meraki」。従来製品とすみ分けるのではなく、新製品拡充で従来の複雑なネットワーク管理をMerakiの作法でシンプルにしようと考えているようだ。
シスコシステムズは2019年11月25日、クラウド管理型無線LAN製品群「Cisco Meraki」(以降、Meraki)を拡充すると発表した。新たに発表された製品は、「MS390」「MG21/21E」の2種類。
MS390は、ギガビットイーサネット(GbE)対応の、ラックマウント型レイヤー3スイッチ。クラウド上のMerakiダッシュボードで管理できる。24ポート品の「MS390-24」と48ポート品の「MS390-48」があり、それぞれにPoE(Power over Ethernet)対応やアップストリームポートの数、仕様の違いなどで派生品が用意されている。
MG21/21Eは、LTE(Long Term Evolution)対応のセルラーゲートウェイ装置(ルーター)。PoEでの給電が可能。GbE対応のLANポートを2個備える。MS390と同様に、クラウド上のMerakiダッシュボードで管理できる。MG21とMG21Eは、LTEの対応バンドが異なる。MG21は北米向けで、対応バンドは2/4/5/12/13/17/29。MG21Eは全世界向けで、対応バンドは1/3/5/7/18/19/20/26/28。インターネット回線がない拠点でも利用できるため、回線の冗長性を持たせる際にも有効だ。
その他、「アダプティブポリシー」や新しいセキュリティ機能も提供することを明らかにした。Merakiのアダプティブポリシーを使用すると、ユーザーやアプリケーション、機器をグループ化して、ポリシーを簡単に適用できる。シスコシステムズの「Cisco SD-Access」と連携したポリシーベースの制御も可能だ。一方の新しいセキュリティ機能は、MDM(Mobile Device Management)ソリューションを使わずにデバイス認証を提供する「Meraki Trusted Access」や、無線LANアクセスポイント「Meraki MRシリーズ」向けのDNSトラフィック保護とコンテンツフィルタリング機能、セキュリティアプライアンス製品「Meraki MXシリーズ」のファイアウォールルールの強化などがある。
SOHOや小売店向けを強みとしてきたMerakiシリーズだが、使い勝手はシンプルなまま、より複雑な企業向けのニーズに対応する製品拡充が進むようだ。なお、この発表の翌日に開催されたイベント「Cisco Connect Japan 2019」(主催:シスコシステムズ)でもMerakiを採用した企業の事例が複数あった。詳細は追って紹介する予定だ。
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