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7割の企業が“コネ採用”に関心? 人事の本音調査

MyReferが実施した人事の本音調査によると、従業員の人脈を活用して採用活動を行うリファラル採用に関心を示した企業の割合は約7割に上った。注目度を上げているリファラル採用だが、導入の際には課題も浮上する他、導入に至っても成果を出せないケースがあるようだ。

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 企業の間で「リファラル採用」への関心が高まっている。リファラル採用とは、従業員からの紹介や推薦による採用方法のこと。2014年からフリマアプリを提供するメルカリなどの成長企業が活用しはじめ、現在は規模や業種を問わず取り入れる企業が増えた。

 具体的にどれほどの企業がリファラル採用に関心を示し、活用しているのだろうか。MyReferは2019年10月18日に、20〜50代の人事担当者男女417人を対象に実施した「人事の本音調査(調査期間:2019年9月20日〜9月30日)の結果を発表し、企業における採用活動の課題やリファラル採用の実施状況、成果が出ている企業とそうでない企業の違いについて報告した。

 まず、人事の仕事に関して感じていることを聞いた項目では、全体の48%(複数回答)の企業が「これまでの採用手法では応募数が集まらない」と回答した。次いで、「採用だけでなく、会社の本質的な課題まで考えないといけなくなった」(43%)、「離職率を下げることが以前より困難になった」(32%)、「会社からの採用ノルマを達成するのが困難になった」(22%)という回答が続いた(図1)。有効求人倍率の上昇が続き、求人採用が難しいといわれている現状が数字でも明らかになった。


人事の仕事に感じていること(出典:MyRefer)

 求人難の中、注目を集めているのがリファラル採用だ。今回の調査では、30.5%の企業がリファラル採用を「既に導入している」と回答した。「導入予定」の12.5%と「検討中」の22.6%を合わせると、65.6%の企業がリファラル採用に関心を持っていることが明らかになった(図2)。


リファラル採用の導入状況(出典:MyRefer)

 ただし、実際に導入する際は課題もあるようだ。リファラル採用に関心を持っているにもかかわらず、導入できていない企業にその理由を聞くと、「社内エンゲージメントが優先されるから」(56.4%、複数回答)や、「社内の協力が得られる気がしない」(36.4%)といった声が聞かれた。「経営陣および上長の承認が得られない」との回答も20%に上った(図3)。


リファラル採用を導入できていない理由(出典:MyRefer)

 一方、実際にリファラル採用を導入している企業では、ある程度成果を実感しているようだ。リファラル採用の成果が「よく出ている」と回答した企業の割合は18.9%。「少し成果が出ている」の48.6%を合わせると、67.5%の企業がリファラル採用の成果を感じていた。「あまり成果が出ていない」は25.7%、「全く成果が出ていない」は1.4%だった(図4)。


リファラル採用の成果(出典:MyRefer)

 リファラル採用の成果が出ている企業にその理由を聞くと、人事部だけでなく経営陣や管理職、一般社員の協力が寄与していることが分かった。理由として、「部課長などのマネジメントメンバーが協力的」と「一般社員が協力的」を挙げた割合は、それぞれ60%(複数回答)。「社長および経営メンバーが協力的」という回答は40%だった(図5)。MyReferでは、人事担当者は導入時に社内のエンゲージメントや社内協力に不安を抱えていることから、経営陣やマネジメント層などの積極的な支援があれば、中長期的に組織力を高めていけると考えている、と分析する。


リファラル採用の成功要因(出典:MyRefer)

 MyReferの代表取締役社長CEOを務める鈴木貴史氏は、「労働人口の減少に伴い、採用難かつ生産性の向上が必要になる中、中長期的に組織力を向上させ社員全員で当事者意識を持って仲間を集めるリファラル採用に注目が集まっている。リファラル採用は、単なる採用のための手段ではなく、会社と社員のエンゲージメントを高めることに本来の価値がある。経営やマネジメントメンバーも巻き込んで、リファラル採用を入り口に社員と会社がお互いに見つめ直すきっかけを作っていくことが重要だ」と述べている。

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