メディア

BtoBでUser Experienceを実現できるのか?

» 2020年10月01日 10時00分 公開
[元廣妙子RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

RPA BANK

「迷わず最後まで楽に入力できる」。これがBtoBのUXの条件です。本講では、デバイスを選ばないレスポンシブなUI、入力画面を動的に生成するナビゲーション、あるいは視覚障がい者にも認識しやすい配色、等を積み重ねることで実現したBtoB_UXの仕掛けを、実際にご利用のお客様の声も添えて紹介します。

■記事内目次

  • 登壇者
  • BtoBの世界で良質なユーザーエクスペリエンスが実現できるのか
  • BtoBにおけるユーザーエクスペリエンスを定義する
  • 良質なUX実現に向けての仕掛け
  • 良質なユーザーエクスペリエンス実現に向けての積み重ね

登壇者

ラクラス株式会社 取締役会長 北原 佳郎 氏

BtoBの世界で良質なユーザーエクスペリエンスが実現できるのか

北原: みなさま、今日は私のリアルタイム配信に参加頂きましてありがとうございます。ラクラス株式会社取締役会長の北原でございます。

今日は、「BtoBの世界で良質なユーザーエクスペリエンスが実現できるのか」というテーマでお話をさせて頂きます。BtoCの世界におきましてはUXは大変大事に思われており、その中ではクリック数の少なさや、レコメンデーションといった機能がUXの一つの要素になっています。しかしそれとは別に、BtoBの世界でのUXといったものもこれから大事になってくると思います。

ただ、そのことに関して議論したセミナーは今までないと思いますので、私の今日の話がBtoBのUXというものに対する一つのきっかけになればいいなと思っております。

ただ良質と言っても、何が良質かをまず定義することが大事だと思います。BtoBのUXの定義として、私どもは「迷わず最後まで楽に入力できること」これがまず第一の条件であると考えております。

今日は、この条件を満たすために大企業向け人事クラウド、これは当社のサービスの「Tokiwagi(常盤木)」これは常緑樹という意味です。この人事クラウドを例にとりながら、実現に向けての仕掛けをご紹介したいと思っています。

UXというのは、私どもベンダーの話ではなく、実際にそれを使うユーザー様の体験です。最初にTokiwagiを使って頂いているユーザー様の声をご紹介したいと思います。それではどうぞ。(この後ビデオが流れる)

2020年7月2日、神戸

日本イーライリリー株式会社は人事クラウド「Tokiwagi(常緑樹)」のオープンに向けて、

あらゆる自体を想定し、万全の体制を整えていた。

しかしオープン前日に発生した出来事は彼らの想像を遥かに超えていた。

木澤 雄次氏(日本イーライリリー株式会社 執行役員 人事本部長): 弊社はアメリカがベースの会社なので、向こうの7月1日、こちら(日本)の2日になるのですが、我々はずっと(オープンが)7月1日と社員に言ってたので、そういった意味で言うと、社員は7月1日の日に入ってやりだしてたところもあり、そこで色々なガイドを出してない状態でも入れられたということはユーザーインターフェース、ユーザーフレンドリーなシステムであるということがわかりました。

Tokiwagiへの要求は?

第一に考えたのがユーザーエクスペリエンスです。従業員と管理職の時間を何に使うかということはすごく重要で、やはり人事関連とか、内勤関連のことにはあまり使わず、顧客のために時間を使うということをすごく重要視してましたので、そういう意味でユーザーから見て使いやすくて、早くやって、ぱっと終わって、患者さんのための仕事に集中できる、そういうようなところが一番重要なポイントとしてまずあります。

後は昨年の法改正ですよね、そこのところでしっかりとコンプライアンスを守っていくというところは重要ですし、弊社はアメリカベースの会社なので、日本語だけでなく、英語もちゃんと対応してるというところはすごく重要なポイントとしてありました。

人事的なところを言うと、我々のリソースをどこにかけていくかというところはいつも念頭にあり、コスト面とリソース面のところでより効率的に動いていけるようなところも人事的なポイントではありましたね。

社員が体感したUX

楽であることの重要さはすごく感じています。弊社の内勤の人間はPCを持っているのですが、弊社の3分の2に当たる営業は基本的にiPadかiPhoneですね。そういう意味で言うとPCで使いやすいだけでなく、いろんなデバイスを使って、しっかり楽に入れられることが重要で、そこのところは本当に誰からも良い評価を聞きますね。

直感的と言うんですかね、マニュアルを開いて順々にやってきた僕も、去年はマニュアルも開かずにTokiwagiを使いだして利用することができました。いろんな申請をするときに、何かやりたいことによって出る情報が限られてくるというところは、僕もあのテストでやってみたんですけども、すごく良いなと思いますね。僕はいつもその手の申請をしなくてはいけないときに、どのライン入れなければならないんだ?とか結構迷う方なので、そのような機能を見たときにこれは良いなと思いました。

Tokiwagiで在宅を支援し、社員を守る

弊社はコロナの前から在宅勤務を推奨してまして、多くのメンバーが在宅ですでに働いていたんです。たぶん通常でしたら弊社の人事のオペレーションのメンバーとかはもっと毎日来なくてはならないようなパターンだと思うのですが、そこも最小限に減らせたというのは、本当にタイムリーにラクラス株式会社とのパートナーシップがあったからです。それの何がいいかというと、やはり従業員が会社に来なくていいということはコロナに感染するリスクを下げるという意味で、従業員の安全を守るというすごい重要な役割を果たしていただいてるなと思います。

アイコン制作でチームビルディング

はりアイコンって重要ですよね。弊社のデザイン大会みたいなものをやる中で、これがいいねっというものを選べたので、そういう意味で言うと、こちらでチームビルディング的な活動にもなったということは付加価値というか、良かったところかなと思いますね。僕もiPhoneを見たときに(アイコンを)押してみたくなったので、そう言った意味でユーザーエクスペリエンスの一部として良かったなと思ってます。

(ビデオここまで)

北原: はい。以上、当社のお客様の大変ありがたいお声を紹介させていただきました。それではここから私の方の話を始めさせていただきます。

まず会社の紹介からです。当社の方でどのようなサービスを提供しているのか、簡単にご紹介しておきます。

2020年、大変大きな変化の年でありまして、その中の一つ、非接触社会というものがキーワードになっていると思います。これは単にリモートビジネスになったとか、あるいは人と人との感覚を空けなくてはいけないとか、そういう話だけではございません。

基本的にビジネスというのはやはり人間の頭の中、本能に近い部分をうまく利用しようということをやっております。何か間違いがあったときに謝罪に行くなんていうことも、とりあえず顔を見せておきますと、怒りもやや沈んでくるとかですね。あるいは打ち上げで一杯飲みに行く、一緒にご飯を食べる、これも人間の本能に一番近いところでの体験を共有するというところから始まっているわけです。

それが今後ないということですから、果たしてビデオ会議でどのように謝罪するのかなど、この先もいろんな経験を積んでいかなければいけない場面があると思います。

それから人口減少社会、日本は21世紀に入ってから人口減少を続けているわけですけども、特に今回みなさまが経験したのが、これまでの人口減少社会に対して、何とか人を確保しようという努力を続けてきたわけですけれども、今回はっきり分かりましたことは、人はいないことを前提としていかに効率的にやっていくか、コンピュータやAIに任せられる部分は任せて、人間が人間にしかできない部分をやる。前から言われて

ることですけれども、それが何なのかということをもう1回考え直す機会になるのではないかと思います。

それから3番目が人的な事業継続性です。これまでBCP(事業継続計画)で言いますと、設備とか、そういうハードウェアに関する継続性が大事でありました。ただ今回のケースは人というものがいなければ、いくら設備があっても、あるいは場所があっても、動くことはできないということだと思います。

私どもはそれに対してクラウドだけではなく、ビジネス・プロセス・アウトソーシング略してBPOというものを組み合わせて解決策ができると考えております。

こちらにサービスのラインアップがありますので簡単に紹介しておきますと、全部の人事に、サービス、ソフトウェアをクラウドで提供いたしますのがTokiwagiというサービスです。

それにくっつけまして年末調整の部分は、単にクラウドで提供するというだけではなく、紙を集める、あるいはその紙や証明書類の内容を読み取るといったBPOサービスまでを組み合わせた「Hiiragi(柊)」というサービスがあります。

それからマイナンバー管理サービス「Shii(椎)」、それから今年の4月から義務化されました電子申請、社会保険の申請をクラウドとBPOで提供する「Matsu(松)」。以上のものを全て組み合わせまして、フルスコープで人事関係のサービスを提供する「Kusunoki(樟)」といったサービスを提供しております。

フラグシップはこのTokiwagiというクラウドサービスでございます。非常に多くの特徴を持っており、先ほどのUXと関係しますけれども、全ての情報を発生源でデジタル化しましょうというものが、まず一つ目でございます。

その結果として、データベースに全部物事を一元化しますと、最終的には給与計算というものを自動化することができるようになっております。これを使って、今後、非接触、人口減少、人的事業継続性、こういったものに対して対応していこうと考えております。

BtoBにおけるユーザーエクスペリエンスを定義する

それではここからBtoBにおけるユーザーエクスペリエンスを、まず定義するというところから始めてまいります。先ほど申し上げましたけども、BtoBは、UX・UIに関しても、これまで相当甘えてきたのではないかなと、さぼってきてるのではないかなと感じております。

マニュアルを読ませるとか、従業員にマニュアルを読ませるとか、トレーニングを受けさせるとかそういう形でUI以外のところでのサポートをして、何とか使えるように持っていくというのがこれまでのBtoBの傾向だったのではないかと思います。

一番シンプルな例なのですが、銀行の振り込みなど、そういうことをするUIがございます。個人宛ての方は、BtoCの方は大変よくできておりまして、スマホからも使えますし、どのブラウザでも使えますし、大変使い心地もよく操作ができるようになっております。

もちろん法人向けの方は機能は多いのですが、法人向けの銀行のウェブサービスというのは、2000年頃のインターフェースをそのまま使っているような状態です。WindowsPCからしかログインできず、文字の大きさも全部同じで、しかも非常に古いフォントです。メガバンクのものであろうと、その程度のものしかビジネス向けには提供しないというところでも、BtoBのUXというものがまだまだ軽視されていると思うわけです。迷わず最後まで楽に入力できる。これはBtoCでももちろん同じでございます。

BtoCの場合は、誰も教えてくれないから、買いたいものが買えなかった、最後まで入力できないから結局買いたいものは買えなかった、ということは許されないので、BtoCの方は何とかUIそしてUXを良くしようと考えているわけです。

当社はそれに対して特効薬というのはないと思っております。これがあればいい経験をしてもらえるということは無いと思っています。そのためには数々の仕掛けが必要とされるだろうということで、いくつかキーワードを書いてありますけども、いつでもどこでもすぐにでも、あるいは思わず触れたくなる楽しさなど。先ほど、アイコンがあったら押したくなったという話のように、そういった楽しさというのもあると思います。

それからもちろん、マニュアルが不要である、トレーニングを受けなくても良い、そういったものがBtoBにおいてはとても大事になってくるのではないかと思うわけです。

BtoCの方はUIが悪いと買ってもらえませんが、BtoBの方はUIが悪いと時間がかかって、従業員の時間を浪費するといった損が出てきます。そういう意味では良質なUXには金銭的な価値があるものというように思います。

その中でも一番難しいのが、私どもが持っております、人事情報の集め方であります。人事情報というのは、経理の情報と比べるとわかりやすいのですが、非常に種類が多いということが挙げられます。

みなさんが残業する、あるいは休暇を取ろうというと、残業申請とか、休暇申請とかでも出さなくてはいけない。それから身上変更。家族が変わった、住所が変わったそういったものもあります。人事評価みたいなものもありますし、あるいは年末になれば年末調整というものもあります。

そういう意味では、人事部と従業員の間をつなぐ仕組みというのは大変重要であります。このページで人事情報の特徴というものをまとめてありますので見ていただきたいと思います。

まず今申し上げましたけども、届け出の種類は多いが、頻度が少ない場合があるんですね。住所変更届は一生のうちにそう何回も出すものでありませんので、出すたびに入力の仕方がわからず、人事部に問い合わせるということが起こってまいります。

それから2番目。経路の種類が多いと、届け出に対して経路が異なるということもよくある話です。タイムカードであれば、上司が判子を押すだけなのですが、人事評価であれば判子ではなく承認ボタン押すわけなのですが、人事評価であれば本部長まで回るとか、そういったことも起こってまいります。

それから各社の制度規程で大きく異なるというのも特徴です。また、報酬に直結する手当の申請を間違える、あるいは処理が遅れた場合、実際の支給が遅れてくる。それから行政。社会保険、健康保険といったものと、外部との連携というものがあることも人事情報の特徴です。

それと、法改正がございますので、コンプライアンスへの対応というものも非常に重要になってきます。その為、人事関係の情報を集めるというのは、数ある情報の集め方の中でも、かなり複雑な方になってまいります。しかし、これさえできれば他のいかなる情報の集め方もできるだろうと思います。

当然のことながら人事部は、複数のシステムを入れてもタイムカードやワープロを電子化しようとします。従業員はPCやスマホから電子申請をできれば、人事データをダウンロードするだけで全ての処理が済んでしまうと思い、情報のデジタル化といったものを試みるわけであります。このようなことを試みている会社様も多々あると思います。

ただそうは言いましても、従業員の側には、社内手続きのために時間が浪費されるという悩みが起こってしまいます。まず単純に、システムごとに操作方法が異なる、場合によってはIDやパスワードも全部違うということが起こってまいります。それを全部記録しておくことは非常に大変な話でございます。

リモートの環境においては特に、操作に迷って最後までたどり着けないといったことが起こってしまいます。クラウドシステムですね。スマホで使うのですが、社内システムは昔のままの為、スマホで使うことができない場合があるということもございます。

このような形で従業員の方は使い勝手について悩んでいるわけですが、一方で人事部の方も悩んでいます。

従業員がわからない結果、問い合わせが増えます。問い合わせに対する工数が増えてくる。システムが複数ありますと、マスターのメンテナンス、あるいは権限の管理といったものに複数倍の時間がかかってきます。そうなってしまった場合、このようなシステムを組み合わせても、結局デジタル化できない書類等が残ってまいります。結果、その紙処理をするためにまた時間が別にかかってしまいます。複数システムを導入して80%デジタル化できたとしても、残り20%のために、大変な工数を取るということが起こってしまいます

また、誤解してはならないポイントを一つ挙げますと、クラウド化したとしても企業に起こる業務が多いということです。クラウドの役目は、基本的にIT部門の業務を代行することです。ハードウェア、ネットワーク、セキュリティ、監視、アップデート、データのバックアップ、これらのような作業を代行してくれますが、ユーザー部門の設定・保守・管理業務はなくならないということに気が付いておくべきです。

企業ごとに異なるクラウドのサービスの設定・保守・管理、あるいは権限管理、入力データの登録・管理、このようなものはユーザー部門の業務であり、全く変わることはありません。また、年末調整のクラウドというものがありますが、年末のクラウドでいくらデータを入力しても、最終的には集めなくてはならない紙があります。

保険料の控除証明書等の、集めてこなければならない部分をどのようにすべきかを考えないと、いくらデジタル化して入力が簡単になろうが、そのようなリアルな業務がなくならないわけです。そういう意味で、当社としてはそのBPOというものが一つの解決策ではないかと考えているわけであります。

良質なUX実現に向けての仕掛け

次に、良質なUXは積み重ねであろうという話を申し上げましたが、その具体的な施策について話して参ります。その後、実際Tokiwagiの画面等々をお見せしたいと思っております。

まず、仕掛けの1番目。いつでもどこでもすぐにでもという所です。PC、タブレット、スマホなど、デバイスを選ばずに入力できるというBtoCの世界では当たり前のことを、BtoBにも展開するということが必要だと思います。迷わず楽に最後まで、マニュアルやトレーニングがなくても、周囲に質問ができなくても、最後までたどり着くことができるということが、BtoBにおいては大変重要であります。

デジタル化に例外なしと書いてありますが、80%だけデジタル化。残りは紙のままということでは本当の効率化にはつながらないということです。例外なく発生源でデジタル化するということが大事であります。

それから柔軟・迅速カスタマイズと4番目に書いてあります。企業は大きくなるに従って、それまでの歴史的経緯、毎年の労働組合との交渉、規程の改定等によって、各社ごとに異なる人事制度を持っています。それに対して、早く、そして柔軟に対応できる・カスタマイズできるというような能力が必要になってまいります。

従業員に関しては、単一のユーザーインターフェースも大事になります。ユーザーシステムごとに全部UIが違うようなものを覚えろというのは、間違った行動ではないかと考えます。

最後、UIとは少し違いますが、社内人材を消費しないということは、今後人口減少社会において重要になってまいります。

システムを導入したことにより非常に便利にはなったが、一方で新しい仕事が増えたということがあっては人口減少社会への対応にはなりません。そこで、その部分を何とか抑える方法を提供することが、ベンダーの役割ではないかと考えております。

次に、仕掛けについて画面を見ながらお話をさせていただきたいと思います。

良質なユーザーエクスペリエンス実現に向けての積み重ね

まず、レスポンシブと書いてあります。これはTokiwagiのワークフローです。人事上の申請をする際に、レスポンシブに画面が変化するということを表しております。PC、タブレット、スマホのそれぞれ画面の幅に合わせて、見やすい形に表示をすることができるという画面です。

タイムカードでも同じでございます。PCですと打刻の画面があり、右側には労働時間の集計のようなサマリーが載っております。縦型のタブレットになりますと、労働時間の位置づけ等々は下に回ります。スマホになりますと左側にあったカレンダーが無くなり、打刻専用の画面になります。このような形で、いつでもどこでもすぐにでも、従業員の方が操作できる仕組みを作り上げております。

それから、ビデオの中でもご紹介いただきました、ナビゲーションという考え方です。BtoCにおいて、リコメンデーションというものがあるのですが、BtoB、特に人事の領域ではリコメンデーションというものは無いので、何をしなくてはならないのかということは明確にわかっております。

その為、それを従業員の方にわかるように誘導していくことがナビゲーション機能になっています。わかりやすく説明するために、婚姻届や祝電を送るかどうかという画面を挙げさせて頂きます。最初の左側、ナビゲート画面の方で会社からの祝電、電報を希望するとしますと、その次の画面で式場の開始時間や披露宴会場名、住所等を尋ねる画面が出てきます。

迷ってしまうのは、そこに何を入力するかということよりも、その欄に入力すべきかどうかがわからないという悩みが出てまいります。普通これは紙でやります。紙でやりますと、この紙の上に、「もしもあなたが電報を必要とするのであれば、下の欄に記入してください」という案内がある。そしてその下に空欄が並ぶ形になります。

こうしますと、紙の上にif文が乗り、「もし要らないならこうしなさい、さもなければこうしなさい」ということが載ってきます。そこで人間の頭というのは一旦ストップしてしまいます。

このナビゲーション機能というのは、先に質問して、それに対応する画面を動的に生成するという仕組みによって、ユーザーの迷いがなくなるといった仕掛けになっています。そのため、逆に希望しないという場合にはその画面は出てきません。

結果、ご本人は迷うことなく入力を進めていくことができるということです。

次に、全ての書類を電子化することも必要でございますので、勤怠や身上変更、人事評価、福利厚生等が全ての画面から対応できるようになっているということが重要なポイントであると思います。

そしてもう一つ、全ての経路というものもあります。

人事関係の書類の経路は非常にいろいろあるため、それに対してきちんと対応してるということが大事です。単に本人が承認申請し、上司が承認して、人事部が確定する、というだけではなく、人事から一方的に配るもの、例えば給与明細のようなもの、配ってから回収するもの、例えば人事評価表や、年末調整の書類のようなものもございます。

そのため、リアルな世界、現実世界で現れる全ての経路というものが電子化できること。これも大事なポイントになってまいります。

また、UXのための入力の支援機能というものも大事です。これはシンプルな例でありますが、路線の検索と組み合わせて定期、あるいは経費の旅費、交通費といったものを自動的に選べます。

この事例におきましては、もし定期券の申請をして、一番安い経路ではないものを選んだ場合、きちんとその理由を書かないと申請できない。というような仕組みが入っております。

次に、入力支援機能でのエラーチェックでございます。3つほど例が挙げられていますが、今申し上げたような定期券代を申請する際に最安値でない場合は理由を書かなくてはならない、書かないでいると、申請がそもそもできない、という仕組みでありますとか、あるいは単純に半角でないと駄目であるとか。右側になりますが、タイムカードを打刻する際に、過去に打刻されてない日時が表示されるというようなエラーチェックをかけることによって、抜け・漏れなく全ての情報を企業として従業員から集めることができるようになっております。

BtoCの世界ではクリック数が少ないということが大事ですが、この画面もその一例でございます。最小限の画面遷移というのもUXのために大事であり、この場合はライトウィンドウのようなメイン画面の手前に表示されるウィンドウを用いて画面遷移を最小限に絞っているということが決まっています。

ここでは休憩時間の時刻ですが、その入力が終わりますと、元の画面にスムーズに戻るというような形で、画面遷移を最小限に絞っています。

そして、外国の従業員の方が大変増えていることからビザ管理というのも一つの大きなテーマになっているため、バイリンガル機能も重要になってまいります。ワークフロー、タイムカードともに、日本語・英語の表示というものができるようになっております。

また、少し趣が変わりますが、カラーリングです。ユニバーサルカラーリングというものへの意識も大事になってまいります。色覚に障害がある方、色弱、色の区別がつきにくい方も含めて、見やすいような画面の配色をするということも大事です。単に奇麗とか、かわいらしいということではなく、機能としてのカラーリングをこの中に詰め込んであります。

それ以外にも、表示内容の重要度に応じて文字の大きさを変えるということもやっています。これはタイムカードでございますので、日にちや打刻時刻といったものが重要になる為、そういったものが大きく表示される、全体としてメリハリの効いた画面構成というのも、UXのためには重要であります。

また、少しUXとは異なるかもしれませんが、全ての情報が手に入るという意味ではUXと言えると思います。法改正、コンプライアンスの対応ということで、去年から非常に時間管理に対する行政、あるいは法律の指導が厳しくなっております。

そのため、1カ月が終わった時に残業規制を超えてたということは許されないため、月の途中でも超えそうな方がいれば、本人にそれを通知する、あるいは人事部の方でそのような方々を把握するといった機能が必要になってまいります。

先ほどのタイムカードのインターフェースから、直接この画面にで飛ぶことができます。そして、もし警告が必要であればそのような警告を出すことができるということで、法改正コンプライアンスにも対応しております。

次に、これはTokiwagiの非常に大きな特徴なのですが、柔軟で迅速なカスタマイズというものがこちらに載っております。ノーコーディング、あるいはノーコードという技術がございまして、プログラムを不要とする技術があります。

定義をすること、物事がどういう動きをするべきかということを決めることは重要なのですが、それを精密に定義さえすれば、プログラムなしに、あるいはプログラミングの行為なしに、Tokiwagiを動かすことができるということになっております。

実際変化するのは、例えば計算です。給与計算の定義。先ほど自動計算という話を差し上げましたが、Tokiwagiにおきましては、1カ月部分の給与計算の手順というものを全てエクセルの定義表に記述することができます。記述した通り、Tokiwagiは複雑な給与計算というものを行うことができるようになっています。

ワーフローにつきましても、会社ごとに違う、収集した項目があります。それらを全てマクロ定義書に定めることで、プログラミングなしにTokiwagiをカスタマイズすることができるという仕組みになっております。これも特に大きな企業におきましては、大事な機能になってくるということです。

他にも多々あるのですが、今日ご紹介するのはピークに対応するクラウドインフラというこのページで最後になります。人事関係のクラウドの負荷というのは、実は毎月第1営業日、第2営業日、第3営業日あたりの午前中にピークを迎えます。

これは何かと言いますと、みなさまが前月分の勤怠をタイムカードに締めて、それから打刻がない等がある場合はそれを締め、勤務時間を集計し、上司がまたそれを見て集計し、それから人事部が見てそれを集計するといったことをやってまいります。

そのため、最初の方の営業日の午前中というのは非常に高いピークになります。グラフに示してありますが、緑色線がそのログインの成功数でございます。それに対してかかった時間が下の水色の棒グラフになっております。

数が増えても、水色の棒グラフは高くなってないということがわかると思います。その理由は非常にシンプルで、これはOracleさんのクラウドを使っておりますけども、CPUの数を負荷に応じて増減させるといったことをやっております。

そのため、朝の時間帯に関してはCPUの数を増やし、午後に関しては減らしているということで、このような安定した反応時間といったものを設けていることになります。

今日のBtoBにおけるUXについては以上でございます。

私どもとしましては、先ほど申し上げた、迷わず最後まで楽に入力できるということをまず基本として、そのための数々の仕組み、仕掛けを今日はご紹介をさせていただきました。ちょうど時間がやってまいりましたので私の方のお話は今日はこれでおしまいとさせていただきます。

大変ありがとうございました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。

編集部からのお知らせ