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» 2021年04月14日 08時00分 公開

ドローン自動航行レベル4実現に向けた基盤となる「ドローン管制」とは?

本格的な産業応用と市場形成が射程に入った「空飛ぶロボット」=ドローン。同一エリアに数百機が同時に航行する日も遠くない。政府機関と民間企業がその日に向けて着々と準備を進める中、安全確保に欠かせないのが「ドローン管制」システムだ。今回はドローン技術の進化と管制技術について解説する。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

ドローン産業応用は飛行レベル4の実現で花開く

 ドローンはご存じの通り、遠隔操縦により無人飛行ができる航空機だ。その飛行の自動化レベル(飛行レベル)は、自動車の自動運転レベルと同様に、レベル1〜4に整理(図1)されており、現在産業応用されているのは主にレベル1および2のドローンだ。

図1 ドローンの飛行レベル (資料 KDDI) 図1 ドローンの飛行レベル (出典:KDDI)

 図1のように、レベル1は人がドローンの状態を見ながら手元の制御装置で操縦する、リモコン操縦だ。例えば農薬散布、空撮、橋や送電線などのインフラ点検などに利用できる。レベル2は、人が飛行を目視できる範囲内で、飛行プログラムによる自動・自律飛行ができる。空中からの写真測量やソーラーパネルの設備点検などが可能だ。

 レベル3は、人が目視できない範囲の自動航行が可能なレベルだ。適用用途はグンと広がり、島や山間部への荷物配送や、災害時の被災状況の調査、行方不明者の捜索、河川測量、広い範囲でのインフラ点検などが実施できる。

 レベル3に関しては、限られたエリアではあるが、既に荷物のデリバリー(定期配送ドローン便やネットショップのドローン配送サービス)などが始まっている。他にも官需・民需ともに多様な産業活用が計画され、一部実用化が始まった。ただし制度として飛行可能なのは無人地帯(山、海域、河川、湖沼、森林など、人が立ち入る可能性が低いエリア)に限られている。レベル3は、ドローンの衝突や墜落、建造物や人への危険に対する防止対策がまだ限定的なためだ。

 現在よりも一段と高い安全性が確保できると、レベル4が実現する。このレベルは、市街地などの人や建物が集中している有人地帯を含めてより広いエリアでの航行が可能になる。

 例えば都市部の物流(配送)や警備、災害救助や避難誘導、消火活動支援、都市インフラ点検なども可能になる。特に人の作業に頼らざるを得なかったインフラ点検を大幅に省人化でき、上空からの人やモノの行動、移動監視や警備もより正確かつ効率的に実施できる。測量、農業の圃場センシングなども省力化・合理化が可能になるため、社会的インパクトは大きい。ドローンの本格的な産業応用が始まることで、新しい市場が開けると期待される。

2022年実現予定のレベル4には管制システムが不可欠

 ただしレベル4実現のためには、機体本体の高い安全性(衝突回避機能など)が求められる上、安全な航行を確保するための運用が必要だ。「どの程度までの安全性を実現すれば、ドローン自動飛行が受け入れられるか」について社会的合意も必要になる。議論を前に進めるには、技術開発はもちろんのこと、国としての方針を固めることが重要だ。

 現在、政府は2022年までにレベル4を実現できるよう制度の改正を検討している。制度改正のポイントは、ドローン機体そのものの安全性を担保する「機体認証」、操縦者の能力を担保する「操縦ライセンス」、運用の安全性を担保する「運航ルール」の3つだ。なお、ドローンの所有者情報などの登録制度は既に実施されているが、これは安全要件を満たしていることを示す機体認証とは異なる。型式認証を受けた場合は機体認証を簡素化することも検討しているという。

 こうした議論がある一方、国として注力しているのがドローンの管制システムだ。レベル4に至ると、多数のドローンがそれぞれの目的で同じ空域を航行する。そこで懸念されるのが、ドローン同士、あるいはヘリコプターなどの有人航空機との衝突だ。10キロメートル四方に100台以上の密度でドローンが航行することも想定されるため、万が一にも接触し墜落すれば、都市部では甚大な被害になりかねない。

 衝突リスクを避けるために必要なのが管制システムだ。運航管理対象空域の情報とその空域内を飛行するドローンおよび有人航空機の情報を集約する。それに基づき複数のドローンを適切に制御して安全を確保する。

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