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アンインストールしても無駄? ストーカー的に課金し続ける危険アプリにご注意を:607th Lap

AppleやGoogleの審査をかいくぐって、詐欺まがいのアプリの販売が多数報告されている。その中でも、アンインストールしても課金され続ける危険なアプリの存在が公表された。

» 2021年04月09日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 詐欺の手口は尽きず、日々そのバリエーションは増している。

 最近、AppleやGoogleのアプリストアで販売されているアプリの中には、厳しい審査をかいくぐって、多数の詐欺まがいのアプリが紛れ込んでいるという。中でも、特に危険なアプリの存在を某セキュリティ企業が明かした。アンインストールしても課金され続ける危険なアプリがあるという。今、あなたのスマホに入っているアプリは大丈夫だろうか?

 「フリースウェア(Fleeceware)」と呼ばれる詐欺アプリの存在を、無償ウイルス対策ソフト「Avast」で知られるセキュリティ対策ソフトベンダーのAvast Softwareが2021年3月24日に自社のセキュリティブログで公表した。

 同社の研究員によると、計204本ものフリースウェアが「App Store」および「Google Play」で公開され、ダウンロード数は合計で10億回を超えているという。

 ところで、このフリースウェアとはどういったものなのか。

 アプリの中には、最初の一定期間は無料で利用でき、無料期間が終了すると課金が始まる無料トライアル型のアプリもある。使ってみて、ユーザーが「お金を払ってまで使うほどでもない」と判断すれば、無料期間中に利用をやめればいい。

 フリースウェアは、そうした無料トライアル型のアプリを装った悪質なアプリだ。無料トライアルアプリをダウンロードし、使い始めるときに「7日間は無料、その後は課金されます」といったメッセージを表示し、ユーザーがそれを承諾するように仕向ける。承諾すれば「課金を許可した」ということになり、ユーザーはこれを意識せずに課金を許してしまうのだ。

 またフリースウェアの中には、アプリをアンインストールした後も課金情報だけが残り、デバイスのユーザー設定やストアからキャンセルするまでは料金を請求し続けるタイプのものも存在するというからタチが悪い。なお「fleece」には「カネを巻き上げる」という意味がある。

 Avastがフリースウェアの一例として紹介したのが「手相判断アプリ」だ。使い始めるときに「3日間のフリートライアルの後は1週間当たり47.49ポンドを課金する」と表示される。これを承諾してアプリをインストールしたままだと、4日目にはきっちりと課金が始まる。47.49ポンドというと、日本円にして約7200円(2021年4月上旬時点)と決して安くはない。

 同社の調査によると、フリースウェアには画像処理や占い、QRコードリーダーなどのアプリに多いそうだ。そしてそれらはアプリとしては使い勝手が微妙なものが多い。だからこそ無料でちょっと触ってみて、放置してしまう。そして忘れた頃に課金が発生し、「やられた」と気が付くわけだ。

 App StoreやGoogle Playで配信されているフリースウェアは、週額、月額、年額といった課金形態でユーザーからお金を吸い上げているという。平均して、週額4〜12ドルを請求するフリースウェアが多いというが、中には週額66ドル、年額にして3422ドルも課金するフリースウェアもあるという。それらの売上総額は4億ドル(約440億円)を超える。

 ストアのレビュー欄を見ると、だまされたユーザーからは低い評価が付けられ、「ほぼ詐欺に近い」というコメントも見られる。しかし、こうした仕組みはストアのルールに明確に違反しているわけではないため、フリースウェアを「悪」と決め付けることはできない。

 Avastはこれを問題としてAppleやGoogleに報告しているという。また、トライアル後にユーザーが任意で課金するまではアプリを停止する仕組みを義務付けるほか、トライアルアプリをアンインストールする際に課金を停止することを明示するといった解決策を提案している。

 なお、フリースウェアの多くは頻繁に広告を出しているそうだ。また、不自然にSNSで話題になることもあるという。“悪かろう高かろう”なアプリにはとにかく注意を払う必要がある。できるだけリスクを抑えるために、今利用しているアプリの課金情報を確認してみてはどうだろうか。


上司X

上司X: トライアルと課金のシステムを悪用したアプリが増えているという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: フリースウェア、これはなかなかのものですね。


上司X

上司X: うっかりしていると、ガッツリ課金されるからね。注意しないと。


ブラックピット

ブラックピット: でも、アンインストールした後も課金されることもあるんでしょう? なおさらタチが悪い。


上司X

上司X: 「利用料が高いよ」と思ってアンインストールしてるのに、いったん許諾しているから課金は続くという。


ブラックピット

ブラックピット: 詐欺アプリですけど、別にマルウェアってわけじゃないから難しいですね。


上司X

上司X: そこがズルいところだよ。たまに不自然なほどSNSで話題になるアプリってあるじゃないか。画像フィルター系とか。あと、これでもかと広告を打っているアプリなんかも危険だね。


ブラックピット

ブラックピット: ああ、思い当たるアプリはありますよね。そうか、ああいうのは悪意のある人たちがわざわざ宣伝しているんですね。怖い怖い。


上司X

上司X: 怖いとばかり言ってる場合でもなさそうだよ。もはやアプリを何でもいいからダウンロードしてみて試す、ということも危険な時代になってきているわけだ。これからはダウンロード前にアプリの素性や課金システムをちゃんと確認する必要がありそうだ。もちろん、インストール時の規約なんかも流し読みは厳禁だ。自分の身を守らないとな。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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