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» 2021年04月07日 07時00分 公開

「ベテラン社員にチャットは無理」の偏見を変えた石井食品のコミュニケーション改革秘話

ミートボールで知られる石井食品の石井智康社長は2017年に入社し、主なコミュニケーション手段はガラケーとFAXという業務現場にショックを受けた。ITツールに不慣れなベテラン従業員もいる中で、あえてチャットツールで現場を変えようと決めた。

[土肥正弘,ドキュメント工房]
石井食品 石井智康氏

 創業75年の老舗企業、石井食品の若きリーダーの石井智康氏(代表取締役社長執行役員)は2017年入社以来、同社ITとコミュニケーション基盤の整備に取り組んできた。電話やFAX、メールによる旧来型のコミュニケーションを改善する切り札としたのが「Slack」だ。ITに不慣れな従業員に理解を求め、社内にチャット文化を根付かせようとした同社の奮闘を紹介する。

本稿は、「Why Slack? 非対面でのエンゲージメント・オンボーディング」(主催:Slack Japan)における石井食品の石井智康氏による講演「世代と時間と距離の壁をSlackで壊す」を基に、編集部で再構成した。

メールアドレスすら持っていない、がくぜんとした情報環境

 石井食品は1946年に創業し、ミートボールなどの身近な食品メーカーとして知られる。全国に3つの工場と5箇所に営業所を持ち、パート従業員を含めると従業員数は約580人(2021年3月現在)、工場の高卒採用者は18歳、定年後の再雇用対象者は60歳代と、幅広い年齢層の従業員が働いている。

 石井氏が入社した当時は、社内は携帯電話(ガラケー)とFAXが主なコミュニケーション手段で、メールシステムは工場内の自社サーバで運用し、自社Webドメインの管理やWebサイトの構築に関しても現在の一般的な手法とは懸け離れていたという。アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズをはじめ、ベンチャー企業やフリーランスとして大規模システムやWebサービス開発などの仕事に携わってきた石井氏にとっては、がくぜんとするような情報環境だったようだ。

 「IT系以外の中堅企業ではままあることだが、PCとメールアドレスを持っていない従業員がいたことがカルチャーショックだった。製造業ではよく聞く話だが、特に工場ではラインでの製造作業がメインとなるため、中にはPCを使う頻度が少ない従業員もいる。こうした環境の中、コミュニケーション課題は山積で、意思疎通の食い違いが社内の至るところで生じ、チームの足並みが揃わない状況が見えてきた」(石井氏)

ITに不慣れな従業員もいた中で、なぜSlackは定着したのか

 入社後に石井氏がまず始めたのが、Slack無料プランの利用だ。無料プランなら社内稟議(りんぎ)を通すのもそう難しくはなかった。セキュリティポリシーは検討が必要かもしれないが、ブラウザでも利用可能なので、手っ取り早く始めることができると考えた。

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