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» 2021年03月15日 08時00分 公開

なぜオンライン採用はうまくいかないのか? 面接の達人に聞いた

リモートワークが進み、従業員同士の信頼関係が薄くなることが危惧される。従業員に共通した文化や価値観が生まれにくく、生産性向上も見込めない。人材の採用段階から意識しておくべきポイントがある。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 テレワークを導入した企業で、人と人、人と会社の関係性が希薄になったという悩みを聞く。信頼関係で結ばれた強い組織を作るためには、人材の採用段階からエンゲージメントを意識することが肝心だ。約20年にわたって人事業務に携わり、2万人以上の採用面接を経験した人事と組織開発のプロフェッショナルに秘訣を聞いた。

本稿は「Activate HR2020→2021」(主催パーソル)における、人材研究所 曽和利光氏の講演「テレワーク時代に強い人間関係と組織を作る、これからの『採用』とは」を基に、編集部で再構成した。

インフォーマルなネットワークとは何か?

曽和利光氏 人材研究所 社長 曽和利光氏

 Webからのエントリー、オンライン面接など採用業務のオンライン化が進むと、応募者とのコミュニケーションが不足になりがちで信頼関係の構築が難しくなった。人材研究所の曽和利光氏は「オンライン採用の特徴を理解し、注力ポイントをシフトする必要がある」と言う。

 同氏が重視するのは、従業員の間で自然発生するインフォーマルネットワークだ。冗長でスロー、非連続、内発的な行動といった言葉で表され、年齢や職域、立場、地位を問わない人間関係が築ける。会社組織図に描かれるような組織構造(フォーマル組織)では見逃されがちな派遣社員やアルバイト、パートナー会社の関係者なども含まれる点も特徴の一つだ。

 「インフォーマルネットワークはフォーマル組織が担う機能を補完し、事業のパフォーマンスを高める。メンタル面のケアを含めて組織からの離脱をつなぎとめるセーフティネットとしての役割も果たす」(曽和氏)

インフォーマルネットワークの効能 図1 インフォーマルネットワークの効能(出典:人材研究所)

 インフォーマルネットワークを重視する理由の一つは、フォーマル組織だけでは分からない従業員のパーソナリティーが見えてくることだ。適材適所の配置が可能になり、十分な能力発揮が期待できる。

 曽和氏は「チーム構成員の組み合わせ次第で生産性が大きく変わる」と、ヒューマンロジック研究所の資料を引きながら指摘する。パーソナリティーを考慮せず、スキルや経験を基にして組んだチームは、予想される人数分のパフォーマンス(生産理論値)よりも低くなる。パーソナリティーを考慮する際には「似た者同士」で組むよりも、お互いを補完し合えるような関係性を持たせた方がマンネリ化を招かず、期待値以上のパフォーマンスを発揮する可能性が高い。

 では、インフォーマルネットワークを意識した採用戦略とはどのようなものだろうか。特にオンライン採用で失敗しないためのポイントを解説する。

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