ニュース
» 2021年02月12日 07時00分 公開

なぜ資生堂はコロナ禍でも新ブランド立ち上げに失敗しなかったのか? 直面した情報共有の壁とは

新ブランドの立ち上げを予定していた資生堂。しかしプロジェクト進行中に突如コロナ禍が訪れた。立ち上げも目前に迫り、在宅勤務で大量の業務をさばく必要があった。そこで直面したのはチーム同士の情報共有の壁だった。

[齋藤公二,インサイト合同会社]

 化粧品を中心にレストランや教育・保育など幅広く事業を展開し、「ビューティーイノベーション」による社会貢献を目指す資生堂。1872年の創業から150年を迎えようとする同社だが、100年先も持続的に輝き成長し続ける企業として、社会課題の解決や環境負荷軽減にも積極的に取り組んでいる。そんな同社がサステナブルな社会の実現を目指し、2020年6月に、「BAUM(バウム)」という新たなブランドを立ち上げた。

 プロジェクトはちょうどコロナ禍の時期に差し掛かっていた。在宅勤務で進められたプロジェクトには紆余曲折があったという。特に課題となったのが、メンバー間の意思疎通、情報共有だ。資生堂の桑原晋氏(BAUM マネージャー)が、コロナ禍であっても、円滑にコミュニケーションを図ることができた理由について当時を振り返りながら語った。

本稿は、「Why Slack? デジタルワークプレイスとしてのSlack」(主催:Slack Japan)における資生堂の桑原晋氏による講演「コロナ禍で資生堂新ブランド立ち上げ - 大量コミュニケーションをどう捌いたか」を基に、編集部で再構成した。


7カ月後に迫った新ブランドの立ち上げ、直面した3つの課題

 資生堂の新ブランドBAUMは、ドイツ語で樹木を意味し、樹木との共生によって生まれる豊かな営みと共に肌と心を慈しむというコンセプトを持ったブランドだ。スキンケア、フレグランス、ルームスプレー、ハンドクリームといったラインアップをそろえる。このBAUMの立ち上げにあたって直面したのが情報共有にまつわる課題だった。

 「7カ月後に迫った発売を前に、ブランドフィルムやWebサイト、製品のコピーや広告素材、SNS投稿用の素材など大小さまざまな制作物を作る必要がありました。少人数で3つの部門でスクラムを組んで、意思決定を迅速にし、効率よく進めていくことが求められました。コロナ禍で慣れない在宅勤務を行うなか、『状況の整理』『情報共有の高速化』『迅速な決定』の3つが重要でした」(桑原氏)

 状況の整理における課題は、担当者がそれぞれの業務状況をいかに整理し、把握するかにあった。担当する仕事には、ビジネス戦略、商品開発、コミュニケーション開発、PR戦略、店舗開発、SNS運用などがあり、ブランドディレクターも含めて少人数でブランド全体を運営していた。このため、一人あたりの守備範囲が広く、大量の仕事をさばく必要があった。また、特に発売前であるため、決定すべき項目が多岐にわたっていた。

 また、対面でのミーティングによる工数の増加が課題になった。チームはブランドチーム、クリエイティブチーム、マーケティングチームがそれぞれ汐留、銀座、浜松町に分かれていたが、対面での定期的な定例会議とメールコミュニケーションで進めていたため、情報連携に時間がかかっていた。

 そして、デジタルコミュニケーションを主軸に置いて、部署間を超えて議論し、迅速に意思決定することが何よりの課題だった。

資生堂流、大量コミュニケーションのさばき方とチーム結束のコツ

 BAUMチームが抱えていたこれらの課題解決に向けて、導入したのがSlackだった。Slackとオンライン会議ツール、チャットツールを「情報の整理」「情報共有の高速化」「迅速な決定」の3つの視点で評価したものが以下の図だ。

資生堂による他ツールとの比較(資料提供:資生堂)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。