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RPAで事務処理の9割以上を削減、業務に「全集中」できる経理部門に変えた2つの取り組み

ITサービス事業とエンジニアの派遣事業を中核とする日本ディクスは、収支表の作成とエンジニアの派遣先への請求処理に毎月多くの時間を費やしていたが、RPAを活用した2つの策によって工数を大幅に削減できたという。その策とは。

» 2021年01月25日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 ITサービス事業を軸とする日本ディクスは、クラウドERP「ZAC」とRPA(Robotic Process Automation)を組み合わせることで、1日当たり延べ150分の作業時間を削減、1カ月当たり200分かかっていた派遣エンジニアの給与処理の作業を15〜20分にまで短縮した。本稿では、その結果に至るまでの道筋を紹介する。

業務を圧迫する事務処理の9割以上を削減、RPAをどう使ったか

 システム開発などを手掛ける日本ディクスは、専門性を要する業務に従事する従業員が自身の業務に、より専念できる体制の構築を進めている。そのきっかけは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として導入したテレワークだった。

 テレワークによって開発部門のメンバーは本業に集中できる環境が手に入ったが、経理部門の担当者は日々のルーティーン作業が自身の業務を圧迫し、自業務に“全集中”したくてもできない状況にあった。そこで、クラウドERPのZACとRPAを組み合わせ、経理業務における2つの作業を自動化することを考えた。

日本ディクスの作業の様子

 1つ目は収支表(予算実績対比表)の出力、加工の自動化だ。経理部門では毎日役職者30人がZACから収支表を出力し加工していたが、RPAを活用したオリジナルのプログラムを開発して、ZACから帳票を出力し、ZAC外のデータと組み合わせて加工した上で、役職者に配信するまでの一連の処理を自動化した。さらに、1時間ごとにデータを更新する処理も組み込んだ。これによって1日当たり延べ150分の作業を削減した。

 2つ目は派遣エンジニアの給与計算処理だ。日本ディクスは、エンジニアの派遣業務も事業の一つとしている。派遣エンジニアごとの作業単価と派遣先の企業での実稼働時間を基に請求金額を計算し、派遣先の企業に請求書を毎月発行する必要がある。これまではタイムカードに書かれた実稼働時間を手入力して見積書を作成し、入力に間違いがないかどうかを目視で確認した上でZACから請求書を発行。その後、締め処理を経て給与計算システムにデータを連携するという6工程の作業を行っていた。

 この作業をRPAで一括処理するプログラムを組み、タイムカードの内容をZACに自動入力し、見積書と請求書の発行、給与システム連携までの流れを自動化することで、1カ月当たり200分かかっていたものを15〜20分に短縮した。しかも、タイムカードの内容をZACに自動入力することで、目視での確認や手入力による入力ミスも防ぐことができたという。

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