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安定稼働第一の金融機関でのバックアップ課題、マネックスグループの取り組みとは

マネックスグループはこれまで、バックアップの運用負荷に大きな課題を抱えていた。およそ2年半前に実施したリプレースとその効果を紹介する。

» 2020年12月28日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 マネックスグループは2004年8月に設立されて以来、一貫して個人投資家向けオンライン証券事業を基軸にサービスを展開してきた。現在は日本だけでなく米国や香港、オーストラリアでもオンライン証券事業を展開し、日米で仮想通貨サービスを提供するクリプトアセット事業にも参入、顧客基盤の拡大を図っている。

 金融業である同社にとって、ストレージ障害はビジネスに大きな影響を与える。これまでバックアップの運用負荷が高く処理速度の遅さなどに課題を抱えていた同社が新たなバックアップ環境を構築した事例を紹介する。

バックアップに時間がかかり、処理結果を一覧で確認することもできなかった

 同社はこれまで、グループ企業の従業員が利用するファイルサーバのバックアップ用に主にHDDを搭載したストレージやファイルサーバを利用していたが、処理速度の遅さや運用管理負荷の高さといった多くの課題を抱えていた。

 以前の状況について、同社の高橋友樹氏(人事部IT担当)は、次のように説明する。

 「まず挙げられるのはバックアップの処理速度が遅いことで、規定の時間までに終わらないことが多々ありました。またエラー発生時には自動でリトライがかかる仕組みなので、管理者が貼り付いている必要はなかったのですが、“何時に、どのバックアップが、どのように取られたのか”という処理結果を一覧で確認することができなかったのです。これらは非常に大きなストレスでした」

 さらにもう一つの運用管理面の大きな課題は、ストレージに搭載されたHDDが度々障害を起こすことだ。

 「HDDが故障した際には、まずITベンダーに連絡して交換用のパーツを調達してもらうのですが、それに時間がかかり、さらにわれわれがデータセンタに足を運んで平均3〜4時間は交換作業をする必要がありました。効率的な運用管理を実現するためには、耐障害性の高いストレージ環境が必要でした」(郄橋氏)

新たな製品の導入でITコストも大幅に低減

 バックアップ処理に多大な手間がかかり、一元的な管理も難しかった同社は、新たなバックアップツールを採用し、バックアップ先のストレージとして、HDDを利用しないオールフラッシュの製品にリプレースすることを決定した。

 同社が採用したのは、ピュア・ストレージのスケールアウト型NAS「FlashBlade」と、バックアップソリューション「Veeam」だ。2018年1月に導入を完了させ、現時点で2年半以上が経過しているが、既に約50%のデータ圧縮効果を発揮し、ITコストの低減も実現したという。

 高橋氏は導入の効果を次のように語る。

 「HDDを搭載しないオールフラッシュNASを採用したことで、障害頻度は大幅に減りました。耐障害性が飛躍的に向上したということで、これは安定稼働性にもつながってくる効果です。バグ発生などのアラートは上がってきますが、実際の障害発生までに及んだものは、これまで1件もありません。この2年半の間、データセンタにいって作業したことも皆無です。われわれの運用負荷は大幅に減りました。安定稼働が重要な金融機関にとって、大きな成果です」

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