連載第3回となる本稿では、日本マイクロソフトが提唱し、段階的に進めるDevice as a ServiceのSTEP2「ユーザー中心の管理モデル」について解説します。第2回で説明したSTEP1では、Device as a Serviceによってハードウェアとソフトウェア、クラウドサービスを一括月額で調達することで、人材の流動性を考慮し、短期利用ニーズに合った調達が必要だと解説しました。レンタルPCを基礎としたこのSTEP1を基に、PCの調達、運用をさらに簡素化するための考え方がSTEP2となります。
「as a Service」の大原則は、あくまで人にサービスを提供するということです。つまり、第1回で述べたDevice as a Serviceのキーワード「ユーザーへ直接」ということです。現在のPC運用は調達から運用の全てをIT管理者が担っていますが、Device as a Serviceはベンダーと従業員が直接つながり、PC調達から運用までを事業者が「サービス」として提供するものです。社内のIT管理者が面倒をみていたものが、Device as a Serviceでは社外の人(サービス提供事業者)が面倒を見るようになるということです。社外の人が顔も知らない従業員の端末の面倒を見るわけですから、IDを基にして全てを管理する必要があります。ユーザー認証もIDをベースにする必要があるのです。
となれば、セキュリティもIDベースのゼロトラストを前提に考える必要があります。デバイスの供給から運用までをIDベースで管理することで、PCの運用管理を簡素化できます。IDをベースとすることがユーザー中心の管理の第一歩です。
PCなどのハードウェアとソフトウェア、クラウドサービスを一括月額で調達するのがSTEP1、STEP2でPC運用をユーザー中心の管理に乗せることで、IT管理者の負担を軽減します。第1回でも触れましたが、モノの管理、資産管理(在庫管理)は、IT管理者にとって相当な負担です。モノを調達して運用するという思考からモノの調達、運用をサービスとして受けるという思考に変えることでIT担当者の負担の軽減を可能にします。
入社した人が試用期間の3カ月で辞めてしまって、せっかく調達したPCが無駄になったという経験をしたIT管理者もいるでしょう。その場合、せっかく新規調達したPCを他の従業員に回すという発想になりがちですが、それでは資産管理(在庫管理)が発生してIT管理者の大きな負担になり、悪循環を招きます。人材の流動性を考慮して短期ニーズに合わせたPC調達であれば、人材の出入りに合わせてDevice as a Serviceを契約、解約するだけで済み、無駄な資産管理は必要なくなるのです。
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