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一見正攻法がRPA失敗の原因!? DX実現の鍵を握る逆転発想とは

» 2020年10月12日 10時00分 公開
[元廣妙子RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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RPA BANK

コロナ禍により、RPAを含むデジタル化三種の神器を備えられないリーダーはブラックと見られる程になりました。

厳しい状況ですが、それでも結果を出す人はいて、そこにはある共通点が存在します。

WinActorによる自治体の10万円支給自動化事例等も交え、今こそ取り組むべきことをご提案します。

■記事内目次

  • 登壇者
  • 3つのトレンド
  • 不確実性の時代に必要なDX
  • 今求められるのはサーバント型リーダーシップ
  • この時代に求められる個人の姿勢
  • デジタルは義務から権利へ
  • デジタルの時代に求められる組織の姿勢

登壇者

株式会社NTTデータ RPAソリューション担当 部長 中川 拓也 氏

みなさまこんにちは。NTTデータ中川です。本日は、私としても少しチャレンジのプレゼンテーションを持ってまいりました。

「一見正攻法がある失敗の原因!?DX実現の鍵を握る逆転発想とは」ということでお話させていただきたいと思います。

まず自己紹介なんですが、NTTデータの中川と申します。業務自動化やRPA、OCR、こういった分野を、これまで15年やってきました。

まずお伝えしておきたいのが、NTTグループ1の新規ソリューション事業を作ったと評価をいただいてます。決してすごいだろうとか言いたいわけではなくて、こういう新しいチャレンジをしてきたということです。

正直、NTTグループは固い大手企業というのが実態なんですが、その中でも変化をし続けて、また変化をする組織会社に変えてきたと、それを体現してきた実績、経験を基に、本日はお話させていただきたいと思っています。

今日はSIerという立場を忘れて、ぶっちゃけの本音トークをさせていただこうと思いますので、場合によって、少し生意気なこと言ってるなとか、勝手なこと言ってると思われるところもあるかもしれませんが、これが本音だと思って聞いていただけますと幸いです。

3つのトレンド

本日は、ぜひみなさんに今日から取り組んでほしいということを、持ってきたわけですが、その中で最初に押さえていただきたいのが、今3つの大きなトレンドの流れがございます。ここをご理解いただいた上で、この時代に応じて正攻法も変わります。昔のやり方やってませんか、今は違いますよということを共有して、その先にある取り組み、組織、個人・私たち自身の取り組み姿勢、こういったことを一緒に考えていきたいなと思っています。

まず、最近の私の出来事からお話ししていきますが、RPA事業、第二創業メンバー募集です。おかげさまで6月から中途採用は絶好調で、私も毎晩中途の面接をしています。

書類でもたくさん考査を絞ってるんですけど、それでもいい人がたくさん来てくださって、もう毎夜、面接してるんですね。それ自体は嬉しい悲鳴なんですが、ここでお伝えしておきたいことがございます。

それが何かという言うと、当社に申し込んでくださる方達の動機理由なんです。よくおっしゃるのが、コロナ禍で会社が結局何の手も打たなかったとか、いまだにリモート環境が用意されてない、テレワークも禁止にされてるとか、RPAやAIを使ってない、全部人間がやってる、紙の書類を処理するために出勤しなきゃいけない、こういうのが今、会社を辞める理由になってきてるんです。

彼らが自社の経営者・上司が、そういうことを積極的にやろうとしてないと思うと、ブラックだっていうようなニュアンスでそういうお話をされます。こう変わってきた、今こんな怖いことが起きてるってことを、まずは共有したいと思ってます。

それこそ私が入社した頃であれば、私が今の会社に入社した理由の一つも、福利厚生が手厚いとか、社宅があって、寮もあってとか、食事手当が出てるとか、ありましたよね。

でも今、社員に優しい会社、社員を大切にしてる会社の定義が変わってきてるんだろうなと思います。正直若い人たちが保養所があるから入社したいとかっていうよりは、好きなように自分のやりたいことに挑戦させてくれる環境、働きやすいところで、ルーチンワークはロボット・RPAやAIにやらせて、付加価値の高い仕事にチャレンジさせてくれて、自分の成長に繋がる、だから、この会社に入りたいと、こんなふうに思ってる方が多いと思うんですよね。

そこら辺の社員を大切にする会社の定義自体が変わってきたと、ここもご理解いただきたいなと思ってます。今まで、デジタルデジタルってもう何年も言われてますよね、RPA部門も始まってから5年経ちました。

今までも聞いてたけどやんなきゃなとか、やりたいと思ったけど何か心配だなとか、踏み切れなかったお客様、みなさまに今日は私から特にお話したいと思っていまして、今すでに取り組んでくれる方にはまだやってない方に教えてあげる、お声掛けいただく、そんなネタにしていただきたいと思っています。

この数カ月でトレンドがはっきり変わったと思ってます。トレンドが変わった瞬間、やった方がいい。ある方がいいからやらなきゃでは駄目、まずいです。そういうものに変わったということです。

私が先ほどからトレンド、デジタルって言ってますが、絶対に押さえておくべき3つのトレンドということで整理してまいりました。どうしてトレンドにこだわってるかというと、トレンドには逆らうなと、泥舟を漕いでも浮かばないよというのが、仕事・ビジネスの鉄則だからです。生き方の鉄則と言ってもいいかもしれません。

沈んでいく船をいくら頑張ってこいだって、浮くのがせいぜいなんですよね、推進力なんて出てこないわけです。それよりは、ちゃんと流れを捉えておけば、何ならこがなくたって進んでいくわけですよね、こういう流れを捉えるっていうのはこれだけ大事だよということをお伝えしたいということです。

1つ目のトレンド、デジタル化。これは言うまでもないですが、1つは労働環境のデジタル化。リモート会議、リモートワークが当たり前になってきました。2つ目が、業務のデジタル化。AIとかRPAとか、もうやらなくていいものはロボットにどんどんデジタルでやっていこうと。3つ目が、紙やハンコのデジタル化、電子サインとかも当たり前になってきましたし、紙を、とりあえずまずスキャンすると、自動処理して、最後の確認だけ人でやろうとか、こう変わってきましたよね。

いかがでしょう、この傾向。今、このコロナ禍だからだけでしょうか、戻ったらなくなりますかね、消えますか。消えないですよね。ますます進んでいく。それ以外にあり得ないと思ってます。

2つ目のトレンド、ローコード(ノーコード)化とか、民主化と聞かれたことあるでしょうか。ローコード開発というのは、プログラムのこと。最小限のソースコードと、あらかじめ用意された画面上のアイコンの配置だけでソフトウェアを開発する手法、こういう定義になってます。ノーコードっていうのは、最小限のソースコードどころか、コードが一切ないということ。

例えば、弊社が提供しているWinActor、これはほとんどコードは使いませんが、一部スクリプトを書いたりするときもありますから、ローコードです。同じく弊社で取り扱っているAI insideさんのDX Suiteであれば、ノーコードって言えるでしょうね。完全に画面操作だけで、操作を自動化することができます。

並べて書いた民主化なんですけど、専門家とか、特権的な階級の方とか、そういう方じゃなくても、高度な技術を活用できるようになること、という定義です。

このローコード化、ノーコード化、民主化。この流れの中で、どういうことを実際に作られてるかっていうと、先ほど申し上げたように、WinActorであったり、DX Suite、AI-OCRであったりとかいうのもありますし、その他の業務ツール、スマホのアプリ、ECサイト、ホームページ、こういったものも、今は別にコードを使わなくても、作れてしまうんですね。アイデアさえあれば、すごい商品、SaaS型のビジネスなんかが始められてしまうという時代になってきました。

ですから、誰が使ってるか、専門以外の人、民主化された人が誰かというと、私達自身もそうですし、お客様の中で、経理部さんであったり、人事部さんであったり、生産管理部さんであったり、そういうみなさまがツールを使いこなされて、活躍されてるわけですね。

その結果何が起きてるか。ますますビジネスの世界が激しくなってるなと思いますね。誰でもリスクなく簡単にチャレンジできるわけですよね。大きな投資をして大システムを作らなくても、ECができちゃうんです。

ということは、競争も激しくなるし、どんどんいいものも出てくるしっていうスピードも速くなっていくということで、こういう世界になってきているわけです。

みなさんが今、もしかしたらですけど、心配して動いてない間に競合さんがどんどん先に行ってるんじゃないでしょうか。新しい会社さんがどんどん立ち上がってきて、肩を並べるところに成長してきてるんじゃないでしょうか。

この傾向は弱まるか、消えるか?これもますます簡単に、ますます誰でも使えてますますリスクないものになっていく以外、ないですよね。

3つ目のトレンドです。シャドーIT化。シャドーITというのは、企業組織側が把握していないところで、従業員または業務部門がITを利用していると、こういう定義。

要は見えない影で使ってると、もう一つ、シャドーITとだいたいセットで語られるのが、現場でEUC。EUCというのは、現場で業務を行う従業員や部門、エンドユーザーコンピューターのコンピューティングの略で、エンドユーザーさんとかユーザー部門さんが自らソフトウェアの開発、構築、運用管理、こういったことをやるということ。

これ一世を風靡しましたね。もうすごかった、EUC、EUCって一時期なっていて、逆にその反動というか、今EUCがすごく危ないって言われてきて、実は今、もう一度EUCが見直されているということなんですね。

もともと危ないってなんで言われてたかっていうと、プログラミングを一生懸命して、エンドユーザーさん、現場の方が、プログラミングを個人で頑張るというのは、それだけで見るとすごくいいことなんです。業務が一番わかっている方、一番しっかりやらなきゃいけないポイントがわかっている方が自分で作るので、そこだけで見るとちゃんと見えて、理想の形になっていて、そこはいいことなんです。

でも当時は難しい技術を優秀な方が使って作って、その方が仮に異動されてしまったりすると、残った人はあの人が作ってくれたこの素晴らしいツールをどうやっていじったらいいかわからない、どうやってメンテナンスしたら良いかわからないということが起きてしまって、EUCは危ないっていう定説が当時できたわけです。

でも考えてください。今、ローコード化が進んで、前任者さんが作ったツールが後任の方も、ちゃんとわかるんです。昔と違うわけです。そこの技術の発展を、ぜひ忘れずに、このEUCのことを考えてください。

もう一度EUCの定義をと言いますけど、現場を一番わかってる方が自分でやると、こんな素晴らしいことないんです。ただ、デメリットも当時はあった。でも今、技術が進歩したことでそのデメリットがかなりなくなってきたっていうことなんです。

こうして、シャドーITって言われるもの、EUCと呼ばれるものが見直されてきています。今、RPAとかAIツールとかを使って新しい技術がどんどんできて業務が改善されたり、高度な分析が現場でされるようになったりとか、進んでいます。

競争力がどんどんそういう会社は上がっているわけですね。これから弱まるか、消えるか。いかがでしょう、ますます拡大するしかないです。

実際、市場調査のレポートでも、経営者さんがこういうシャドーIT、EUCを容認する方向だっていうレポートもデータも、はっきり出ていますし、実際むしろ、容認どころか期待するっていう声も増えているような状況です。

やはり現場でやって、いいものを作る方がいいですからね。そうなっていくんだと思います。

ではどうしてこういう技術が期待されるか、こういうトレンドが起きてるか、これとセットなのが、実は今、不確実性の時代と言われるところと、デジタルトランスフォーメーション、DXって言われると思いますけど、ここが切っても切り離せない関係になっています。

不確実性の時代に必要なDX

不確実性の時代、VUCAって言われますね、社会やビジネスにおいて、将来の予測が困難になっている状態です。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性、ここの頭文字を取ったものになります。

もう一つ、デジタルトランスフォーメーション、こちらはシンプルに言うと、「デジタル技術を使ってイノベーションを起こせる体質に変容すること」。よくある誤解は、隣に挙げましたけど、デジタル技術を使って一世一代のイノベーションを成功させること、こんなイメージをお持ちのお客様が多いなと思います。変容というと脱皮する・孵化する、そういうイメージですよね。

でも、これはよくある誤解、こっちにいってしまうとまずいです。なぜなら、今の時代は不確実な時代、VUCAの時代ですから、今この瞬間絶対いいものだとしても、次の瞬間にはもう用なしのものになってるかもしれないんですよね。

ということは、ここで一世一代の賭けをしたところで、次にはもう使えない仕組みになってしまっているかもしれないということなんです。ですから一世一代の大変化、孵化をするわけではないと。

もう1個、元の定義みてください。変容する、そういう体質になること、これこそが真のデジタルトランスフォーメーションだと言えます。つまり、デジタルトランスフォーメーションっていうのは、このVUCAの時代を生き抜く企業のあり方、体質のことを言ってるんですね。

今求められるのはサーバント型リーダーシップ

ただこう言っても、いまいちその会社って何だろうってイメージしづらいんじゃないかと思うので、少し我々人間の話に戻して、もう一度考えてみたいと思うんですが、VUCAの時代に一番合うリーダーシップはサーバント型のリーダーシップ、もしくは支援型リーダーシップだと言われています。

定義としては、サーバント、使用人・召使い。つまり、部下に対して奉仕するっていう気持ちを持って接して、どうすればその組織のメンバーの持つ力を最大限に発揮できるのか、それを考えて、彼らが動きやすい環境作りに邁進するリーダーシップ、それが、サーバント型リーダーシップと言われるもので、これこそが、この不確実な時代に合うリーダーシップだと言われています。

どうしてそうなのか。大きく分けると、支援型サーバント型と従来の支配型のモデルとありますよね。左側が支援型ですが、組織を三角形で見立てたときに、リーダーが一番下にいます。そして、リーダーは各メンバーが頑張りやすいような環境を整える支援をして、メンバーが外に向けて力を発揮するというのが、支援型。

支配型の方はリーダーがこっちに行くぞって一つ方向を決めて、そのために「あなたこれやりなさい、あなたこれやりなさい」と決めて、必要な技術、力を集めてゴールを決めるこんなのが支配型だと思います。

これ、一概にどっちがいい悪いって言えないんです。支配型の方が、手堅いと思います。ちゃんと当たれば、大きな成果を確実にできて、例えばリスクヘッジもできていたり、何かトラブル起きたとき「あなたはこうやってフォローしなさいよ」、とかってやっておくことができたりしますので、支配型の方が安全だということもできると思いますし、結果が出たときはより大きな結果が出るかもしれません。

でも、今の時代には合わないんです。何でかって言うと、不確実だからです。支配型の方は、1分の1のチャレンジですよね、極端に言うと。支援型の方は、今5種類あるので、ここのうち1個当たればヒットが出せるわけです。そういうことから、支援型の方がいいんじゃないかと言われています。

同じく、今多様性、多様性ってやはり言われますよね。会社の中のビジョンとかでも、多様性って言葉必ず出てくるかと思うんですけど、多様性が生きる組織はどっちか。多様性って言いながら支配型でやってませんか。そのあたり意識していただければと思っています。

つまり、リーダーも組織も企業もサーバント型、これが目指す姿。これからの時代に合う姿だと考えてください。不確実ということもあるんですけども、もう一つ大事なポイントがあります。デジタルトランスフォーメーション、デジタライゼーション×イノベーション、新しいイノベーションを起こすと、こういう新しいことってどれぐらいの確率で成功しますかっていうと、調査によると5%もないそうです。

つまり、20回チャレンジして、1回当たるかどうかなんですよね。いかがですか下の矢印、チャレンジの数を見ていただいたときに、下の方だと、この組織を、チームを4つ作れば20個ありますから、1個当たるかもしれません。

でも右側の方のやり方だと、1分の1ですから当たらないんです、一生懸命手を打っても。PDCAの時代じゃないと、DDDDの時代だと言われます。この支配型のようにPDCAを大きく1個回して、一か八かの賭け、一世一代の勝負をするというのは、当然当たらない確率の方が20倍高いっていう、そういうことになります。

ということで、デジタル×サーバント型こそ、DXに近い組織、こんなふうにご認識いただければと思ってます。

少し、実際に当社ではどうなんだという気持ちになられるかと思うので、弊社の状況をお話させていただくと、今こうやって同じく中途採用の方とかが、応募してくださる理由として、「毎日新聞でNTTさんのことを見ない日がありません」と、「毎日新しいニュースになっててチャレンジがすごいです」と言ってくださいます。

なんでそんなことができるのか、毎日確かに新しいニュースが1つか2つ出てるんです。それは、実は超サーバント型組織なんです。これは弊社が標準で使ってる会社の組織図なんですが、社長どこにいるかわかりますか。

社長は一番下のところにいるんです。各組織の赤いところが私が所属する社会基盤本部というところで、私がいる事業部や担当っていうのは、もっとこの上の方にあるわけです。その上にはお客様がいるっていうこういう思想なんですけど、こういう組織体制でやってるわけです。

一つエピソードを紹介したいんですが、先日社長の本間に呼ばれて、RPAの説明をしてきたんです。社長の秘書から連絡があって、「社長がRPAの最近の状況を聞きたいって言ってるから来てくれますか」って言われて行ったんです。私達が、コロナの給付金で大変困ってる自治体さんのために、無償でRPAを提供するチャレンジというか、社会貢献をしたという話をすると、「すごいことしたな。これこそ真の社会貢献だ」と。自治体の職員さんがすごく困ってるっていう社会課題をあぶり出して、それが今解決に急に進み出してる、「これが本当の貢献だな」って言ってくださって、「そのまま頑張れ」と、「また頑張っていいことあったら、ぜひ教えに来てくれ」と社長言われたんです。10何万人の社長ですからトップから言われて嬉しかったんですけど、今回この資料を作りながら、すごく珍しいスタイルかもしれないなと思ったんです。

社長がわざわざ一社員に教えてくれって、あんまり実際はないんじゃないかな、他社様のことは私は存じないですけど、社長だったら「ちょっと来い、説明しろ」と言って、「ご苦労わかった。帰っていいよ」って言ってもおかしくないと思うんですよね。

なのに、「教えてくれ。良いことしたな、頑張れ。」と言ってくれて。これは究極のサーバント型社長なんじゃないかなと、手前味噌ですけどね、思ったところです。どうですか、みなさん自身、みなさんの会社、今、サーバント型になってますか。

「野良だから」「勝手に使うな」「危ない」と言ってませんか。「失敗したら終わりだぞ」「まずは全社ルール決めてから」「それまでは何もやるな」。これ、確かに一見正攻法なんですよね。ちゃんと決めてルールを決めて、ちゃんと手順を決めて、全員その通りにやる。

余計なことしないで、確実に進んで、リスクもないって見えますけど、どうですか。先ほどまで20分の1の話とかをお伝えしましたけど、こうやってやってたときに、これで変化に適応できるか。明日変わるかもしれない常識に対応できるか。これでビジネスに勝てるか、厳しいんじゃないかと思ってます。

これが、正直本音トークですが、我々ベンダーコンサル会社さんが危ないですよって言いますよね。あれ、お客様のためじゃないと思います。

実は自分たちのために言ってます。でしょうがない事情もあるんです。言わざるを得ない。一つは、やはり危ない。きちんとした体制作っていただく、そのお手伝いさせていただくのが我々の仕事になりますから、お金いただかなきゃいけないというのもありますし、「どうぞ社長頑張ってください」と言って、失敗して責任を取ることになったら大変なので、やっぱりそんなことも言えないですし、あとは、もう1個、お客さんに自分で進めていただくっていうときに、お客さんにやる気になっていただくのって実はすごく大変なんですよねそれよりはもう自分たちでやってしまった方が、よっぽど気分も楽なわけです。

だからついつい「危ないです。」「私達におまかせください」「安全に全部やります」って言ってしまうんですけど、これが、決してそれはお客様のためでは、必ずしもないと思います。そこはご理解いただければなというところ。

今は止まっていると、相対的に沈んでいく時代です。チャレンジしないと、相対的に沈んでいくんです。他がどんどんどんどん上がってきますから。ということで、ITでどんどん失敗しましょう、ローコードツール、ノーコードツールどんどん使ってチャレンジしましょう。というのは今日はみなさんと共有したい気持ちです。

ただ、投資とかの本とかでも必ず書いてますけど、投資は自己責任です。書いてますよね、失敗はあくまで自己責任で。失敗リスクのないように上手くチャレンジしていただければと思います。

この時代に求められる個人の姿勢

では、今組織とか会社のあり方、お話してきましたけど、みなさん個人個人で考えたときにいかがですか。周りでチャレンジしてる人とか、やろうとしてる人に向かって「危ない」「やめとけ」って言ってませんか。もしくは自分自身、「誰かがやってくれるんじゃないかな、IT部門さん、やってくんないかな」って思ってませんか。「なんか振られてきたぞ、推進組織さんと一緒にやろうって言われちゃったけどどうしよう、面倒くさいな、やりたくないな、ITの専門家じゃないし」って言ってませんか。

個人も同じです。動かないと相対的に市場価値を失う時代です。今、どんどん本来業務に加えて、ITのスキルを持った二刀流の人たちがすごく増えていますから、この中でそういうチャレンジをしないと価値がなくなってしまいます。

つまり仕事がなくなるということ。勝つのはどういう人か、一言で言うと、まず水に入っちゃう人。これ、いきなりは何の話かって思うか問われるかもしれません。私が今英語を勉強してまして、先日英語の勉強してる中でその先生が、「みなさん、ちゃんと大学とかまで行って勉強してきて、何で未だに喋れないで、こんな英語を勉強してるんですか」という、「さんざんやりましたよね」っておっしゃるんですね。

確かにそうだな。でもそのときに言ってたのが、勉強してきたことは、本を読んで、文法を調べてから穴埋めしたりってそういうことばっかりでしたよね、と。「あなたは何したいんですか。」と聞かれたので、「いや、話したり、聞いたり、こういうキャッチボールできるっていうのが一番の目的です。」と答えたんです。

「じゃあどれだけ話して聞いてきたんですか、そういう勉強してきましたか」って言われて、確かにしてないなと。それは水泳で言うと水にも入らずに、平泳ぎの角度はこういう動かし方でこうやって掻くのが一番、推進力が出るとか、陸上でそれを調べてるだけで、泳いでないのと同じだという話をしてて、確かにと思ったのと同時に、今のローコード・ノーコードツールとかの話とも同じだなと思いました。使いもしない、やりもしない、その前にまず危ないから、完璧に整えてから、理論が完全になってから泳ぎ出そうって言ってるのと近いなと思ったんです。ということで唐突ですが、水に入る人ってことを入れました。

もう一つは、トライアンドエラーを楽しめる人、これが非常に大事だと思ってます。私自身、冒頭に申し上げたように、NTTグループで非常に大きな成功することができて、変化に強い人間だと自負していますけど、実はこれが一番大きい。

常に仮説検証、試行錯誤。これがはっきり言って楽しくてしょうがなくて、こうやってやったらどういう反応が出るかなっていうことを日々やってる。その結果、いろいろチャレンジしたうちの一つが、うまくいって今のNTTデータのRPA事業というものができたっていうのが、実はきっかけなんです。

なのでぜひツールを使って、トライアンドエラーを楽しんで、このデジタルの時代を楽しんでいただければと思っています。

(動画)

「今までは一つずつ入力フォームも開いて、入力もして更新して次のを開くっていう繰り返しだったんですけど、作業時間が長かったりとか間違いが多かったのを確認しました。」

「RPAだと入力のデータさえ作ってしまえば、目を離していても最適のスピードで終わらせてくれるので、その分判断が必要な仕事に時間を回すことができました。結果として、入力時間も短くなったし、間違いも減ったと思います。」

「RPAがいる仕事環境だと事務処理が一部自動化できるので、電話対応や窓口対応、会議しない手続き等にかけられる時間が増えました。」

「RPAは汎用性が高くて、様々なことに活用できますので、ぜひ一度体験してみてください。」

(動画終了)

こちら、つくば市様からいただいたビデオです。私達が撮ったとかではなくて、職員様が自分たちでつくば市の中でもっとRPAを活用しよう、業務自動化しようって自ら考えて取り組まれて作られたビデオなんですが、もう本当に私が大好きなビデオで、こういう講演でもよくご紹介させていただいてます。

この方たちは元々は別にITの専門家とかではないんです。でも現場でRPAを使って、本当に見方も変わってっていうことで広がってる。先ほどの個人も相対的に市場価値を失うとかっていう意味で言うと、この方たちは公務員さんの中での市場価値はMAXなんじゃないかと思いますが、こんな素敵なキャリアが待ってると考えていただいていいんじゃないかと思います。

デジタルは義務から権利へ

今やった方がいい。やるとこんな素敵なことあると申し上げましたけど、本当に、今考え方が変わってきてるんじゃないかな、変えなきゃいけないんじゃないかなと思ってまして、元々ITを使うとかって、正直使わされてるぐらいの感覚があったと思うんですよね。

やらなきゃいけないからやるとか、食べていくためにやるとか、経理の整理処理するためにやるとかあったと思うんですけど、どっちかっていうとこれからはそういう義務じゃなくて権利になっていくと思います。自分で自分の仕事を、ITを使ってレベルアップするっていう、要は自分の生産性を考えたときに、自分の生産性を上げる武器なわけですよね、会社に対して「武器・環境を用意してくれ、そしたら俺は2倍働けるぞ」って主張していい権利になってきてると思います。

ということで、今もし、危ないからやっちゃいけないとかって言われたら、ぜひ主張していただいて、「やらしてくれ。いい仕事するから、成果出すから」って言ってください。

でもそうは言っても、心配だなってできるから、そういっても危ないんでしょ。と思われるかと思いますので、それも本当そうですよね。

どうやってまず進めるか、少し組織的なお話を一つさせていただこうと思いますが、先ほどビデオ提供くださったつくば市さんはこうおっしゃってましたね。ファーストペンギンを探せ。

つくば市さんは最初に試行導入をされて、その後、つくば市の中で研修をいろいろみなさんに受けていただいて、その中ですごく熱意のある方とかを見つけて、その方と一緒にまず成功したんですね。

この方がファーストペンギンであるというファーストペンギンがいると、後のペンギンたちも続きやすくなるし、続く流れがどんどんどんどん大きくなる。最初のファーストペンギンを探すのが大事だよって、つくば市の方がおっしゃってましたね。

教育でペンギンを探して、どんどん進めてもらうというやり方も一つあると思います。つくば市さんでいうとすごいことに、初年度ですかね、1組織でやって、次の年9組織に広がって次の年に30組織って、どんどんデジタル化の動きが広がっているんですね。

デジタルの時代に求められる組織の姿勢

では、組織論、簡単にですけど、申し上げると、攻めと守りのバランスをやっぱり取りたいっていうのはどうしても本音だと思いますし、全然間違ってることじゃないと思います。大きく2つ、今日は紹介させていただきますが、1つが育成型、つくば市さんはこちらにあたるかもしれません。

推進される方がいらっしゃって、各組織からそこに勉強に来てもらうとか、もしくは各組織の方たちに研修をすると、その方たちがレベルアップして前線で活躍する。研修を受けた方たちが推進する組織さんと常に繋がっているので、それこそ、シャドーITとか野良って言われる心配も、このコミュニケーションが取れていることで起こりにくい状態を作って、着実に成功すると、こういうバランスをとってるモデルです。

もう一つは、イベント型・タスクフォース型って呼んでますけど、推進組織さんが社内の部署から何人かずつ出てきていただいて、タスクフォースとかを作って、その中でみんなで一緒に取り組んでいくとか、課題を一緒に共有するとか、みんなで使える環境を用意するとか、こういうことをやって、しっかり進めるということと、安全に利用するということ。あとはノウハウを共有したりとか、脱落者を出さないとかそういう効果もあると思いますけど、こういうタスクフォースをやるというモデルがあると思います。

どちらも、そこまで新しい部署を立ち上げるとか、大げさなことではないので、比較的取り組みやすい方法だと思います。そうは言っても、じゃあ何からデジタルトランスフォーメーションしたらいいの、何やったらいいの。頑張れって言うけど何やったらいいのって思われるかと思います。

一番わかりやすい、それこそデジタルトランスフォーメーション、デジタルでイノベーションを起こすって考えたときには、新サービスの企画、それをデジタルを使ってやるっていうのが一番ぱっと思い浮かぶところかと思うんですが、なかなかそのアイデア出てこないとかもあると思いますし、自分はその企画部、アイデアを出す部門じゃないっていうこともあると思います。

どんな方でもやっていただけるものはこれかなあと思っていまして、まずはご自身の業務もしくは身近な自分の部署の業務、自分の仲間の業務を可視化したり、自動化するところからやっていっていただくのがいいんじゃないかなと思っています。

今、業務の可視化ツールとかもいろいろあって、すごく面白いんです。弊社でいうと、Dojoさんを使わせてもらってるんですが、操作してると勝手にマニュアルができて、この業務がこうなってるなとか、この業務はいらないんじゃないかなとか、この順番を逆にした方が効率いいんじゃないかななんていう検討もできます。

そして、そのツールをどうやって手に入れたらいいのか。決裁等の大変なんだけどっていうのもあると思いますが、今、試用版ソフト無償の研修がたくさんあります。特に、このコロナの影響もあって、みなさん無償で使ってくださいっていうのが今まで以上にサービスとして増えてますね。

タイミング的にも今、そういう意味ではチャンスだと思います。そして、非常にわかりやすいノーコードツール、ローコードツールが大半ですから、どなたでもまず試していただけるので、まず触ってみて、難しかったらもうそれこそ1回止めるぐらいでもいいんじゃないかなと思います。ぜひ触ってみてください。

でも、サポート欲しい、勝手にやれって突き放しすぎじゃないの、と思われる方は、ぜひ例えば弊社が提供しているハンズオン研修とか、トライアル効果保証パック、こういったものをご利用いただいて、一緒にサクセスしていければと思っています。

あと、新しく推進組織の構築支援ということを始めました。先ほどの研修型とかイベント型、こういったものを作るお手伝いを一緒にしていこうと思ってます。あくまで主役はお客様です。NTTデータで代わりに作りますとはなるべく言わずに、お手伝いをするという方で頑張っていきたいと思ってますが、組織作りから一緒にやらせていただきます。

そしてもう一つ、8月に大きなニュースを出させていただいて今、大変注目を浴びているデジタルトランスフォーメーションプラットフォーム、DXプラットフォームと私たちは呼んでいますが、こういうサービスがございます。

これは、自治体さんが対応したコロナ対策の給付金がございましたよね。あれで大変な状況だったんです。超短期間で、でも密になるから人をいっぱい集めるわけにもいかない。準備期間ないし、当初30万って言ってたのが10万になったとか、もう変更も多い。そういう難しい中で、国民の方の申請を受けて、10万円を給付するという業務をやらなきゃいけなかったわけです。もちろんシステム開発する余裕もないと。

そういう中で使われたのがこのDXプラットフォームだったんです。こちらを無償で使っていただいた結果、職員さんが、自分でRPAとAI-OCRを使いこなしてしまって、給付金業務を自動化した、こんな事例でございます。

こちらは私と別枠で弊社の橘が、詳しく講演しておりますので、ぜひそちらの講演もご覧ください。

では、まとめます。

まず1つ、3大トレンドの流れには下がらないで行きましょう、流れを捉えていきましょう。

2つ目が、このVUCAの時代になるのは、サーバント型です。サーバント型モデルでいきましょう。

そして、ここが一番難しいけれど一番お伝えしたいことです。動かないこと、それを恐れましょう。挑戦の失敗はもう気にしないと、どんどん失敗しましょう。

そういうみなさまのために、最後だけ宣伝ですが、NTTデータで今、RPA夏の大キャンペーンというのをやってまして、9月末まで残り3週間になりますので、ぜひご活用ください、一緒に走らせていただきたいと思ってますので、お声掛けください。

よろしくお願いします。以上となります。

ご清聴ありがとうございました。

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