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人材サービスのディップがRPAに本格参入。成功事例について語る

» 2020年10月06日 10時00分 公開
[RPA BANK]

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RPA BANK

人材サービス事業である当社がなぜRPA事業に参入したのか。『労働力の総合商社』を掲げる中で、人材だけでなくDigital Labor force「コボット」を2019年より提案して参りました。その中で見えてきた企業の課題と新サービス「コボットPlatform」を活用したソリューションを中心にお話しします。

■記事内目次

  • 登壇者
  • ディップについて
  • RPA市場の現状
  • RPAの支援に期待が高まっている
  • コボットPlatformについて
  • 導入事例のご紹介
  • 今後の労働市場について

登壇者

ディップ株式会社 AI・RPA事業本部 執行役員 三浦 日出樹 氏

ディップについて

本日はお忙しい中ライブ配信をご視聴いただき、誠にありがとうございます。私、ディップ株式会社、AI・RPA事業本部の三浦と申します。本日はよろしくお願いいたします。

まず簡単に私の自己紹介をさせていただきます。昨年1月に、ディップに入社をいたしまして、4月からRPA事業部の事業本部長を拝命し現在に至っております。

ただいまテレビCMでおなじみのバイトル、はたらこネットなど、ディップは、有期雇用者とお仕事のマッチングをする、俗に言う求人メディア事業を展開しております。同分野ではリクルートに続いて第2位のシェアを誇っております。

この度、労働力を人とデジタルの両面で提供する労働力の総合商社というのを目指しまして、2019年にレイバーフォースソリューションカンパニーという新たなビジョンを掲げております。

まず皆さんご存知のように日本の労働生産性は非常に残念ながら低いです。近年ずっと先進7カ国で最下位というような状況が続いております。

我々はこの人手不足でありながら労働生産性が悪いと低いというこの現状を改善すべく、RPA事業に参入したということになります。

実はもう昨年の4月にRPA事業部を発足してから約1年半と、サービスが去年の9月からですので、もう実際に事業を始めて約1年という状況になります。

当初は、人材サービス事業の強みを生かすというところで、人材派遣会社様向けコボットのサービスから始め、本年4月からアルバイトの方の面接の日程調整を自動化する「面接コボット」を展開しております。6月には新たな分野といたしまして賃貸管理会社向けの「不動産コボット」というものを開始し、随時ラインアップを拡充しております。

私どものコボットブランドのラインアップですけれども、面接であったり集客であったりの業務特化型のコボット、それから人材業界・不動産業界という業界特化型のコボット、それからかなり我々も人員体制が整ってまいりましたので、この7月から、RPAの本格的なコンサルティングサービスを開始し、この9月より「コボットPlatform」の販売を開始させていただきます。

実はもうおかげさまで提供開始からわずか1年で、公募とラインアップは累計導入社数5,000社をすでに突破しております。RPAの事業をする会社の中では異例の早さで導入企業を増やしているという状況にあります。

RPA市場の現状

RPAの一般的な市場をざっとご説明したいと思います。一般的にここ近年RPAは、かなり日本の企業、特に大企業を中心に導入が進んでおります。2019年で約50%強の大手企業が、すでにRPAを何らかの形で導入しているという状況にあります。

ですから一時の爆発的な普及期からかなり成熟期に入ったんじゃないかなというふうに我々は見ております。一方中小企業、日本でいうと99%が中小企業ですけれども、その中のRPAの導入はまだ4分の1、25%ほどしかありません。

かつ2018年度から2019年度にわずかですけれども、微減してるという状況。ここは大企業と比べて、中小企業で導入に大きな課題を抱えているというふうに私たちは見ております。

一般的に、RPAの導入には大きく3つの壁が存在するというふうに言われております。まず1つ目は人の課題。これは、RPAを使いこなす・運用する人材がなかなか育成できない・そういうノウハウが社内にないという問題です。

2つ目が組織・プロセスの課題。業務の縦割り・組織の縦割りそれから業務の標準化がなかなかできていないというところ。それからITの環境が整っておらず、組織・プロセスの課題というものを乗り越えられない会社がたくさんあります。

最後は予算の課題。要は一般にROI費用対効果がなかなか合わないと、コスト削減するつもりでRPAを入れたんだけれども、なかなか思ったような効果が出ないというお客さんの声をたくさんお聞きします。

結果的に、今すでにRPAを導入されてる企業の中にも、最終的に導入がゴールという形になってしまって、導入してもRPAを、あたかも一般社員のようにうまく使いこなすことができていないという問題は、中小企業のみならず、大手企業を含めて私どもは日本のRPA市場の大きな課題ではないかというふうに考えております。

RPAの支援に期待が高まっている

現状の課題をいろいろヒアリングしてみますと、RPAの使いこなすための支援、ここに非常に大きな期待を皆様持っておられます。1つは、価格を安くして欲しい。ライセンスで年間100万円を超えるようなものでは、なかなかロボットを増やしたくも増やせないという状況があります。

一方、導入はしたんだけれどもその後なかなかサポートを手厚くしてもらえないが故に、ロボットを上手く稼働できない、俗に言う野良ロボット化させてしまうというような問題が非常に顕在化しております。

また、担当者は使えるんだけれども、他の部門に拡大するときにRPA教育サービスというものがなかなか受けきれずに特定の人しか使えないような状況になっている。つまり価格とサポートと教育、こういうものが今RPAの運用に、非常に強く求められている支援だというふうに我々は考えております。

今回我々がご提供するサービスは、お客様にきちっと我々ディップ自身が寄り添って、この人の課題組織プロセスの課題、予算の課題これ全てを、ご一緒にサポートしながら解決していくそういうようなサービスをご提供することになりました。

簡単に言いますと、本当に使いやすい、使えるRPAツールというものを我々今回発売させていただきます。

その課題にフォーカスして生まれたのがコボットPlatformという形で、9月1日の正式発売を発表させていただきます。

コボットPlatformについて

では、ここで簡単にコボットPlatformについてご説明させていただきます。まずコボットPlatformは3つの機能から構成されております。

まず1つはロボットを作成するコボットスタジオ、それからロボットを実際に実行するコボットAgent、それから最後に複数のコボットを集中的に管理するコボットCenter、この3つの機能からなっております。

それに合わせて、先ほど申し上げました、きちっと自社で運用できるために我々コボットPortalという形で、ナレッジベース、それからヘルプデスク、Eラーニングというような充実した、サポート機能をご提供をさせていただきます。

今回私どものコボットPlatformの特徴としましては、エージェント1台と、それからスタジオ1台、この1パッケージですぐに簡単にスモールスタートができるというところです。エージェントが2台3台5台と増えてきたタイミングで、ロボットの管理をするコボットCenterを導入していただいて、上手く拡張できるような仕様に作り上げております。

市場の我々のコボットの立ち位置は、1つはコスト的に非常にリーズナブルな点です。皆さんが扱いやすいように設定させていただいております。一方、安かろう悪かろうではなくて、きちっと拡張性が高い。どんどんロボットを増やしていけるような、そういうような拡張性を持たせたRPAツールということで、小さく産んで、大きく育てるということが可能なサービスになっております。

簡単に製品の紹介をここに挙げておりますけれども、リーズナブルなコスト、それからUIが非常にわかりやすいようになっております。アクティビティにつきましてもかなり豊富なものをご用意させております。きちっとテストしてから本番環境に上げるというテストの実行機能、こういうものも持っておりますし、先ほどからご説明させていただいている拡張性の高さというものも兼ね備えております。

ですからコボットPlatformは、プログラムの経験がない初心者の方から、ある程度他社のツールを使いこなしておられる専門性の高い技術者の方まで、幅広くお使いいただくことができる商品になっております。

もう1つ、我々ディップがご提案する体制としましては今回コボットPlatform、ツールベンダーである私どもディップが、開発から運用、それから教育保守まで、全て一貫してご対応させていただきます。

従来はツールベンダーさんと、それから実際に開発をするSIerさんそれから教育をされる会社、下手するとオペレーションまで全て違う会社さんが集まってなかなかうまく連携できない、もしくはそれぞれにコストがかかってしまうという問題があったかと思いますけれども、今回は我々がRPA化のご相談から、開発・運用・最終的な教育保守というところまで、きちっと責任を持って、最後まで対応させていただくという予定にしております。

そういうことで今回の製品特徴は先ほどご説明しました、価格のニーズ、それからサポートのニーズ、それからRPA教育ニーズ、この3つに全て我々のソリューションは対応したサービスということで、我々後発になりますので、いろいろと謙虚にユーザーの皆さんのお声を反映した、そういうようなコボットPlatformに仕上げさせてだいております。

実は、ディップ自身は全国に38の自社の営業拠点を持っております。ですから日本全国、RPAに関してはフォローできる体制をもうすでに整備しております。大都市を中心に開発パートナー、販売パートナーの皆様とも連携をしておりますので、ぜひ大都市に限らず、地方であっても、RPAを使って何かしたい、ちょっと相談したいんだという場合は気軽に我々もしくはパートナー様に、お声掛けいただければ対応させていただきたいというふうに思っております。

もちろん今パートナー様につきましても絶賛募集中ですので、ご興味を持っていただいた会社様はぜひパートナーとして、我々の販売開発のご協力をお願いしたいというふうに考えております。

導入事例のご紹介

ではここから、少し具体的な我々の導入の事例のご説明をさせていただきます。まず1つ目が人材派遣会社、我々はたらこねっとというシェアの大きなメディアを持っておりますので、約今3000社を超える人材派遣会社様とお付き合いさせていただきます。

その中で非常にニーズが高かったのがこのサービスです。人材派遣会社様が時給をつけないといけないんですけれども、その場合他社の時給、要は俗に言う時給の相場、これを常に把握して他社さんと比べて時給が高すぎるとか低すぎるっていうのは問題があります。そのために、今までは我々のような求人広告のサイトに入って、人が検索をして、他社の派遣会社様の時給をいちいちチェックするということをされてます。

実際には、1名の方が1日8時間稼働してでも、だいたい300件ぐらいしか検索できません。だいたい3,000件ほどデータがありますので1日1人がフル稼働しても、10分の1しか検索できないという状況です。

ですから3,000件を毎日やろうと思うと、10人の担当が毎日、朝から晩まで作業しないといけないという状況になっております。ですから結果的には一部の地域一部の職種だけを検索して、それである意味それを目安に時給を決定してたというところが、今回のコボットPlatformを導入したことで、毎日3,000件のデータ収集が約3時間以内に完了することができます。

ですから、例えば午前中にコボットが、データ収集を3,000件をして、午後にそのデータを見た採用担当の方が、この地域での求人広告の内容を最適化できるということが新たにできるようになりました。

そういう意味で時給から換算しますと毎月300万、10人フルにやった場合300万近い、コストがかかっていたものが、ロボット1台約5万円でできるというような大きなコスト削減の効果を発揮しております。

もう1つが、情報機器の販売会社の採用担当様のお仕事の合理化です。まずこのお会社様は毎月2回、中途入社の方がございます。そのたびに入社の書類を事前に中途入社の方から入手し、それを採用の管理システムに入れて、入社の当日に、誰がどの部署のどの中途採用の方をアテンドするのかというのを社内の人にメールをして、そういうこと毎週、毎月毎月やってたわけです。

これがどうしても抜け漏れがあるということ、それからこれは中途入社の方ですので漏れは絶対に許されないというかなり心理的なプレッシャーもある状況で、採用担当の方は業務をなされておりました。

今回コボットプラットホームを導入いただいた結果、月に60時間ほどかかっていたお仕事が、コボットで約4時間ということになりましたので、実際時間が短縮しただけではなくて、人的なミスがほぼゼロになって、業務効率化が向上し空いた時間で、本来採用担当の方がやるべき、人と人との入社の方のフォローというところに手厚く時間を割くことができるという、単に工数削減だけではなくて、やるべき仕事をやれるような時間を捻出するというような効果を発揮しております。

あと続きまして、業界が変わりまして不動産賃貸会社様です。これは関東に約10店舗ほどを持たれている中規模の賃貸会社様ですけれども、この会社様も、集客のために自社のホームページの賃貸情報のサイト、物件情報を掲載されておられます。

この情報はいろいろな家主の方から、情報が日々更新されますので非常にきめ細かなアカウント運用が必要になってきます。もう少し簡単に言いますと、新しい物件が載っていなくても問題にはならないですけれども、もうすでに成約がされた、要は実際には賃貸できない物件がそのまま削除されることなく自社の情報サイトに掲載を続けておりますと、これは釣り物件だということで、ひどい場合ペナルティーが課せられるというようなリスクがございます。

ですから担当者様は、今までたくさんの情報を、昨日と今日と実際に更新がされたのか、されてないのかもわからないまま、一旦全部、検索をかけて、例えば1000件検索かけて、3件昨日との違いがありましたというようなことを毎日毎日やられてるわけです。

これも非常に単純作業、かつミスが許されないというところで、労働としても、非常にストレスが溜まるというところです。当然ミスも許されないというところでかなりご担当者様に負荷がかかるお仕事でしたけれども、これも導入前は約1日2時間毎日このお仕事をされてるところが、コボットPlatformで約5分で済みました。

基本的にはミスもないというところで、もちろん大幅な業務時間の短縮のみならず、従業員の方が、やりがいのある、本来人がやるべき仕事に時間がさけるようになったということで、社員の方の定着率が上がるというような副産物もご評価いただいております。

最後に、我々ディップの一番の顧客基盤である飲食チェーン店の事例をご説明させていただきます。大手の飲食チェーン店さんは毎日、各地域各店舗からPOSデータから、売れ行き商品について本部で集計しております。この受発注のデータを蓄積し分析しているんですけれども、これが全部バラバラのエクセルで管理されており、商品ごと、地域ごとに一元管理されてないというような問題がございました。

これをコボット導入することで、一元管理し、まとめの登録というような形で使っておられます。これで最終的には自動で振り分け集計ができるというようになりましたので、今までこの集計に各店舗の店長やエリアのマネージャーがかなり時間を割いてたところが、大幅に10分の1以下に業務の負担が減りましたので、店長は接客であったり、エリアマネージャーも各店舗への指導だとかいう、本来、やるべき仕事に時間が取れるようになったということで、非常にご評価をいただいております。

今後の労働市場について

最後に私どもが考えます今後の労働市場について、簡単にご説明したいと思います。我々ディップは今まで労働力=人と、ヒューマンという形で、アルバイトであったり派遣社員であったりというような労働力を提供する企業でございました。

今後外部環境としましては、もうすでに労働人口が年々減少しているという問題につきまして、今我々はRPAであったりAIやチャットボットというようなテクノロジーを提供する一方、人でしかできないような、例えば居酒屋チェーンの、お店の方なんかはRPA化できませんので、人が人でしかできない仕事というものもございますので、今労働人口の減少に対して、テクノロジーと人という形で対応させていただいております。

今後間違いなくホワイトカラー職つきましても、人からロボットへの変換というものが進むと見られております。その他のところに当てて我々BPMであったり、ビッグデータ、ディープラーニングというようなテクノロジーもすでに開発準備をしております。

一方、そこを使いこなす専門職と言う人材も、今後どんどんディップとしてはビジネス領域に入れていきたいというふうに考えております。

最終的には専門職自身も不足するであろうということを見据えて、最終的には様々なAIコンサルティングを中心とした、我々の先端技術をどんどんテクノロジーとしてご提供していく会社になりたいというふうに考えております。もちろんテクノロジーだけではなくて、そのときに必要なスキルを持った人材、人とデジタルというものを併せて、ご提供できる非常にユニークなビジネスモデルを今後目指してまいります。

これは今私どものホームページにあるんですけれども、「ロボットを入社させませんか」ということで、我々人がロボットを使うとか、ロボットが人の仕事を奪うとか、そういうことには考えておりません。ロボットをあくまで、人と中途採用の人と同じような形でヒューマンとデジタルが共創する社会、これを我々が目指しております。

ですから、デジタルで全てを解決できるんだというような、昨今の風潮に正直疑問を持っております。最終的にはどういうお仕事につきましても人は必ず必要になります。ですから、我々は、ヒューマンとデジタルを融合させた新しいビジネスモデルを今後目指していきます。

今回のRPA、コボットPlatformは、我々ディップが今後提供する様々なデジタルトランスフォーメーションのスタートだというふうにお考えいただきたいです。

最後になりますけれども、製品詳細であったり、代理店希望の方等、ホームページにいろいろ詳細が載っておりますのでお気軽にお問い合わせいただければというふうに思います。

本日はご視聴ありがとうございました。

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