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» 2020年08月18日 12時30分 公開

就活生の「自己PR」をブロックチェーンで管理、STARプロジェクトは採用活動の切り札になるか「ES書き方講座」に惑わされない採用が実現?

慶應義塾大学とIGSは、3年間の実証研究「STARプロジェクト」を開始する。学生と企業のマッチングに向けた新たなデータ活用基盤を開発する。学生は情報提供依頼があった複数の企業に対して開示先や開示範囲、開示期間を自ら選べるようになる。

[キーマンズネット]

 慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとInstitution for a Global Society(IGS)は2020年8月11日、共同研究「STAR(Secure Transmission And Recording)プロジェクト」を開始すると発表した。「学生の個人情報を、学生自身の手に戻す」をテーマに、参加企業と3年間の実証研究を実施する。ポイントはアクティビティや評価を改ざんさせず、情報開示の範囲を求職者自身が設定できるようにした点にある。

 欧州のGeneral Data Protection Rule(GDPR:一般データ保護規制)や、日本の改正個人情報保護法など、世界的に個人情報規制の厳格化が進む一方、学生と企業の新しいマッチング方法の模索が始まっている。企業は休職者の属性や適正、自社との相性や離職リスクを把握したいが、一方で、権限の範囲を超えて求職者の個人情報や行動データを使った分析はゆるされない。同様に、学生の就職を支援する大学は学生の個人情報の保護とキャリア形成支援を両立させる必要がある。STARプロジェクトは、こうした課題の解決に向けて、学生と企業の両者に利点のある新たなデータ活用基盤を開発する。

学生の意思で情報を開示、企業は「ES記述スキル」によらないスコアから活動履歴を把握

 同システムを利用することで、学生にとっては、情報提供依頼があった複数の企業に対して開示先や開示範囲、開示期間を自ら選べるようになる。さらに、教員や先輩、友人などからの客観的な評価を企業に開示したり、開示不要となった記録を消去したりもできる。一方、企業にとっては、これまで学生から得られなかった学内外での評価や授業内での発言といった個人情報を活用して、潜在的な優良人材を発見できるというメリットがある。それに加えて、オンライン面接など学生との接点が制限される環境でも、学生の個人情報を活用して学生の能力や特徴を深く知ることができたり、個人情報の利用許諾作業や管理、廃棄が不要にできたりといった利点がある。

STARプロジェクトの実装イメージ(出典:IGS) 学生が情報閲覧の制御を管理できる

 実証研究期間の3年間のうち、1年目には、ブロックチェーン技術によって学生の個人情報の秘匿性を確保しつつ、企業がデータを有効活用する技術基盤を構築する。慶應義塾大学の学生を中心に5000人以上が利用する見込みだ。2年目には、学内のサークルやゼミの活動履歴、学外での活動を記録するアクティビティ要素を追加する。ラーニングマネジメントシステムと連携させて、学生の学びや活動履歴を追加し、学生が活発に情報発信できるよう機能を拡張する。3年目には、慶應義塾大学の大半の学生と、他大学10校以上の学生の合計2万人の利用を想定する。利用学生数の増加に向けてシステム規模をスケールアップし、処理性能を改善する。

 STARプロジェクトでは、1業種当たり1社に限定して20社以上の参画を目指しており、2020年8月11日現在、三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングス、住友生命保険が参画している。3年間の研究期間終了後は、1業種1社に限らず企業を募り、システムを存続・発展させるとしている。STARプロジェクトは、FinTEKセンターとIGS、参画企業の3者による実証実験を通じて、ブロックチェーンを活用した学生と企業を繋ぐプラットフォームの社会実装を目指す。

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