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» 2020年07月10日 08時00分 公開

「Oracle Cloud HCM」とは? 基本機能と特徴を解説

昨今、注目を集めつつあるクラウド型人事管理支援システム。本稿はHCMシステムの中でも代表的な「Oracle Cloud HCM」について機能と特徴を説明する。

[谷川耕一,キーマンズネット]

HCMとは なぜ人事管理支援システムを強化しなければならないのか

 人的資本管理(HCM:Human Capital Management)システムをはじめ、「人材」を取り扱うシステムは昨今、急速に拡充している。

 HCMをはじめとする人事管理支援システムを使用するのは人事部門のみにとどまらず、経営層から一従業員までその役職を問わない。というのも、給与計算や福利厚生管理といったコアとなる人事業務に加え、採用や育成、タレントマネジメントなど人材管理、従業員と人事、経営層のコラボレーションツールとしても利用されるからだ。

 注力する機能はベンダーによって異なるが、複数のベンダーがHCMを提供している。なぜ今、HCMに注目が集まっているのだろうか。

 働き方改革の文脈に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で長期間のテレワークを経験した人の中には、ワークライフバランスを改めて考える向きもある。こうした状況から、アフターコロナ、ウィズコロナの世界では人材の流動性が高まることが予測され、企業はより自社に適した人を採用できるチャンスが増える一方、自社の従業員が流出するリスクもある。これは企業の人事部門にとって最も重要な課題だ。

 加えて人事部門の業務にも変化があった。例えば採用活動はコロナ禍の影響で対面からリモートに変化した。従業員の育成や評価も同様だ。新たな手法やITの仕組みが求められているというわけだ。運用の利便性やリモートアクセスの容易さなどからHCMの中でもSaaS型のサービスが特に注目を集める。

Oracle Cloud HCMとは? OracleのSaaS群の特徴から理解する

  クラウド(SaaS)型HCMの代表的な製品の1つが「Oracle Cloud HCM」(以下、Oracle HCM)だ。もともとデータベースを強みとしてきたOracleが提供するHCMにはどういった特徴があるのだろうか。本稿では同社業務アプリケーション群の構成と併せてOracle HCMの特徴を見ていく。

 Oracleの一番の強みと言えばデータベース管理だ。

 同社には、業務プロセスを効率化するためのERPやサプライチェーン管理(SCM)などバックオフィス業務を支える各種アプリケーションに加え、顧客との接点を最適化するCRMやマーケティングオートメーションといったフロントオフィス向けのアプリケーションがある。これらのアプリケーションはSaaS(Software as a Service)で提供される。同社には「PeopleSoft」や「Oracle E-Business Suite」(Oracle EBS)など旧来のオンプレミス版アプリケーションがあるが、先述のSaaS群はクラウドでの提供を前提に一から開発されている。

 SaaSとして開発する際、Oracleでは利用企業に対しデータベースが一つだけというアーキテクチャにした。つまり複数のアプリケーションで、統合したデータベースが利用できるのだ。

 人材管理のOracle HCMは、一般的な人事業務のモジュールも、採用業務やタレントマネジメント、ラーニングなどのモジュールも、全て単一のデータベースを基盤に動く。「HRM機能に必要なラーニング製品などを買収して、人事アプリケーションの“横”データ統合もせずに置いて運用すような他社ソリューションとは大きく違うところです」と、日本オラクルの丸島 美奈子氏(クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部 ビジネス企画・推進部 HCM 担当シニアマネジャー)は言う。

 なぜOracleは単一のデータベースで統合するアーキテクチャで開発したのか。丸島氏によると、今後のAI(人工知能)活用によるデータ分析を考えていたからだという。一つのデータベース上に手間とコストをかけ新規に開発したことで、データ分析に長けたSaaSが完成したのだ。OracleのSaaS群の特徴の一つとなった。

 もう一つの特徴として、ユーザビリティの高さも挙げられる。モバイル端末でも全てのアプリケーション機能が利用でき、さらにチャットbotが問い合わせに自動回答するデジタルアシスタントのような機能も強化した。これらは人事部門以外の従業員による利用を想定してのことだ。

 例えば、タレントマネジメントのモジュールにも、データ分析機能が搭載されており、セルフサービスで人事部門でない従業員も利用できる。「従業員が目標達成のために何をすべきかOracle HCMに聞けば、今何をすべきかのアドバイスが受けられ、その作業を実行するための画面も立ち上げてくれます」(丸島氏)。

図1 従業員向けのタレントマネジメント機能。本人の希望キャリアとその特性、希望キャリアとのコンピテンシーギャップ、現在の評価状況や目標状況などを可視化する(提供:日本オラクル)《クリックして拡大》

 AIに注力する同社だが、汎用的なAI機能は提供しない。Oracle HCMでは主にパーソナライズ機能でAIを活用している。職責情報や普段のアプリケーション利用状況を学習し、従業員ごとに最適なアプリケーション利用画面を自動表示する。

Oracleによる“AI人事”機能 全従業員の働き方改革にも貢献

 さらにAIを活用しているのが「採用」や「離職予測」の機能だ。

図2 機械学習を用いたパフォーマンス/離職予測(提供:日本オラクル)《クリックして拡大》

 例えば、採用では応募書類をAIが読み込み、内容をAIで理解しその人に適する職種をランク付けして提示する。この機能は、あらかじめOracle HCMの採用機能の中に組み込まれておりユーザーが作り込む必要はない。

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