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» 2020年07月08日 08時00分 公開

実例から考える法務部門のテレワーク、サイボウズ法務の実践方法に学ぶ押印、打ち合わせ、案件対応……どうこなしたか

法務のテレワークを阻む「ハンコ」「紙」「社内外の連絡」。働き方改革やテレワークを積極的に取り入れるサイボウズの法務部門は緊急テレワークをどう乗り切ったか。工夫と仕組みを学ぶ。

[指田昌夫,キーマンズネット]

 サイボウズは2020年2月28日から、ほとんどの国内拠点で、従業員に原則として在宅勤務を命じており、ほぼ全ての業務をテレワークで実施する。同社では、各部門の担当者が現場で業務をどのように回しているかを解説する「サイボウズテレワークセミナーオンライン」を4月から開催し、ノウハウを外部に公開している。

法務チーム 三浦修平氏 サイボウズ法務チーム 三浦修平氏

 2020年6月に開催された第8回は同社の法務チームに所属する三浦修平氏が登壇し、法務部門のテレワーク対応について話した。

 三浦氏は、2018年に総務省からサイボウズに転じ、現在は契約書の作成、レビューや社内の法律相談などの業務を担当する。

 法務チームは13人が所属し、それぞれ契約書の作成、確認、法律相談といった「法務」の他、「監査」、特許や商標などの「知財」、そして法令を順守しながら効率性を実現するための内部統制システムの構築など「統制」の4つの分野を担当する。

サイボウズの法務チーム サイボウズ法務チームの役割(講演資料より、以下同様)

 サイボウズの法務部門が担当する業務について、三浦氏は3つの特徴を挙げる。

 1つ目は、サイボウズがそもそもクラウドサービス事業者として、顧客との利用契約はもちろん、顧客の情報を預かるデータ保護の観点からも法務の役割を重視していることだ。

 2つ目は、グローバルに事業を展開するため、海外企業を相手にした契約が含まれること。海外との契約では、関係する法律事務所とやりとりし、各国の法令に対応して情報の安全性を保ちながら契約業務などを進める必要がある。

 そして3つ目が、実際に自社の製品を業務で使用することで、自社サービスやシステムの改善を提案していることだ。ここが特に、サイボウズの法務部門が一般企業の法務部門と比べてユニークな点である。

法務部門も全員在宅勤務に、それでも業務は止まらなかった

 グループウェアやコラボレーションツールなどを手掛ける一方で、「100人いれば100通りの人事制度があっていい」と多様性を認めた働き方を提唱するサイボウズだけに、以前から多様な働き方を実践していた。テレワーク中心の従業員から主に出社している従業員もおり、それぞれのスタイルで業務にあたる環境が整う。新型コロナウイルス感染症の日本国内での感染拡大が懸念され始めた2020年2月28日からは全従業員にテレワークを原則とするルールになり、法務チームも全員が在宅勤務となった。

 三浦氏は、法務チームのテレワーク移行について、「日頃からさまざまな働き方を支える仕組みが動いており誰でもすぐにテレワークに移行できる体制が整っていた。一部の従業員だけでなく全員がテレワークになっても特別な問題は発生しなかった」と振り返る。

 三浦氏自身も在宅勤務中の2020年4月に第一子が誕生、5月には通常勤務時と同じように1カ月の育児休暇を取得している。その際の業務の引き継ぎも含め全てオンラインで実施し、在宅のままで業務に復帰したところだという。

問い合わせ対応は? ハンコや外部との連絡は? サイボウズ法務が実践したテレワークの方法

 法務部門となると、取引先や顧客との契約業務では印鑑のなつ印業務が想定される。またなつ印があれば当然紙のやりとりが発生するはずなので、テレワークで対応できるのだろうか。契約先や弁護士、弁理士など、社外の関係者とも連絡や連携が必要だろう。環境が整備された社内とは異なる相手とのやりとりを考えたとき、どうすればテレワーク環境でこれらの業務を滞りなく運用できるのだろうか。

 三浦氏によると、テレワークに適したWebアプリなどのツール類の用意だけでなく、平常時から社内で幾つかの運用ルールを構築していたことが成功の要因だと振り返る。以降では案件対応やなつ印にかかわる3つの領域での対策と、業務の可視化、社外との連携での工夫を見ていく。

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