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「赤裸々な姿でテレワーク」も……読者が答えたテレワークの服装、マナーにまつわる“みんなの常識”とは緊急調査:COVID-19のテレワーク環境を振り返る(5)

緊急事態宣言下のテレワーク調査最終回となる本稿のテーマは「身だしなみ、マナー」だ。思わずうなずける「Web会議あるある」が寄せられた。

» 2020年07月02日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 2020年、新型コロナウイルスによる被害が世界規模で広がり、日本でも生活に大きな変化がもたらされた。こと企業においては期初計画の見直しや在宅勤務など働き方の転換に追われたケースも少なくないだろう。そこでキーマンズネット編集部では“コロナ禍”における企業の実情を調査すべく「緊急事態宣言期間中のテレワークの実施状況と勤務実態に関するアンケート」を実施した(実施期間:2020年5月25日〜6月12日、有効回答数548件)。

 5回にわたって緊急事態宣言下におけるテレワークの実態調査をお届けしたが、最終回となる本稿のテーマは、テレワーク時における「身だしなみ、マナー」だ。

調査サマリー

  • テレワーク時の服装指定の有無、94.5%が「服装の指定はなく自由」
  • 「普段着/部屋着でテレワーク」が最多で、60.5%、中には「常時スーツ」も
  • Webカメラの設定は「社外の人を交えたWeb会議時のみオン」が最多で41.1%

気になる他人のテレワーク時の服装、「常時スーツ」も若干名

 緊急事態宣言下の期間中は対面での会議や打ち合わせが困難になり、多くがオンラインによって実施されたことだろう。人と直接会うことはなくても、Web会議など画面越しで取引先や社外の関係者と関わることがある。テレワークにおいても最低限のマナーや礼儀作法は意識したいところだ。今回はテレワーク時の服装やWeb会議の作法など、身だしなみやマナーに焦点を当てて、調査結果を振り返りたい。

 オフィス勤務時と比べてテレワークでは対面で人と接する機会が少なく、服装や身なりも個人の判断に委ねられる。オフィス勤務時であればスーツやオフィスカジュアルとある程度服装は決まっていたが、テレワークとなるとどういった服装がふさわしいのか判断に悩む人もいるだろう。

 そこで、まずテレワーク中の服装の指定の有無について尋ねたところ、「服装の指定はなく自由」が最も多く94.5%、「服装の指定がある」とした人は4.3%となった。(図1)。

図1 テレワーク時の服装指定の有無(n=491)

 その他と回答した人からは「会社からの服装の指定はないが、自部署ではドレスコードを決めて自宅でもワイシャツ着用としていた」といった声があった。4.3%と若干数ではあるが「服装の指定がある」と回答した人もあり、職種別で見ると経営者や営業職などでその割合が高い傾向にあった。

 「服装の指定がない」ということはTPOに応じて自身で着るものを判断しているということだが、テレワーク中の服装はどういったものが多いのか。

 テレワーク時の服装についてテレワーク実施期間中最も多いパターンを尋ねたところ、「普段着/部屋着(常時)」が60.5%と最も高く、次いで「オフィスカジュアル(常時)」19.3%、「普段着/部屋着+オフィスカジュアル(Web会議時のみ)」15.1%と続く結果となった(図2)。その他の回答の中には「パジャマ、シャツとパンツ(肌着)」といった回答が寄せられた。

図2 テレワーク時の服装で最も多いパターン(n=491)

 通勤時はデファクトスタンダードであった「スーツ」は常時で1.8%、併用で2.2%と合計4.0%ほどで「オフィスカジュアル」であっても34.4%と、在宅勤務を中心としたテレワークに勤務形態が変わったことで勤務時の服装にも変化が見られた。

「自宅が映り込むのがイヤ」Web会議でのカメラの設定、多数派は?

 テレワーク時のコミュニケーション手段として、電話やメール、SNSなどがあるが、時には社内外の関係者を交えたWeb会議で話を進めるシーンもある。基本的には、音声でコミュニケーションできれば問題ないが、取引先など社外の人を交えたWeb会議ではマナーとしてWebカメラで顔を映した状態で会議を進める場合もある。

 そこで、Web会議時のカメラの設定について尋ねたところ、「Web会議時は常時オフ」41.1%、「Web会議時は常時オン」29.5%、「社内会議時はオフ、社外の人を交えた会議ではオン」12.6%となった(図3)。

図3 Web会議時のカメラの設定(n=491)

 前項でWeb会議時のみオフィスカジュアルやスーツと回答した人が17.3%いたことからも、関係者が社内のメンバーであるか社外のメンバーであるかによってカメラの設定を変えているようだ。

 特に相手との関係構築は、相づちやリアクション、そぶりといった視覚的な情報から得る印象も大きく関連する。社外の人とも円滑な関係を築くために社外の人を交えた会議ではカメラをオンにする割合が高かったのだと考えられる。

 またカメラをオフにしている理由としては、フリーコメントで「自宅の背景が映りこむ」「普段着での仕事のため」「顔を映す必要がないから」といった声もあり、プライベート保護の観点からあえてオフにしているケースもあった。

 他にも「ネットワークパフォーマンスの低下を回避するため」「社内セキュリティポリシーや情報漏えい対策によりオフになっている」など通信回線への影響を極力小さくしたり、背景の映り込みによる情報漏えいを危惧したセキュリティ対策としてカメラオフの運用を義務付けているケースも見られた。

「都合の悪い時だけ、つながらない」テレワーク会議“4大”トラブル事例

 最後に、Webでの打ち合わせや会議においてマナーやエチケットに関する問題やトラブルなどの事例をフリーコメントで聞いたところ、全体的におおよそ4つの問題に分けられる。

 1つ目はWeb会議時の「音声」についてのトラブルだ。「犬の鳴き声、子供の泣き声など結構大きめの家庭音が入ってしまう人がいる」「相手のITスキルにもよるが、ハウリングがひどく、聞き取れず、内容が全然伝わってこない場合がある」「全国会議で、マイクをOFFにしているつもりで談笑している参加者の声や、大きなため息が、全体に伝わってしまった」などが挙がり、発言時以外はミュート機能を使用するなどのルール設定と運用の徹底を促すなどの対策が重要だろう。

 2つ目は「遅刻」に関するトラブルで「接続に時間のかかる人がいると開始が遅れる」「事前に説明やサポートが全くなく、初回はなかなか接続できない」などがあった。対面での会議とは異なり、指定された会議室に行けば会議が始まるわけではない。ネットワークや端末の設定状況の確認やマイクやイヤフォンの準備など、これまで以上に注意を払う必要がありそうだ。

 3つ目は「通信」についてで「電子レンジが動くと接続が切れる人がいて、そのたびに会議が中断する」「ネットワークの都合などで会議資料の共有に支障が出ることがあるため、代替手段を考えておく必要あり」といった事例が寄せられた。第4回の「ネットワーク編」の記事では、家庭やマンションなど同じ建物内でテレワーク実施者が増加したことによりネットワークパフォーマンスに影響が生じた事例を紹介したが、こうした自宅の環境によって接続状況が安定しないケースがあるということも意識する必要があるだろう。

 4つ目は会議の「ファシリテーション」についてで、「回線状況による遅れによって会話が重なる場面があるので、主催者がうまく回す必要がある」「おしゃべりな人が勝手にしゃべり、自分の意見が言いにくい」などが挙げられた。特にWeb会議の性質上、一度に複数名が発話すると聞き取れなくなるため、会議開催者などの議長が発言者を指定するなど、仕切り役が必要になりそうだ。また前項で触れたように社内会議ではカメラをオフにしているケースもあり「発言している人が不明瞭」といった問題も生じやすい。発言時には自身の名前を宣言することを義務付けるなど、Web会議独自のルールを設けることも、スムーズに運用する秘訣(ひけつ)になりそうだ。

 他にも「都合の悪いとき、急に音声がつながらないと言い出す人がいる」「会議室にいる参加者とテレワーカーとのWeb会議は、会議室側がテレワーク側に配慮が欠けるとうまく進まない。会議室側で紙を見ながら、『これ』『それ』と言っても分からない」など、さまざまな意見が寄せられた。

 テレワーク時のWeb会議においては、対面で実施する会議に比べて相互で受け取り合える情報の量や質に一定の制限がかかるのは仕方がないことだろう。その前提を考慮した上で、大事なのは会議目的やその目的を果たすためにどのように運営すべきかを、出席者全員が主体的に考え実行することだ。その結果、組織としてテレワーク時のWeb会議の最適な運用方法が見出だせるようになるのではないだろうか。

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