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» 2020年06月29日 08時00分 公開

クラウドPBX 比較7選 無料版の有無や価格は? テレワークの電話問題を解決、スマホ内線化も

個人のスマホで職場の代表電話を受けたり転送したりする時に便利なのがクラウドPBXだ。テレワーク中も出社せずに代表電話宛の連絡を受けられたり、新たに機材を買わなくても、スマホアプリだけで運用できたりする。クラウドPBXの基本から選び方、主要なサービス比較や無料版の有無、価格情報をまとめた。

[キーマンズネット]

 働き方改革を進める際に課題となるのが、オフィス宛ての電話連絡を在宅勤務やテレワーク中の従業員にどうつなぐかだ。書類に押印するためだけに出社する「ハンコ出社問題」が話題になったが、同じように顧客からの電話に対応するため、輪番で出勤する「電話番出社」も問題になった。外部とのやりとりが多い営業やマーケティングといった職種の従業員に、ビジネスフォン機能のついた携帯端末を支給してきた企業もある。しかし、管理部門などのバックオフィスの人員が在宅で電話対応することはあまり想定されてこなかった。在宅勤務の従業員であっても社内電話や社用の電話番号からの発信を可能にする際、有効なのがクラウドPBXだ。

クラウドPBXとは ビジネスフォンやPBXとの違い

 多くのオフィスに導入されているビジネスフォン。代表電話に対して、複数の電話を受けられるダイヤルイン機能や内線機能を持つのが特徴だ。これらの機能を実現しているのがPBX(Private Branch eXchange:構内交換設備)だ。オフィスの片隅に設置してある箱型の機器をご覧になったことがある方もいるだろう。その名の通り、PBXは建物の中で使われることが前提だ。外線に転送する機能が付いたPBXもあるが、その場合は転送電話に対して通話代がかかってしまう。

 固定電話を前提としたPBXに対して、インターネット通信を前提に、VoIP(Voice over IP)で通話できるIP-PBXと呼ばれるPBXも多数ある。IP-PBXを使うと内線もIP電話化できるため、電話機だけでなく、PCやIP電話、スマートフォンをビジネスフォンとして使えるようになる。また社内だけでなくIP接続ができる端末があれば社外でもビジネスフォンを使える点も特徴だ。IP-PBXは通常のPBXと同様にオフィスに装置を置く必要がある。

 近年はIP-PBXの装置に相当する機能をクラウドサービスに置き換えて利用するクラウドPBXも多数提供されている。クラウドPBXであれば、社内にPBXを設置したり、機器を管理したりしなくても利用できるため、情報システム担当者にとっても運用が効率化する利点がある。設定はWebブラウザ経由などで操作できるため、出勤が難しい状況でも安全な場所から操作できる点も特徴だ。

クラウドPBXのメリット、期待できる効果は

 前述の通り、クラウドPBXはIP-PBXをクラウドに設置したものなので、IP-PBXと同様のメリットを持つ。つまり、IP電話機だけでなく、PCやスマホのアプリでも電話を受けられる。

 また、場所に関係なくIP接続が可能であれば電話がつながるだけでなく、代表番号などでの発信も可能だ。在宅勤務や外出先でも、相手先には会社から電話を掛けたように見えるので、テレワークでも安心して使える。通信コストについても通話料ではなくインターネット接続の範囲で利用できる。内線通話も可能なので、外出先の従業員と在宅勤務の社員などの連絡にも使いやすい。ビジネスチャットやWeb会議ツールもあるが、より端的に1対1でのコミュニケーションを取りた場合にも有効だ。

 この他、通常のPBXでは拠点ごとにPBX機器の設置や設定が必要だが、PBX機能をクラウドに移行することで、拠点の位置を問わず、同一の内線網として扱えるため、設定や管理も効率化できる利点もある。短期的な拠点立ち上げや事業拡大期などでもオフィス準備に時間をかけずに動けるようになる。

クラウドPBXを使ったビジネスフォンのサービス一覧と価格、初期費用の比較

ひかりクラウドPBX

ひかりクラウドPBX ひかりクラウドPBX

概要

ひかりクラウドPBXは内線通話やPBXの機能をクラウドで提供するサービス。専用アプリケーションを使えばスマートフォンを内線として利用できる。スマートフォン1台当たり3つの番号を使い分けられる。内線番号と代表番号、社用携帯番号を使い分けられる(外線通話にはひかり電話オフィスAなどの契約が必要)。

プラン

ひかりクラウドPBX/ひかりクラウドPBX(まるらくオフィス対応*)

価格

10 IDパック1万円(1ID追加ごとに600円、税別)から

初期費用

基本料4500円(税別)、ひかりクラウドPBX新設工事1万5000円(他にゲートウェイ装置などの機材も必要)

サービス紹介サイト

https://business.ntt-east.co.jp/service/pbx/

提供会社

NTT東日本

*「まるらくオフィス」契約者向け。閉域網接続が可能。

Arcstar Smart PBX

Arcstar Smart P Arcstar Smart PBX

概要

NTTコミュニケーションズのユニファイドコミュニケーション製品群「Arcstar」シリーズのクラウドPBXサービス。グループ着信やコールピックアップなどの機能もある。名刺情報や社員の連絡先をクラウドで一元管理するクラウド型Web電話帳サービス「連絡とれるくん」と連携できる。

価格

基本契約料5000円(税別)/契約、ID利用料500円(税別)

初期費用

1万円(税別)/契約当たり、外線(Arcstar IP Voice)基本工事費2000円

無料トライアル

あり

サービス紹介サイト

https://www.ntt.com/business/services/voice-video/voip/smartpbx.html

提供企業

NTTコミュニケーションズ

MOT/TEL

MOT/TEL MOT/TEL

概要

据え置き型ビジネスホン(MOT/PBX)の技術を生かしたビジネスフォン。20端末まで定額(3980円/月)で、現在利用中の電話番号をそのまま利用できる。

プラン

スタンダード、ミドル、プレミアム

価格

20端末まで定額(3980円/月)。以降、内線1回線当たり199円(スタンダード)、170円(ミドル)、150円(プレミアム)

初期費用

2万9800円、3万9800円、5万9800円

サービス紹介サイト

https://www.mot-net.com/mottel

提供企業

バルテック

まとめてクラウドPBX

まとめてクラウドPBX まとめてクラウドPBX

概要

オフィスの既存のアナログ電話回線に専用ターミナルアダプタを設置して利用するタイプのクラウドPBX。電話取次ぎサービスなどのオプションも提供。着信や転送の他、事前に用意した音声データの再生や要件のメール通知などの機能もある。

価格

月額4800円(050代表回線1つ、ダイヤルイン番号付き内線5回線)。追加1回線ごとに980円/月

初期費用

なし

無料トライアル

なし(30日間返金保証制度あり)

サービス紹介サイト

http://www.fleapbx.com/

提供企業

コヴィア・ネットワークス

Dialpad

Dialpad Dialpad

概要

音声通話の他、ビジネスチャットなどのコミュニケーションも集約できる。「G suite」や「Microsoft 365」との連携機能がある。プロライセンス以上はこれに加えてSalesforce連携が可能。エンタープライズライセンスは更に管理者APIやGoogle SAML/SCIM、Azure AD連携も可能。

ライセンス:スタンダード、プロ、エンタープライズ

価格

1ライセンス当たりスタンダード:800円/月(税別)、プロ:1300円/月(税別)、エンタープライズ;1800円/月(税別)

無料トライアル

なし

サービス紹介サイト

https://www.dialpad.co.jp/

提供企業

Dialpad Japan

ナイセンクラウド

ナイセンクラウド ナイセンクラウド

概要

クラウドPBXの基本機能に加え、活動状況を可視化できるWebポータルも利用できる。時間別の着信ルールやアナウンス音声設定も可能。通話録音機能やフリーダイヤルにも対応する。

プラン

ライト(1内線)、ペア(2内線)、プロ(5内線以上)

価格

1ライセンス当たり、ライト:2000円/月、ペア:5000円/月、プロ:1万円/月

初期費用

1万円(税別)

サービス紹介サイト

https://naisen.jp/

提供企業

アイティオール

uniConnect Cloud

uniConnect Cloud uniConnect Cloud

概要

管理ポータルからスマートフォン端末の管理が可能。時間外着旬や自動応答の設定もポータルから実施できる。転送設定や不在着信時の動作などを利用者が設定できる。スマートフォン紛失に備え、リモートワイプ機能も提供する。Skype for Businessとも連携する。

価格

1ユーザー当たり契約数25ユーザー以上:900円/月、51ユーザー以上:800円/月、201ユーザー以上:700円/月

初期費用

個別見積もり

無料トライアル

2週間無償トライアルあり

サービス紹介サイト

https://sandi.jp/uniconnect/cloud

提供企業

エス・アンド・アイ

クラウドPBX導入のポイント

 クラウドPBXは従来のPBXと異なり、社内にPBX機器を設置する必要がない。このため、構内工事が不要だ。新規導入の際も短期間で利用開始できる。ただし、従来のビジネスフォンから切り替える場合は幾つかの注意点があるので以降で整理する。

IT電話に対応しないビジネスフォンを流用する場合はそのままでは使えない

 クラウドPBXに直接接続できる電話機は、VoIPに対応したIP電話機だけである。従来のビジネスフォンをクラウドPBXに接続する場合は、クラウドPBXと従来のPBXをつなぐゲートウェイ機器などが必要となるのが一般的だ。また従来型電話機を接続できないサービスもあるので、移行する場合には注意が必要だ。

電話番号が変わるもの、電話番号を複数持てるものなど、サービスによって条件が異なる

 比較的安価なサービスの場合、IP電話用の050から始まる番号しか使えないサービスもあるので注意が必要だ。逆に、一般的な電話番号である0AB〜J番号(東京:03、大阪:06など)が使えるサービスでは、任意の市外局番が選べるローミングサービスを提供する事業者もある。

コスト計算は慎重に

 機器の導入コストが抑えられるのが特徴のクラウドPBXだが、代わりに月額使用料がかかるのが一般的である。また接続するスマホなどの端末数やユーザー数によって別途接続料がかかるサービスもあるので、ランニングコストはしっかり見積もりをとって検討した方が良いだろう。

 通話料は一般的なIP電話と近い設定の場合が多いので従来の固定電話より高くなることはまずないだろう。

クラウドPBX以外にもあるビジネスフォン機能を持つツール

 「Microsoft 365」(旧Office 365)のEnterprise版では「Phone System」と呼ばれる電話接続システムとゲートウェイ機器を追加することで、既存のPBXと「Microsoft Teams」を連携させて使える。つまり、Teamsをビジネスフォン代わりとして、発受信が可能になる。既にMicrosoft 365を導入している企業では、選択肢の1つとして検討しても良いだろう。

 テレワーク対応に最適のクラウドPBX。現在、数多くの事業者がそれぞれ特徴あるサービスを提供している。導入の際は、それぞれの特徴や制限事項、コストをしっかり調べて自社にあったサービスを選びたい。

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