ファインセラミック部品の専業メーカーとして1959年に創業した京セラ。現在では、情報通信とモビリティ、環境・エネルギー、医療・ヘルスケアの4つに重点を置き、素材や部品から、機器、サービスまで幅広い事業をグローバルに展開している。同社の物流倉庫はこれまで、従業員が紙のリストを見ながら日々、在庫の棚卸作業をしていたという。
当然、従業員が手作業で棚卸しをするということは、目視での確認だ。40万点以上の製品を取り扱う同社の物流倉庫では、製品やリストの受け渡しのために広大な倉庫内の移動が頻繁に発生する。時間コストがかかるだけでなく、リストへの記入とそのデータをPCで入力するのも手作業なため、在庫管理の精度に多くの課題があったという。
多くの企業がそうであるように京セラも業務のIT化に力を入れてきた。そのため、幾度となく現場改善のアイデアが挙がったが、その規模の大きさから、初期投資が必要な場合が多く実際のチャレンジには二の足を踏んでいたという。
そんな中、京セラはアステリアの業務用モバイルアプリ作成ツール「Platio」を導入し、同社独自の棚卸アプリを1日かからず作成、運用を開始した。入出荷のあった在庫リストが表示されるため、リストに従って棚卸結果を入力すれば棚卸報告まで完了できるようになった。
物流倉庫の現場で働く新入社員が「現場の業務で必ず使用するスマートフォンで棚卸用のアプリを作れないか」という意見を出した。そこで導入した一つのスマホアプリが、新たなチャレンジに踏み出せなかった物流の現場を変革したという。そこには、“現場のホンネ”があった。京セラの高岡慎哉氏(物流事業部 事業推進部 システム推進課)は、次のように語る。
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