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» 2020年06月19日 08時00分 公開

なぜ「Power Platform」は使われない? Office 365による業務改善の成否を分ける分岐点

連載最終回となる本稿では、業務改善に焦点を当てローコード開発ツール「Power Platform」を用いた現場課題の解決法について解説する。

[太田浩史,内田洋行]

 Office 365に含まれるサービス群の中で、数年前より一部のユーザーから大きな注目を集め、今後さらに関心が高まるだろうと考えられているのが「Microsoft Power Platform」に含まれる「Microsoft Power Apps」「Microsoft Power Automate」「Microsoft Power BI」だ。

 正確に言うとPower PlatformはOffice 365に標準で含まれるサービスの一つではなく、それ自体が独立して提供されているものだ。ただしOffice 365のライセンスには、Power Platformの一部が機能制限版として含まれている。機能が制限されているとはいえ、Office 365の各種機能と組み合わせて利用すれば、Power Platformの良さを十分に実感できるだろう。

 Office 365を導入済み企業の中には「よく分からない」からと、それらの利用を制限する企業や、全く利用していない企業もあるという。しかしPower Platformは業務改善のアイデアの源泉ともいえるツールだ。用途がよく分からないからと、放置するのは少々もったいない気もする。

 そこで、連載最終回となる本稿では、市民開発者の重要性を語るとともにPower Platformを基にした業務改善の成否を分ける分岐点について解説する。

Microsoftは2020年4月22日(日本時間)にOffice 365の名称を「Microsoft 365」に変更した。詳細は第2回「『Office 365離れ』はなぜ起こる? 導入のプロが語る利用促進の成否の分岐点」の記事中のコラムで解説。


著者プロフィール:太田浩史(内田洋行 ネットワークビジネス推進部)

2010年に内田洋行でOffice 365(Office 365の前進であるBPOS)の導入に携わり、以後は自社、他社問わず、Office 365の導入から活用を支援し、Office 365の魅力に憑りつかれる。自称Office 365ギーク。多くの経験で得られたナレッジを各種イベントでの登壇や書籍、ブログ、SNSなどを通じて広く共有し、2013年にはMicrosoftから「Microsoft MVP Award」を受賞。


「Power Platform」とは?

 Power Platformは、データを基にしたビジネス分析やアプリ作成、日々の業務プロセスの自動化やRPA(Robotic Process Automation)、チャットbotの作成をローコードで実現するサービスだ。ローコードとは「アプリ開発に複雑なコーディングをほとんど必要としない」という意味だ。複雑なコードを書かずとも新たなアプリケーションの開発やプロセスの自動化を容易に実現できるため、Power Platformのようなローコード(または、一切コーディングを必要としないノーコード)でソリューションを生み出せるシステムが、現在大きな技術トレンドになろうとしている。

図1 「Power Platformの全体概要図、独立したサービスとして多くの機能を提供する

 思い返せば、昔はWebサイトを構築するにも、サーバの設定やHTML、JavaScript、PHPなどの開発言語を用いたコーディングが必要であり、開発者のスキルにも依存していた。それが今やオープンソースのCMS「WordPress」やノーコード開発ツール「Bubble」などによって、開発者でなくても手軽にWebサイトを作成できる時代になった。つまり、開発者に依存していた時代から誰もが開発者になれる時代になったということだ。これは「市民開発者」とも呼ばれ、世界的に注目されている。

組織は「市民開発者」の重要性を理解できているか

 では今なぜ「市民開発者」が注目を集めているのだろうか。その背景には組織の業務改善と関係がある。

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