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グループウェアの利用状況(2020年)/後編

後編では、利用しているグループウェアに対する不満や使う機能、使わない機能について尋ねた。テレワーク実施中においてグループウェアのどういったところに不満を感じるのだろうか。

» 2020年05月28日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2020年4月20日〜5月8日にわたり「グループウェアの利用状況」に関するアンケートを実施した。全回答者数139人のうち、「情報システム部門で主に導入・検討や運用に関わる立場」が38.1%、「一般部門で主にユーザーとして利用する立場」が37.4%、「顧客に販売するベンダー・SIerとしての立場」が17.3%、「その他」が7.2%と続く内訳であった。

グループウェアの不満「テレワークではここが不便」

 前編では読者アンケートの結果を基に、勤務先でのグループウェアの導入状況と導入している製品について尋ねた。後編は、導入している製品に対する満足度や不満に感じていること、利用頻度の高い機能と低い機能について掘り下げたい。

 まず、勤務先で利用しているグループウェアの満足度を聞いたところ、「満足」が27.8%、「やや満足」が50.0%、「やや不満」が15.1%、「不満」が7.1%となり、まとめると全体で77.8%が「満足」、22.2%が「不満」とする結果となった(図1)。2019年の調査と比較したところ、全体で12.8ポイント満足度が増加し、「満足」と回答する割合が前回より8.0ポイントも増加した。

図1 利用しているグループウェアの満足度(n=126)

 満足、不満と回答した層に対してそれぞれフリーコメントで理由を聞いたところ、テレワーク関連する理由が目立った。

 「満足」とした層では、「テレワーク実施以前はあまり必要性を感じなかったが、在宅勤務が進むとこれがなければ仕事にならなくなった」「まだ十分に活用しているとは言い難いが、働き方を変えざるを得ない状況で可能性を見出せそう」といった今まではそこまで深くは考えてこなかったが、テレワークをきっかけにグループウェアを通じた情報共有やコミュニケーション活性化の効果をあらためて実感したという声が挙がった。

 一方で「不満」と回答した層では、「(使用している製品は)テレワークに十分に対応しているといえない」「類似のシステムが混在しており、どの場合に何を利用するかといったルールがない。そのため、コミュニケーションが『Microsoft Teams』と別のツールで分散している」「(勤務先のセキュリティ設定により)リモートワークではアクセスできる範囲が限定されている」といった意見があった。

 こうしたコメントに見られるように、「現状の働き方や業務に合った機能が不足している」「複数のツールを導入しておりそれぞれに重複する機能がある場合、運用ルールが定められていない」といった意見が目立った。

5人に1人が「ある」と回答、グループウェアに求めるものとは

 次に、グループウェアの機能や効果に対して今以上に求めるものがあるかどうかを聞いたところ、19.4%と5人に1人が「ある」と回答する結果となった(図2)。ちなみに2019年の調査では、「ある」が25.5%と約4人に1人であったため、求めるものが「ある」とする割合は減少傾向にあるようだ。

図2 グループウェアに求めるものはあるか(n=129)

 具体的にどのようなものを求めているのかをフリーコメントで聞いたところ、多くは「連携」に関する要望だった。例えば「事案ごとに、メールやドキュメント、部署間でのコミュニケーションをまとめられるものが欲しい」「社内給与システムと連携可能な勤怠システム」といった声が挙げられた。「Office 365やGoogleAppsなどとの連携」「他社製のグループウェアとのデータ連携」などの要望も目立った。

 また、グループウェアの導入において重視するポイントを聞いたところ「ユーザーインタフェース」67.4%、「操作性」66.7%、「運用管理のしやすさ」48.8%などが上位に続いた(図3)。

図3 グループウェアを選定する上で重視するポイント(n=126)

 従業員の利用頻度が高い製品群だけに使い勝手や操作性が重視され、「サービスの知名度」や「導入実績」などはそこまで意識されていない様子だ。

グループウェア「使う機能」と「使わない機能」2019年との違いは?

 一般的にグループウェアが備える主要16機能において、利用頻度が「高い機能」と「低い機能」を読者に尋ねた。

 まず利用頻度の高い機能では1位「スケジュール」86.5%、2位「施設予約」65.9%、3位「メール」64.3%、4位「掲示板」40.5%、5位「ファイル共有」36.5%が上位にランクイン(図4)。

図4 利用頻度の高い機能(n=126)

 一方利用頻度の低い機能では1位「勤怠管理」40.5%、2位「安否確認」37.3%、3位「ワークフロー」31.7%、4位「タスク管理」31.0%、5位「社内SNS」29.4%、6位「アンケート」24.6%などが続いた(図5)。

図5 利用頻度の低い機能(n=126)

 この結果を2019年5月に実施した調査と比較したところ、利用頻度の高い機能については上位項目にほぼ変動はなかったが、利用頻度の低い機能については変動があった。2019年の調査では1位だった「伝言、電話メモ」が今回は7位に順位を落としている。その代わりに前回8位の「ワークフロー」は今回3位に浮上しており、この1年間でグループウェアの活用方法に少し変化があったようだ。

 今回の調査では、2019年5月に実施した調査と比較して導入率や満足度が増加するなど、全体的にグループウェアへの評価が向上している様子が見て取れた。その要因は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による突発的かつ強制的なリモートワークへの移行が考えられるだろう。

 新型コロナウイルス感染症対策において、企業は「リモート環境で従業員の生産性をどう向上させていくか」という難題を突き付けられた。企業活動の在り方が大きく変わろうとするこのタイミングで、グループウェアがどのように活用されていくのか。今後の動向に注目したい。

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