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» 2020年05月14日 08時00分 公開

5Gの電波活用最新事情 見た目はガラス?「透明・動的メタサーフェス」とは

ガラスのように透明なのに、ある時は電波を反射し、ある時は電波を通す、そんな制御ができるのが「透明・動的メタサーフェス」。微細な2次元構造を組み付けた大面積材料が可能にする5G時代の電波活用技術とは?

[土肥正弘,ドキュメント工房]

5G電波の反射/透過もお手の物? 透明材料とは

 電波や光などの目には見えない「波」の作用を、物体の表面の構造によって変化させることができるのが「メタサーフェス」だ。

 一般的には物体にあたる電波や光の反射と透過の特性は、物体の材質によって一定だが、物体表面に光や電波の波長よりも小さい特殊で規則的な、自然界にはない構造を作りこむことで、反射/透過の特性を変化させることができる。そのような構造をもつ材料は、自然にはない「超材料」という意味で「メタマテリアル」と呼ばれてきた。現在ではメタマテリアルといえば微細サイズの3次元構造をもつもののことを言い、2次元的な構造を反復して作りこんだものは「メタサーフェス」と呼ばれている。

 以前からこのメタサーフェス技術を応用した光フィルターや電波制御は研究されてきた。2020年1月、NTTドコモ(以下、ドコモ)は、透明な20センチ角のガラスに組み付けた透明メタサーフェス基板を使って、5Gで利用普及が期待される28GHz帯の電波の透過/反射を制御する実証実験に成功したと発表した。大面積かつ透明な材料での電波透過/反射の動的制御は世界初の成果だ。

実証実験で利用された透明・動的メタサーフェスプロトタイプ 図1 実証実験で利用された透明・動的メタサーフェスプロトタイプ(出典:NTTドコモ)

透明・動的メタサーフェスで何ができる?

 5Gをはじめ、これからの無線通信でますます重要となるのが、28GHz帯や60GHz帯といった高い周波数帯の電波活用だ。広い帯域幅を利用した高速通信の可能性が広がっている。一方で、高い周波数帯は電波の直進性の高さ故、端末と基地局間に障害物などが存在すると電波が到達しにくくなるという弱点もある。

 そんな弱点を解消する方法として、電波が届きにくいエリアに電波反射板を設けている。金属製の反射板を設置する方法もあるが、より効率的に電波が届けられるよう、ドコモは研究を重ねてきた。2018年11月時点には、メタマテリアル材料による反射板を用いて電波の反射方向とビーム形状の制御を実験し、データ通信ができなかったエリアでの通信を可能に、5G移動局の通信速度を最大60Mbpsから最大560Mbpsまで改善できることを実証した。

 その一方、反射板の設置場所に合わせた設計が個別に必要であることや反射板の裏側に電波が届かないこと、さらに板上の外観から景観への悪影響が考えられることなどの課題も見えてきた。課題をクリアし5G活用可能エリアを拡大させるために作られたのが、今回紹介する「透明・動的メタサーフェス」だ。

 従来のメタマテリアル反射板との違いは“電波をある時には透過させ、ある時には反射させる”制御が可能なことと、外観が透明で景観にほとんど影響を与えずに設置できることだ。実験では、約2ミリメートル角のメタサーフェス素子を並べて20センチ角のプロトタイプを作成したが、さらなる大面積化も可能となっている。では一体、どういった活用が想定されているのだろうか。

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