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» 2020年05月20日 08時00分 公開

超多忙な経営幹部にタレントマネジメントシステムを使ってもらうには? 住友商事の場合

SaaSで最新のベストプラクティスを、といったところで使われなければ意味はない。改革の推進には社内のキーパーソンが簡単かつ効果的にシステムを使える仕掛けが重要だ。海外で実績のある手法で成果を上げる企業を取材した。

[吉村哲樹,オフィスケーワイ]

 世界各国で事業のかじをとる多忙な経営幹部に事業とは別の要件でシステムの入力作業をお願いしたとして、そのタスクのプライオリティはどのくらいに設定されるだろうか。操作マニュアルを整備したとしてじっくり読んでもらえるチャンスはあるだろうか。多忙な経営幹部が新しいシステムを簡単かつ効果的に使えるように、住友商事は新しいアプローチを試みた。最新のテクノロジーを生かした人事の挑戦を追う。

グローバルなタレントマネジメント基盤を導入も

 日本を代表する総合商社として、国内はもちろん、海外でも66カ国に113拠点を構える住友商事。世界中の拠点で約6万7000人の従業員(連結ベース)が働く同社には、グループ経営を担う重要ポジションとして定義する「キーポジション」(本社の部長級以上に相当)が380ほど存在する。

 人材こそが最大の財産である商社にとって、これらのポストにいかに適切な人材をアサインできるかどうかを大きく左右する。そのため同社の人事部門では、これら幹部候補の育成や適切な配置を検討する「後継者育成計画」に力を入れてきた。その一環として2018年4月から全社で利用を始めたのが、SAPのSaaS型タレントマネジメントシステム「SAP SuccessFactors」だ(SAPはHuman Experience Management〈HXM〉と呼ぶ)。同製品の導入に至った背景について、住友商事の山田裕志氏(人事厚生部 兼 グローバル人材マネジメント部 課長代理)は次のように話す。

 「後継者育成計画を策定するのは、本社で言うと本部長級以上の経営幹部です。これまでの後継者育成計画はある意味、経営幹部の頭の中にある情報がベースになっていましたが、戦略的な人材配置をグローバル連結ベースで継続的に実現していくためには、海外人材を含む当社グループ全体の人材を要件に応じて検索できるように、人材情報をデータベース化する必要がありました。加えて、従来は経営幹部および各部門・海外地域の人事担当者に対して、後継者育成計画の内容を記入するExcelのフォーマットを配布して、記入してもらった後に本社人事が回収して、その内容を取りまとめていました。しかしこれらの作業にはかなりの手間が掛かる上、遠隔地や海外にいるメンバーとは緊密に連携を取るのが難しく、なかなか効率的に情報を集められませんでした」

 そこで同社の人事部門では、グローバル人材データベースの構築と共に、手作業に頼っていたこれらの情報収集業務をシステム化し、より効率的な後継者育成計画の策定を実現するために「SAP SuccessFactors」の導入に踏み切ることにした。SAP SuccessFactorsは、SAPが提供するSaaSで、多数の人事関連機能が提供されているが、同社はその中でもまずタレントマネジメント機能の活用にフォーカスした。しかし、システム導入には、別の面で大きな懸念材料があったという。

SAP SuccessFactorsの機能全体像  コア人事機能だけでなく、タレントマネジメントに関する機能も豊富だ(出典:SAPジャパン)

※本稿は4月3日に取材した内容をまとめている。東京都による外出自粛要請を受け、取材はオンラインで実施した。


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