連載
» 2020年04月24日 08時00分 公開

テレワーク実施率、どれが本当?

各所から発表されるテレワーク実施率、あまりにも数字がばらばらだが、実際はどうなっているのだろうか。

[原田美穂,キーマンズネット]

 2020年4月初旬は「外出自粛が求められる中、テレワーク実施率が低過ぎる」との報道が相次ぎました。厚生労働省とLINEと実施した全国調査(第1回)では、テレワーク実施率がわずか5.6%という結果になりました。しかし、同じ時期に別の調査では国内企業のテレワーク実施率はおおよそ25〜40%、極端なものでは100%近いとの報告もあります。この差はどうして生まれたのでしょうか。

テレワーク実施状況調査、衝撃の数字はインパクト重視?

 この発表は「第1回 新型コロナ対策のための全国調査」の結果を受けてのものです。この時の厚生労働省とLINEの調査は、15歳以上のLINEアカウントを持つ個人を対象としていました。そのため、回答者の中にはそもそも就労していない方々も含まれていたものと推測されます。回答者全体には就労している方とそうでない方が含まれており、その中でも就労しておりかつ通勤が必要な方のうち、テレワークで業務ができている方が5.6%ということになります。

第1回 新型コロナ対策のための全国調査の結果(出典:厚生労働省)

 通勤をひかえるよう世に訴える期間にここまで衝撃的な数字が出たことで、皆さんは危機感を持ったでしょうか。あるいは他社もテレワークに踏み切っていないのだと安心したでしょうか。危機感を持って対策を急ぐ企業が増えたのであれば、この情報を出した意義は大変大きなものだったといえるでしょう。

追記:2020年4月30日、厚生労働省は「第1-3回『新型コロナ対策のための全国調査』からわかったこと」として、3回の全国調査から得られた情報を公開しています。第3回調査では職種などを調査していたことから、就労者に絞ったテレワーク実施状況を把握できたものと考えられます。それによると、「オフィスワーク中心(事務・企画・開発など)の方におけるテレワークの実施率は、第3回調査時点(4月12〜13日)で、宣言前と比較して全国的に増加しているものの、全国平均で27%」でした。このうち、東京都は52%という結果になっています。(01 May 2020 14:54:57 JST-9更新)


企業のテレワーク実施率に見る「穴」

 一方で、企業を対象としたテレワーク実施動向の調査の多くは、「テレワークを導入しているかどうか」を問うものがほとんどでした。この場合、企業内のごく限られた人員のみにテレワークを許可する組織であっても「テレワーク導入企業」のカテゴリーに含まれてしまいます。

 もしかすると、回答者の解釈次第では、就労規約にテレワークに対応した内容を盛り込んだだけで、実施実績がなくても「導入した」と回答する可能性もあります。テレワーク実施率の25〜40%には、こうした意見が多少含まれることを考慮して読む必要があります。また、この数字は回答者の母集団によっても大きな差が出ました。日本経済団体連合会(経団連)の会員企業を対象とした調査では、テレワーク実施率97.8%と非常に高い実施率になっています。ただしこちらも全社的な導入となるとその数値は大きく下がります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。