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RPA活用フェーズで直面する「高コストで広げられない」を解決─FPTのakaBot®と、新構想RaaS(RPA as a Service)

» 2020年04月20日 10時00分 公開
[加藤学宏RPA BANK]

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RPA BANK

システム開発に代わる効率化ツールとして期待されてきたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、着実に広がりを見せている。MM総研「RPA国内利用動向調査2020」での導入率は、年商1,000億円以上の大手企業は50%超、50億円以上から1,000億円未満の中堅・中小企業は25%となっている。また、導入済み企業の8割が「利用拡大に前向き」と回答した。同時に調査は、ツールの切り替えを準備・検討している企業が約3割程度存在していることを明らかにした。

この動向を裏付けるように、RPAツール「akaBot®(アカボット)」を提供するFPTソフトウェア株式会社のブイ・ディン・ザップ氏も「活用フェーズに入ったが、拡大にともなってライセンス料の増加が課題になっている。他社ユーザーから製品を変えたいという相談も持ちかけられる」「中小企業にはライセンスが高くて導入が難しい」と話す。ザップ氏に市場の課題認識と打開策を聞いた。

■記事内目次

  • 1.RPA活用フェーズで顕著になる課題とは
  • 2.ROIを高めるアプローチ方法
  • 3.他社ツールからの切り替えで、RPA運用トータルコスト「半減」の実績
  • 4.ツールではなくサービスで日本企業の自動化を加速

RPA活用フェーズで顕著になる課題とは

―RPAツール「akaBot」のプロダクトオーナーとして、日本企業と接する機会が多いかと思います。この1年の市場動向をどう捉えていますか。

ブイ・ディン・ザップ氏(FPTソフトウェア株式会社 新規事業推進本部 akaBot・事業開発最高責任者):リサーチやスタディのフェーズは、日本市場のお客様においては、おおむね終わったように感じています。大手を中心に、RPAというテクノロジーの理解と浸透がかなり進んだことは間違いありません。ただし中小企業については、コスト面で手を出しづらく、導入のブレーキになっているようです。

スモールスタートでRPAの価値を実感し、いよいよ本格的に幅広い業務へ適用したいと考える企業においては、スケールアップの課題としてROI(Return On Investment:投資利益率)を挙げる担当者が多くなっています。

当たり前のことだと思われるでしょうが、今一度RPAにおけるROIの考え方について整理してみましょう。

「利益金額÷投資金額」で算出しますが、分子の「利益金額」に影響を及ぼすのは、業務の選び方です。時間がかかる業務、工数の大きな業務から選ぶことです。

分母の「投資金額」は「開発費用」と「ライセンス料」の2つに大きく分けられ、いかに抑えるかが重要です。ライセンスの料金体系は製品によって異なりますが、一般的に使えば使うほど高くなるため「前に踏み出せない」という声が上がっています。

ROIを高めるアプローチ方法

―グローバル市場でサービスを提供してきた実績をお持ちですが、先進企業やFPTが考えている、ROIを高めるための効果的なアプローチを教えてください。

これから導入する企業の場合、「RPAは手段です」とお伝えして、しっかり目的を設定してもらいます。そうすれば、「誰が開発するのか」、「どの業務から始めるのが効果的か」「最適なツールは何か」など、経験をもとにベストな展開方法を提案できますし、実際の業務に当てはめて、削減できる業務のボリュームやコスト、それらを踏まえたROIを示すこともできます。

ただし、適用範囲が広がるにつれて工数の大きな業務は減っていき、同時に開発やライセンスのコストが増えるため、ROIは小さくなっていきます。それに、削減できる工数は少なくてもRPAを使いたい業務もありますよね。もしライセンスを見直すことができれば、抜本的にROIを大きくすることができる。これがポイントです。

ですので、すでに何らかのRPAツールを導入済みなら、当社が開発したツールakaBotを積極的にご紹介しています。akaBotは、現在の市場で認知度を高めているRPAツールと比較すると、かなり思い切った価格で提供しております。具体的には、現在の市場で主要なツールとして認識されているツールの凡そ3分の1の価格設定で提供し、これにより、業務に掛かるトータルコストを半減できた国内事例もあります。1〜2日間かけて業務を分析した上でコストシミュレーションを実施し、現行の他社ツールや、お客様の頭の中にあるコスト削減目標と比較してもらうのですが、「ROIが出る」ことを理解していただけます。

―akaBotとは、どのようなツールなのでしょうか。

誕生の背景からご説明したいと思います。数年前、グローバル全体で28,000人の従業員が働くFPTグループ自身がRPAの導入を検討したところ、約1,000体のロボットの需要が見込まれました。有名なツールも選択の候補として挙がりましたが、ライセンスの高さが気になりました。

FPTソフトウェアはベトナム最大手のICT企業で、以前より日本を含むグローバルのお客様に対して、世界的に知られた各種RPAツールの導入支援を幅広く手がけてきました。その結果、さまざまなツールの特徴や問題点など、膨大な知見を獲得。そこで自社グループだけでなく、価格を理由に効率化を諦めざるを得なかったベトナムや日本の企業にも「機能や性能が優れているのに低コスト」なツールを提供したいという思いも込めて、akaBotを自社開発しました。

―お客様にakaBotを紹介すると、どのような反応が返ってきますか。

正式リリースから1年ほどが経ちました。まず興味を示していただいたのは、弊社を信頼してくださっている既存のお客様で、リリースを知って「ぜひRPAの話も聞きたい」という問い合わせが相次ぎました。

当社を知らなかった企業に紹介すると、「ベトナムの会社が、こんなに高品質な製品を提供しているとは」と驚かれ、実際に使ってみて「他の有名ツールも試したが、同じ機能で、より使いやすい。しかも安い」と、さらに驚かれます。

FPTグループは、日本では約20年にわたってビジネスを展開し、日本の商習慣や求める品質に対応してきました。また、今年の2020年で、日本法人FPTジャパンホールディングスも設立15周年を迎えました。今では、グローバル売上の半分以上が日本市場によるものです。知ってもらえていない企業があるのは残念ですが、まだまだ努力が足りない証拠ですね。2021年には、日本のITサービス企業のなかでトップ20に入ることを目標としています。

他社ツールからの切り替えでコスト「半減」の実績

―コスト半減の事例もあるとの話でしたが、詳しく教えてください。

採用業務効率化にRPAを導入していた日本企業が、ツールをakaBotに切り替えた事例です。同じ機能をカバーしながらも、ツールを変えただけでツールに掛かるコストは約3分の1 に。運用なども当社に変えたことによって、トータルコストとしては半減を実現しました。

―価格の魅力を感じますが、切り替える技術や知識が求められますよね。それから、RPA環境全体の再開発の時間やコストを考える必要はないのですか。

その視点は大切ですが、心配ありません。akaBotには移行のための自動化ツールがあり、定義を既存ツールからエクスポートしてakaBotに読み込ませることで簡単に移行が実現でき、コストが膨らまないようになっています。

そして、500名以上のRPA専門エンジニアが、移行作業だけでなく運用や追加開発など、網羅的にサポートする体制を敷いています。エンジニアは日本にもいますが、ベトナムのオフショア拠点と連携して、より低コストに抑えることが可能です。

ツールではなくサービスで日本企業の自動化を加速

−先ほど、お付き合いのあるお客様からは特にakaBotの問い合わせが活発だという話でしたが、ベトナムなど海外企業の製品やサポートに不慣れな日本企業も少なくないと思います。RPAは新しいツールだけに不安を感じやすいと思うのですが、十分な支援が受けられるのでしょうか。

日本をはじめベトナム以外の国への提供は、非常に得意です。FPTソフトウェアは世界20ヶ国を超えるお客様に対して、システム開発や運用を中心に幅広いサービスを提供してきました。フォーチュン500(アメリカの『フォーチュン』誌が年に一度発表する全米総収入上位500社)のうち100社以上も含まれます。価格競争力を持つベトナムでのオフショア拠点でのサービス、レベルの高い品質、これらが両立していなければ選ばれないはずです。

そして繰り返しになりますが、日本は当社最大の市場であり、20年にわたってビジネスを継続してきました。9,000名ほどが日本市場関連の業務に携わり、日本語を扱える人材も5,000名ほどいます。ですから、グローバルの知見に加えて、「日本企業が求めるRPAとは何なのか」を知っているわけです。

akaBotに関して言えば、イギリス、アメリカ、台湾、韓国、日本、ベトナムの6カ国で実績があり、日系企業の海外拠点にも対応することができます。当社だけでなくパートナーも拡充するなど、今まで以上に日本での体制を強化しているところです。

その一つが、2019年のFPTコンサルティングジャパン(FCJ)設立です。デジタルシフトや働き方改革でのコンサルティング実績が豊富な株式会社エル・ティー・エスとの合弁会社で、ビジネス上の課題とRPAなどのITを一体として捉えて、解決に導ける体制を整えています。

―機能面ではいかがですか。

インターフェース、資料、ヘルプデスク、すべて日本語対応していますので、言語で心配する必要はありません。今後はトレーニングも提供予定です。

―akaBotについて、これからのビジョンを教えてください。

日本市場に注力していく戦略です。大手企業には、乗り替えニーズへの対応。中小企業に対しては、価格面で導入ハードルを下げることで、RPAを手の届くものにします。改めて言いたいのは、中小企業の普及が遅いのはライセンスが高いからです。

ただし、価格だけではRPAがビジネスに浸透しないと思っています。ツールではなくサービス、点ではなくトータルソリューションが求められていますので、当社もRaaS(RPA as a Service)として展開していきます。

―RaaSが提供するトータルソリューションには、何が含まれるのですか。

ライセンスの安い「ツール」、トータル1,000人のRPA関連業務に携わる人員を擁するRPA開発センターで運用保守まで可能な「体制」、20年の蓄積がある日本企業の「業界知識」。この3つが柱となります。

提供形態としては、日本でよく見られる業務ごとにパッケージ化したうえで、毎年の利用に応じて課金するサブスクリプション型(オプションで、毎月支払いの選択も可能)で提供したいと考えています。

また、エコシステムによる拡張性の充実も図っていきます。

加えて、先日(2020年4月7日)、人材サービスに加え、AI・RPA領域に力を入れていらっしゃる「ディップ株式会社」様と共同でプレスリリースを配信させていただいたように、日本企業とのRPA分野における積極的な業務提携も進めております。

FPTソフトウェアでは、RPAに関連する業務全体の最大50%のコスト削減を柱に、総力をあげて日本企業の課題解決に貢献していきます。

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