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» 2020年04月13日 08時00分 公開

中堅・中小製造業のRPA導入、AI、IoT活用の実際は? 事例で理解する自動化のコツ

製造系の企業が既存のシステムを生かしながら生産性を高めるには、RPAやAIなどを頼るのも一案だ。機械、現場、基幹系……今ある3つの情報を今あるシステムを生かしながら効率化し、生産性向上につなげる方法を取材した。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 慢性的な人材不足に加えて時間外労働時間の上限規制の猶予期間終了(2020年4月から中小企業にも適用開始)を迎える中堅・中小製造業。少人数でも事業の維持・発展を可能にする生産性向上が求められる。だが大規模な予算を取りにくい中堅・中小企業にとっては、既存システムを生かしながら生産性を上げる方法が求められる。場合によっては、過去に導入に失敗したまま、現場の努力で運用し続けるシステムがあるかもしれない。それでも業務を効率化したりデジタル化する方法はあるという。専門家がポイントを解説する。


本稿は2020年2月5日の大塚商会主催「実践ソリューションフェア2020」での講演を基に編集部が再構成したもの。



実業務にフィットしない設計のITツールを導入した企業では生産性が下がる

大塚商会 本部SI統括部製造SPグループ グループ長 酒田裕之氏

 大塚商会の製造SPグループは、中堅・中小製造業での「実稼働」を目指してIT開発、プロモーション、コンサルティング、営業、サポートの製販一体でのソリューションを提供する専門チームだ。オフィスオートメーション(OA)分野で長年の実績がある同社だが、近年は同グループを中心にファクトリーオートメーション(FA)領域を視野に入れた取り組みに注力してきた。

 だが現実の中堅・中小製造業が利用する生産管理パッケージは「ほとんどが組立加工業向けの製品で、加工業や装置業など、同じ製造業でも業態が異なるとマスターデータ管理の方法などもうまく適用できず、システムを導入しても効率化につながっていないケースがある」と大塚商会  酒田裕之氏(本部SI統括部製造SPグループ グループ長)は語る。

 既に多くの工場内やオフィスにデジタルツールが導入されている。しかし、既存のツールが必ずしも業務にフィットしているわけではない点が問題だ。

 例えば生産管理パッケージを導入するケースでは既存パッケージ製品が組み立て業の工程や管理方法を前提にしたものがほとんどで、加工業、装置業など他の業態にはうまく適合しない場合がある。

 組み立系て製造業では部品や材料の発注・購買管理、部品構成管理、在庫管理、原価管理などが重視されるが、組み立て系製造業ではそれに加えて加工程進捗管理、工程の負荷調整、原材料の発注・購買管理、ロットトレース、品質管理などに重点が置かれる。

 また装置業では配合・レシピの管理などにも重きが置かれる。どれもコスト削減、品質向上、納期短縮、生産性向上、在庫削減、コスト削減という目的は同じでも、要求される管理方法は異なることが多い。自社の生産実態にパッケージ機能が適合しない場合は、カスタマイズが複雑化したり、その部分のギャップを人間の労力で埋めたりする必要が出てくる。また工程間や部品などの調達、搬送、納入などの業務プロセスで情報共有がタイムリーにできないと余計なコストや時間が増えてしまう。

 この課題に対して酒田氏らは各企業の特性を分類し、マトリクスを埋めるようにラインアップをそろえて対応する。

 「大塚商会が自社開発した生産管理システム『生産革新』の場合は、組み立て業のように構成が主なのか、加工業のように工程が主なのか、装置業のように配合が主なのかを横軸にとり、繰り返し受注が多いか、個別受注が多いかを縦軸にしたマトリックスで、それぞれの業種・業態に適合するパッケージをそろえており、個々の企業のニーズに沿った提案ができる」(酒田氏)

中堅・中小製造業におけるRPA、AI、IoT導入のアプローチ、実例を知る

 製造業では従来は機械データ(生産設備からの各種データ)の収集が重視されてきた。だが、さらなる生産性向上を目指すならば、これに作業者の現場でのデータを加えてより詳細な情報をも基に業務気改善を検討した方がよい。また、会計や販売システムが管理する基幹データと合わせて分析することも重要だ。こうした情報を掛け合わせて生産計画や購買計画のスピードを速めたり、現場への指示を正確かつ迅速にしたりできる。

 「既存FA系システムからの情報と、作業者によるタブレットなどを介したデータ入力、基幹システムに蓄積される原価、売り上げ・仕入れなどの会計情報や製造実績などの情報を連携させることで、全体の効率化が可能になる」(酒田氏)

 このように、機械、作業情報、会計データの3要素を連携すれば、「データ収集」「判断」「通知」という基本的なデータ活用のサイクルを回せるようになる。ではこの各プロセスでどういった施策が必要だろうか。以降では実例と合わせてみていく。

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