ニュース
» 2020年03月16日 08時00分 公開

20年たってこう変わった、SAPのCRM、BI、ERP最新事情

SAPによると、国内企業のCRM、BI、ERPのシステム対応にはまだまだ課題点が残るという。それぞれの分野における“マズイ”点を指摘するとともに、SAPのSaaSの特徴を深掘りする。

[指田昌夫,キーマンズネット]

 「データ活用」「データ経営」という言葉が聞かれて久しい。ただ蓄積したデータをやみくもに参照するのではなく、目的に応じて適切な情報を収集し、活用しなければ意味がない。しかしグループ会社、部署、部門ごとに個別最適で構築されたシステムでは、それぞれで管理するデータがサイロ化しがちでデータ活用どころではない。そこで共通システム基盤としてSaaS(Software as a Service)型の業務アプリケーションを活用するという手がある。

 本特集では、クラウド型業務アプリケーション群を提供するSAPのSaaSに焦点を当て、ビジネスにおいて特に重要な役割を担う製品について解説する。

 SAPは2014年にConcurを買収するなど、現在、クラウド型ビジネスソリューションの拡充に注力している。下の表はSAPグループが提供するSaaS製品の全体像をまとめたものだ。

ERP SAP S/4HANA Cloud                    
CRM SAP C/4HANA                    
 SAP Customer Data Cloud                    
 SAP Commerce Cloud                    
 SAP Marketing Cloud                    
 SAP Sales Cloud                    
 SAP Service Cloud                    
BI SAP Analytics Cloud                    
人材調達 SAP Fieldglass                    
タレントマネジメント SAP SuccessFactors                    
調達管理 SAP Ariba                    
経費精算 Concur Expense                    
出張管理 Concur Travel                    
請求書管理 Concur Invoice                    
経費分析 Concur Business Intelligence                    
出張危機管理 Concur Risk Management                    

 このようにSAPグループが提供するSaaS製品は中核製品であるERPを中心に、CRM、人事管理、人材調達、経費精算などと多岐にわたる。今回の特集では、この中でもクラウド型のBIツール「SAP Analytics Cloud」、CRMの「SAP C/4 HANA」、クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」といった事業と密接に関わる業務システムにフォーカスし、それぞれのソリューションの特徴などを深掘りする。

SAP Analytics Cloudとは

 まずはBIの「SAP Analytics Cloud」だ。SAPのアナリティクス製品の特徴は大きく2つあり、1つ目は予算計画管理、予測分析、そしてデータの可視化(BI、ビジネスインテリジェンス)に関する3つの機能を単一のプラットフォームで利用できること。2つ目の特徴は、経営層やビジネスマネジャーがすぐに使えるダッシュボードのテンプレートを備えていることだ。

 まず1つ目の特徴について解説する。SAP Analytics Cloudの予算計画機能によって年間予算計画の策定や販売、人員計画など、企業の仕様とガバナンスに沿ったドキュメントを簡単に作成できる。SAPはこれを「エンタープライズプランニング」と呼ぶ。

 事業別予算の振り分けや配賦計算の設定など細かな予算計画を作成する際は、データを取り出してExcelなどで加工するといったシーンも見られるが、Excelシートが部門ごとで個別最適されているケースもあったり、データの収集、集計作業に時間がかかったりといった課題があった。SAP Analytics Cloudは、販売管理システムや会計システムなどと自動連携し、データを自動で収集する。

 また、プラットフォームに収集された経営情報を用いて高度な分析も可能だ。機械学習エンジンにより、売り上げの季節変動やサイクル性、上昇・下降傾向などを解析し、そこから将来値を引き出すこともできる。外部データを含めた分析にも対応し、GoogleのBigQueryなど、ビッグデータ分析基盤のデータや、SalesforceのCRMデータを直接読み込むこともできる。

図1 Excelやスプレッドシート管理に依存することで起こる一般的な課題(資料提供:SAPジャパン)

図2 SAP Analytics Cloudは経営情報の収集を自動化し、集計作業を効率化する(資料提供:SAPジャパン)

 2つ目の特徴であるダッシュボード機能は「ストーリー」と呼ばれる画面で、キャンバスにグラフ化したいデータとチャートタイプを簡単なマウス操作で選択し、チャートの配置はドラッグ&ドロップで容易にカスタマイズ可能だ。オリジナルのダッシュボードが短時間で作成でき上層部へのプレゼンテーション資料の作成にも役立てられる。またSAPが買収したKXENのデータマイニング技術が組み込まれており、分析対象(利益率など)を指定すると自動で分析し、分析結果を複数のチャートにし、ダッシュボードまで自動生成してくれる機能も実装済みだ。

図3 分析結果を考えたシナリオに沿ってまとめられる「ストーリー」機能(資料提供:SAPジャパン)

 一般的なグラフやテーブル以外にも地図データサービスを利用した情報の可視化も可能だ。例えば、国や地域の地図と支店や店舗などのデータを組み合わせることで、エリアごとの販売実績などが簡単に可視化できる。

図4 地図と連係した情報の可視化、分析(資料提供:SAPジャパン)

 このようにSAPは近年、クラウドサービスの拡充を進めてきた。SAPが2018年から注力するのが5つのSaaSアプリケーションで構成されるCRMスイート「C/4HANA」だ。以降で詳細を見ていこう。

SAP C/4HANAとは

 SAP C/4HANAは2018年にリリースされたSAP製品の中では比較的新しいソリューションだ。Customer Experience(以下CX)を改善するCRM(顧客管理)とマーケティング、コマース、顧客サービスなど5つのクラウドアプリケーションで構成されるスイート製品である。これらの5つのアプリケーションによって、顧客接点から受注までのフローをカバーする。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。