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» 2020年03月02日 08時00分 公開

「5G」と「ローカル5G」は何が違う? ローカル5G事業者になるには? 先行事例と適用領域を知る

2019年末からローカル5G事業者の登録がスタートした。ほかの通信規格との使い分けはどうなるか。現在先行して検証を進める企業がどういった適用例を想定しているかを含め見ていく。

[キーマンズネット]

「5G」と「ローカル5G」は何が違う? 

 次世代の高速モバイル通信規格として、現在各方面から大きな注目と期待を集めている「5G」。海外の一部の国・地域では既に先行してサービス提供が始まっており、日本においても2020年中に大手キャリアから5Gの公衆網サービスが提供される予定になっている。

 5Gの正式名称は「第5世代移動通信システム」で、このうち「第5世代」の部分を略して5Gと一般に呼称されている。主に「高速・大容量」「低遅延」「多接続」の3点を特徴とし、現在主流の4G(LTE)と比較しても、最大速度は20倍、遅延時間は10分の1、そして接続可能なデバイス数は10倍にまで向上している。今後、本格的なIoT時代が到来し、多数のデバイスから大量のデータが無線ネットワーク上を流れる時代になると、5Gのような高性能なモバイル通信技術は不可欠なものとなる。そのため現在、官民挙げて5Gのインフラ整備が急ピッチで進められている。

企業が自社専用の5Gネットワークを構築できる「ローカル5G」

 一方で通信キャリアの5Gサービスに先行する形で、一般企業が通信キャリアのサービスを介さずに自ら直接運用する「ローカル5G」の取り組みが本格的に立ち上がろうとしている。総務省は、通信キャリアが利用する5Gの周波数帯とは別枠の周波数帯の一部をローカル5G用として定め、2019年12月にその利用申請の受付を開始した。企業はこの申請にパスすると、自社の敷地内でローカル5Gを利用できるようになる。

ローカル5Gが想定する適用領域。屋外の広い敷地も想定することから自治体単位での利用も想定する(出典:総務省) ローカル5Gが想定する適用領域。屋外の広い敷地も想定することから自治体単位での利用も想定する(出典:総務省)

ローカル5Gを自社で導入する際のリードタイムはどのくらいか

 この審査をパスするには、まずは申請前に無線局免許を取得する必要があり、自社でローカル5Gを具体的にどのように利用するのか、ある程度計画をまとめておく必要がある。

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 申請から審査、免許交付までには4〜5カ月程度はかかると予想されており、その他の検討作業も含めると、実際にはローカル5G導入の検討開始から免許交付までに1年間程度が見込まれる。周辺環境への影響を考慮した設備設計や手配が必要なため、手続きは経験のある事業者の協力を得る形が現実的だ。外部の協力を得てもなお、ローカル5G導入に長い準備期間が必要な点を懸念する声があるため、将来的には審査手続きの簡略化や短期化を目指す動きもある。

 事業者としての認可が下りたとしても実際にローカル5Gを利用するには専用の通信設備を新たに調達しなければならない。新規の設備投資となるため、戦略的に適用する領域の見極めが必要になる。特に電波特性上、他の方式よりも必要な中継機が多くなる傾向があるため、注意が必要だ。

ローカル5Gはどのような場面で役立つものなのか?

 ローカル5Gは現在、さまざまな産業領域において「ブレークスルーをもたらす技術」として大きな期待を集めている。例えば、5Gの「高速・大容量」「低遅延」という特徴を生かせば、工場の生産設備や建設現場の建機などを、遠隔地からスムーズに操作できるようになる。現場のカメラ映像をリアルタイムで遠隔地に送り、遅延なく遠隔操作を行うためには、大容量の画像データでも遅延なく送れる5Gのような通信インフラが不可欠だ。医療現場における遠隔医療などを実現する上でも、こうした通信インフラは欠かせない。また5Gが持つ「多接続」という特徴を生かせば、工場の生産設備や、社会インフラ設備などにより多くのセンサーデバイスを設置し、きめ細かくモニタリングデータを取得することで、故障や異変の予兆を迅速かつ正確につかめるようになる。

 こうしたユースケースは、通信キャリアが提供する5Gサービスでも十分に実現可能だ。しかし、決して外に漏らしたくない機微なデータをやりとりする場合、公衆サービスであるキャリア5Gではセキュリティ面の懸念がどうしても拭えない。また、他の利用者と回線や設備を共用するキャリア5Gは、通信の安定性という面でも若干の不安が残る。

 そこで、こうした不安を払拭するために、自社の事情に合わせて好きな時、好きな場所に5Gネットワークを柔軟に構築し、安全で安定した高速無線通信プラットフォームを実現しようというのがローカル5Gの目的だ。現在、IoTを使った新たなビジネスモデルの確立を目指す企業や、人手不足解消のためにデジタル技術を使った業務自動化を急ぐ企業などが、このローカル5Gに大きな可能性を見いだして、導入の検討や実証実験を進めようとしている。

総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会報告「ローカル5Gの概要について」より抜粋

大規模な事業全体の自動化、屋外環境での活用例は? ローカル5Gの使いどころ

 ローカル5Gの概要が分かったところで、実際にどんな場面での利用検討が進んでいるのだろうか。現在はまだ大手企業や自治体が実証実験や技術検証を進める段階にあるが、おおよそどのような領域で利用できそうかのめどは立ちつつあるようだ。以降では業界別の検討例を紹介していく。

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