特集
» 2020年02月20日 12時00分 公開

Wi-Fi 6が出たと思ったら今度はWi-Fi 6E? これはいったい何?

2018年10月に「Wi-Fi 6」の登場が話題になってから1年3カ月で今度は「Wi-Fi 6E」が発表された。どちらも無線LAN規格「IEEE 802.11ax」に基づいた認証プログラムだという。分かりやすくなったようで、実はそうでもない「Wi-Fi」、ここで「6E」の正体とともに、無線LAN規格 全体のイメージを確認しておこう。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

「Wi-Fi 6E」とは何か

 「Wi-Fi」(ワイファイ)はPCおよび通信関連の業界団体であるWi-Fiアライアンスが定めている無線LAN標準の総称だ。同時に、同アライアンスで認証されている機器を使った通信そのものを指すことも多い。「Wi-Fi 6E」はWi-Fiアライアンスが命名した最も新しい標準の名称である。「E」はExtend(拡張)を意味する。何を拡張しているのかといえば、Wi-Fi 6が対象としている2.4GHz帯と5GHz帯に、新しく6GHz帯を追加した点だ。

 こう聞くと「何でそれだけで名称を変える必要があるのか」という疑問もわくかもしれない。しかし実はWi-Fi 6Eは従来の無線LANの技術的壁を乗り越えて、従来は考えられなかったAR/VRコンテンツや高精細動画などをストレスなく利用できる道を開く期待が込められているのではないかと筆者は感じている。

Wi-Fi標準とIEEE 802.11標準の関係は?

 従来、無線LAN通信のさまざまな領域の標準仕様は、IEEE 802.11のタスクグループの名前がそのまま使われる場合が多かった。タスクグループ名はIEEE 802.11のあとに1桁または2桁のアルファベットで表される。まぎらわしいLやOなどのアルファベットを除外して、a〜zを順番につけて、足りなくなったらaa〜az、ba〜bzを使うという具合に、タスクグループは続々と増えてきた。その中で標準としてまとめられ、一般に無線LANデバイスを選ぶ時の大きな選択肢となってきたものには、下表のようなものがある。表中で*印の周波数帯域以外は無線局免許不要で利用できるところが、LTEや5Gなどセルラー系の通信仕様との大きな違いだ。

表1 主な無線LANの標準

 現在、対応機器が増加中で導入がさかんなのが、IEEE 802.11ac対応機種である。この数年で普及してきた11ac対応機器の次の世代の導入候補として注目されているのが11ax対応機器だ。表で記した通り、11axはまだ正式にリリースされていないが、ドラフト版で技術仕様は中心的部分が既に決定しており、現在は検証段階にきている。正式版は2020年秋ごろにまとまるとみられているが、それを待たず、2019年からドラフト版の仕様に基づく機器が続々と発売されているところだ。

 ところが、規格名称は上表の通り、専門外の人にはちょっと分かりにくい。そこで、規格の新旧が誰にでも分かるようにと、Wi-Fiアライアンスは機器の認証に際して「Wi-Fi 5」は第5世代である11ac対応、「Wi-Fi 6」は第6世代にあたる11ax対応というように、番号を付けて分かりやすい呼称にしたのである。こうしておけば、製品情報に例えば「Wi-Fi 5」対応機種なのか、「Wi-Fi 6」対応機種なのかという情報が記載されるようになるため、迷わずに対応製品を選択できるようになる。

 これで分かりやすくなったと思ったら、2020年初めに「Wi-Fi 6E」が追加されたことで、混乱してしまった人も多いのではないだろうか。新しい認証プログラムならWi-Fi 7でもよいのでは? と思うかもしれない。実は、Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eには技術面で大きな違いがあるのではなく、ただ6GHz帯の利用を対象にするか否かの違いだけなのだ。

「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」「Wi-Fi 6E」……違いは何か

 では、Wi-Fi 5とWi-Fi 6、Wi-Fi 6Eでは何が変わるのだろうか。まずは、Wi-Fi 5のベースであるIEEE 802.11acと、Wi-Fi 6のベースであるIEEE 802.11axの違いから説明しよう。

〇IEEE 802.11acと11axの違いは?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。