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» 2020年02月07日 08時00分 公開

AI、RPAで不動産の「2大闇作業」を変えた――オープンハウス情シスの奮闘

不動産業界の旧態依然とした業務から脱却を図るオープンハウス。AI・RPAを活用した3つのプロジェクトは、現場の業務を劇的に変えた。情シスが挑むプロジェクトの舞台裏とは。

[吉村哲樹,オフィスティーワイ]

 他の業界と比べ、IT化が遅れているといわれる不動産業界。紙資料を中心とした煩雑な作業が多く、労働時間も長いというイメージを抱く人もいるのではないか。

 一方、かつての旧態依然とした業務からの脱却を図り、「不動産業界のIT戦士」として存在感を示しつつあるのがオープンハウスだ。不動産業界の「2大闇作業」といわれるような業務に、AI(人工知能)やRPAなどの技術を適用させ、いち早くメスを入れている。

 同社がIT活用にかじを切るまでの道のりや、現場業務を劇的に変えた3つのプロジェクトの詳細、それらを完全内製で支えるスキル人材のユニークな採用方針などを聞いた。業界のIT戦士に生まれ変わるまでの舞台裏を探る。

急成長の影で増える業務――“不動産業界のIT戦士”に至る道のり

オープンハウス 情報システム部 業務改善グループ 次長 山野高将氏

 「東京に、家を持とう」のキャッチフレーズでおなじみのオープンハウス。都心の小規模な戸建て住宅物件を、比較的リーズナブルな価格で提供する独自のビジネスモデルを武器に、「直近5年間で売り上げ約3倍」という成長を遂げ、近年はマンション事業や海外不動産事業にも進出する。

 だが、急激な成長の裏で生じる軋みも当然ある。オープンハウスの山野高将氏(情報システム部 業務改善グループ 次長)は次のように述べる。

 「急速なビジネスの拡大に、社内の体制が追い付いていませんでした。人員を増やすなどの対策は講じていましたが、それ以上の勢いで一人一人が受け持つ物件の数が増加しました。ITを使って、何とか業務効率化を図りたいと考えていました」(山野氏)

 同社がITの活用に力を入れる理由は、他にもある。

 「不動産業界は他の業界と比べ、IT化がかなり遅れているといわれています。かつては弊社も例外ではなく、業務プロセスは紙ベースの旧態依然としたものでした。しかし2014年にCIO(最高情報責任者)の田口が入社し、IT活用を全社規模で積極的に進めてきました。今は不動産業界の中で突出してIT化の取り組みを推進できていると自負しています」(山野氏)

 IT化に対する積極的な姿勢は、社内体制にも反映されている。一般的に、オープンハウスのような事業会社では、社内の情報システム部門がIT施策の大まかな企画を担いつつ、システムの設計や構築はパートナーのSI(システムインテグレーション)企業企業に依頼することが多い。場合によっては、企画も含めて全てをSI企業に丸投げするケースもある。

 しかし同社は、システム開発案件を含め、基本的に「全てのIT施策を自社内で実施すること」を方針として掲げている。その理由について、山野氏は「システム開発を社外に依頼していては、ビジネスが変化するスピードに対応できません。当社は社内にITエンジニアを確保することで、スピーディーに開発を進め、ノウハウや知見を社内に蓄積できるようにしています」と語った。

30分の作業を1分に――土地の最適な区割りを「遺伝的アルゴリズム」で自動的に判断

オープンハウス 中川帝人氏

 IT施策の1つとして成果を上げているのが、2019年11月に発表した「宅地の自動区割りシステム」の開発だ。同社は、「都心の魅力的な立地の土地を買い上げ、その中に複数の戸建て住宅を建てて販売する」という独自のビジネスモデルを武器に、成長を遂げてきた。このビジネスモデルの鍵となる「宅地の区割り」業務を、劇的に変えるものだという。

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