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» 2019年12月27日 08時00分 公開

食品ロス削減へ、入社2年目のITプロが挑んだ飲食業界の経営大改革

「ブラック企業」からSDGs先進企業へーー入社2年目のITプロが取り組んだのは業務システムを使った食品ロス削減と経営改革だ。なぜ食品ロス削減が経営改革につながったのか。

[指田昌夫,キーマンズネット]

食品ロス削減推進法施行で、外食産業は「がむしゃら労働型」からどう変わるか

 2019年10月、「食品ロス削減推進法」が施行された。外食産業を含む食品業界全体で2030年までに食品ロスを現在よりも2割削減することが求められている。こうした中、ワタミは「食品ロス削減の推進に関する共同宣言」を発表。顧客とともに食品ロス削減に取り組むことを宣言した。他方、基幹系システムも刷新し、さらに食品ロス削減に尽力するという。

 食品ロス削減ではフードバンクなどの取り組みに注目が集まる。だが、外食産業の基幹系システム刷新も、食品ロス削減に貢献し、経営の高度化にもつながるのだという。ワタミの実際の取り組みを聞いた。

 ワタミは2014年以降、いわゆる「ブラック企業」問題の中で業績が悪化、多角化の主軸だった介護事業を売却、現在は外食を中心に、宅配弁当(宅食)、環境、農業分野で事業を軸に経営再建を進める。足元の業績は下げ止まりの兆しもあるが、2019年3月期の売上高はピーク時の6割程の947億円まで落ち込んだ。2019年10月には創業者の渡邉美樹氏が会長に復帰。経営体制を刷新してさらなる業績回復を目出す状況にある。

 こうした中、ワタミは主力事業である外食と宅食を中心にグループの財務会計、生産管理などの基幹系システムも刷新。2019年10月から本番稼働を開始した。インフォアジャパンが12月に開催した記者会見で詳しい説明があった。本稿ではその内容を紹介する。

入社した直後に「ムリ・ムダだらけ」が明らかに

ワタミ 若林 繁氏

 登壇した同社経営企画本部IT戦略部 部長の若林 繁氏は、システムエンジニアとして30年近く企業のさまざまなシステム開発を担ったベテランだ。若林氏は2018年1月にワタミに入社。初めて事業会社でITシステムの刷新をリードすることとなった。

 入社当時、社内システムは長年の事業多角化や業容拡大、さらに撤退等の変遷の中で、統制の取れない状態で放置されていたという。

 「入社してすぐに社内の情報システムを全部書き出してみた。すると非常にムリ・ムダが多いことが分かった」(若林氏)

入社4カ月目で食品ロスをなくすサプライチェーンの刷新を企画

 特に主力の外食と宅食では、全く異なる2つの手組みシステムが動いており、データベースも別々に運用していた。それぞれに高価な分析環境も持っていたが、コード体系も勘定科目なども統一されていないため、決算時には担当者がExcel形式でそれぞれのシステムからデータを取り出して手作業で合わせ込んでいた。当然、リアルタイムのデータを見ることはできず、手作業に起因するミスやその調査にも時間がかかる状況だった。

 「ここを改善するだけで、かなりの効果が出ることを確信した。逆に言うと、適切なシステムに変更すれば『いとも簡単に効果が出る』という見込みがあり、経営にもコスト削減効果を示して議論を進めていった」(若林氏)

 若林氏は、入社して4カ月目までにIT革新のロードマップを作成。そしてその4カ月後の2018年9月にはベンダー選定などのプロセスを一気に進めた。このとき、若林氏が重視したのは次の4点だ。

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