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» 2019年11月15日 08時00分 公開

レガシーシステムを捨てると失うもの大事なもの――挽回した3社の事例

令和の時代にも残る昭和の資産の中で、「無くしたいのに無くせない」メインフレームやオフコンなどのレガシーシステム。マイグレーションのポイントは「バッチ処理」にあった。

[土肥正弘,ドキュメント工房]
10月17日に開催された「アシストテクニカルフォーラム2019 in 東京」に登壇したアシスト 情報基盤技術統括部 技術3部 宮本玲氏

 メインフレームやオフコンといったレガシーシステムを、オープンシステムに移行させる「レガシーマイグレーション」。しかし、大量データを扱う一部のミッションクリティカルな基幹業務のためにレガシーシステムを撤廃できない、とITのモダナイゼーションに苦労するケースは珍しくない。変化への対応が難しく運用コストもかかるレガシーシステムの撤廃とITの刷新を成功させるにはどうしたらよいのか。

 アシストの情報基盤技術統括部でETL(Extract、Transform、Load)やデータ連携領域の経験を積んだ宮本玲氏は「モダナイゼーションの成功にはバッチ処理にまつわる課題の解決が不可欠」だとアドバイスし、レガシーの撤廃を実現した3社の事例を交えながらモダナイゼーションのコツについて紹介した。中には「ある方法」によってJavaやPL/SQLによるバッチ開発よりも6倍以上の処理性能を実現したケースがある。その方法とは。

レガシーシステムのオープンの難敵がバッチ処理プログラム

 メインフレームやオフコンのメリットは、大量データの一括処理(バッチプログラム)を時間内で完了できる性能と、障害が少ない安定性や信頼性だ。さらに、ベンダーがハードに最適化されたOSやアプリケーションを一貫して提供し、手厚く運用をサポートするというメリットもある。

 一方で、運用コストは高止まりし、年を追うごとにレガシーシステムの知見を持つ開発技術者も減るため、維持はますます厳しくなる。長年の機能追加によってプログラムも複雑化し、改修するにも膨大な時間やコストがかかる始末だ。

 WindowsやLinuxをOSとするオープンシステムのメリットは、開発技術者を獲得しやすく、各種パッケージの適用も含めて簡単にシステムを改修、拡張でき、比較的少ないコストで運用可能なことだ。

 しかし、ベストオブブリード(複数ベンダー製品の組み合わせ)で構成されるオープンシステムは、単体では処理性能、安定性、信頼性の面でレガシーシステムに劣ると言われる。

 マイグレーションも簡単ではない。レガシーシステムのプログラムをそのままオープン系言語に置き換えるリホスト(業務要件やアプリケーションを変えずにそのままオープン系サーバに移行)方式では、移行は比較的容易でも改修や機能追加が難しい。リライト(アプリケーションをJavaなどで書き換える)やリビルド(業務ロジックも含め新言語で完全に書き換える)を実施すれば変化に対応しやすくなるものの、技術習得の期間や開発コストがかかる。言うまでもなく、どの方式でも開発人員の確保が課題だ。

バッチ処理における課題解決のポイント

 宮本氏は、「ITモダナイゼーションではオープンシステム移行後の『処理量の多さ』『時間内に処理を完了できること』『ミッションクリティカルな業務への対応』を考える必要があり、一方で『変化への対応』『運用コストの削減』『人材の有効活用』という期待にも応えなければならない。これらを満たすために、バッチ処理の性能と安定性、生産性の確保が不可欠だ」と課題を整理する。

図1 バッチ処理の課題解決のポイント

 具体的には何をしなければならないのだろうか。

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