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» 2019年09月25日 08時00分 公開

電子帳票に挑む、ある中小メーカーの取引先を巻き込んだペーパレス計画

発注書や請求書、伝票などの電子帳票化が進んでいる。しかし、帳票の電子化を進めようとなると突き当たるのがシステム周りの問題だ。中小企業は大手企業ほどの予算も人材もない。本記事では、ある中小企業の事例を基にスグに始められるカンタン電子帳票化メソッドを紹介する。

[林 雄次,はやし総合支援事務所]

 管理業務について回るのが帳票の作成業務です。ペーパレス化にも徐々に注目が集まってはいますが、まだまだ紙の帳票でなければ業務が回らないという企業も多いはずです。そこで、今回は賢い帳票業務効率化の方法について説明したいと思います。

著者プロフィール:林 雄次

大学卒業後、大塚商会に入社しシステムエンジニアとして多数のシステム開発プロジェクトに携わる。在籍中に社会保険労務士(社労士)や行政書士、ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士などの資格を取得、その後社労士として独立。現在は、企業の顧問や人事、労務管理といった社労士業を事業の中核としながら、エンジニアの経験を生かしkintoneを活用した業務改善コンサルタントとしても活動。中小企業から大企業まで、多くの顧客企業で業務改善の相談役として活躍。「CYBOZU AWARD 2018」で表彰経験を持ち、「kintone認定アプリデザインスペシャリスト」を保有。


受注はもっぱら電話かFAX、アナログな現場にうんざり

 ペーパレス化の意識が高まってきたとはいえ、まだまだ社内書類は紙文書が中心です。「すぐに取り出せて見られる」「書き込みができる」など紙ならではの利便性がある半面、「安全に保管するスペースが必要」「修正が発生するたびに再作成が必要」「持ち運ぶ時に紛失、情報流出リスクがある」といった取り扱いが面倒な点もあります。また、「取引先ごとに専用フォーマットで帳票を作成する必要がある」「取引先によっては、紙の書類を郵送しなければならないものもある」といった問題もあります。

 こうした帳票関連業務を効率化する方法はないものでしょうか。私が案件に関わったある中小企業メーカーも帳票業務の効率化に頭を悩ませていました。

ある中小メーカーでは顧客からの発注依頼を電話やFAXで受けていた。営業担当者が発注情報を確認した後に顧客へ発注確定の連絡をし、その都度受注管理システムに情報を入力していた。その情報を請求管理表に入力し、商品の納品後はExcelの請求書フォーマットを基に請求書を作成、出力して顧客へ送付していた。追加注文が発生すれば、同じ手順を繰り替えさなければならず、それが現場の負担となっていた。

 フローの多くで人による作業が介在していることが非効率な業務となっている根本原因であると考え、「受注作業を電子化してみては」と提案しました。しかし、既存のソリューションを入れられるほど予算に余裕があるわけではありません。そこで、kintoneを使って発注管理アプリを作成し、取引先も巻き込んだ受発注処理の電子化を進めることにしました。

 kintoneをベースに受発注アプリを作成し、取引先にゲストアカウントを発行しました。今まで電話やFAXで発注していた取引先へ、これからは発注管理アプリを通して発注するよう依頼しました(図1)。

図1 発注アプリの注文入力画面

 取引先はドロップダウンリストから注文したい商品を簡単に選択できます。アプリ開発以前は、受注の際、商品名が間違うといったことが起こり、受注処理にも影響を与えていましたが、そういったことも防げます。繰り返し注文の場合は、前回の注文内容をコピーし、数量や納品日を変えてもらうだけです。

 注文アプリから発注があれば、営業担当者にその旨が通知され、営業担当者が確認することで受注が確定します。従来は紙で送付していた請求書も、データで簡単に送付できるようになりました。

 取引先からは、機密情報を取り扱うだけにセキュリティ面を心配する声も寄せられましたが、kintoneでアクセス権限を細かく設定できるため、利用許可のないユーザーはログインできないように設定できます。また、取引先ごとに閲覧可能な情報を制限できるため、見えてはいけない情報が第三者に見られることもありません。

図2 ユーザーごとの権限設定画面例

問題は取引先の個別要件にどう対応するか

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