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» 2019年08月09日 08時00分 公開

“ポケモン”の管理はもう限界……G ドライブでもファイルサーバでもなくBoxにしたワケ (1/2)

ファイルサーバでのデータ共有に限界を感じていたポケモンのBox導入の裏側を同社のIT部門が明かした。Boxと連携すると便利な外部ツール、複数のクラウドストレージの使い分けといった「試行錯誤の上で見いだした」ポイントも伝授する。

[土肥正弘,ドキュメント工房]
2019年7月23日の「Box World Tour Tokyo 2019」に登壇したポケモン 関 剛氏

 数十TBにも上るポケモンキャラクターのデータをどう管理し、共有するのか――この課題をクラウドストレージによって解決しようと挑むポケモンは、「G Suite」ユーザーでもあるにもかかわらず、「Googleドライブ」ではなくあえて「Box」を導入した。なぜオンプレミスのファイルサーバや「Google ドライブ」ではいけなかったのか。そんな疑問に同社のエンジニアが答えた。

■記事内目次


グローバルに広がる顧客やパートナーとの情報共有が課題

 ポケモンは、ポケモンキャラクターの知的財産権を保有、管理する「ポケモンプロデュース」会社。スマートフォンゲーム「Pokemon GO」の例をはじめとして、ポケモンキャラクターを国内外で活用してもらえるよう取り組む。

 同社は大量のキャラクターデータの管理、共有に頭を悩ませていた。例えば、ピカチュウの画像、映像データは、表情や動作、シチュエーションでデータを分け、それぞれ個別にファイルに収めているが、一つ一つのデータサイズが大きく数も多い。同社は世界に顧客とパートナー企業を抱え、頻繁にデータのやりとりをするが、「海外の顧客へ40GBもの大容量ファイルを送らなければならないときもあります」と同社IT部門の関 剛氏(開発事業本部システム部/開発プロデュース部 テクニカルディレクター インフラエンジニア)は話す。

 従来、社内外でのファイルのやりとりは、オンプレミスのデータ共有専用ファイルサーバを利用していた。ZIPファイルをメールに添付することもあったという。

 ファイルサーバ運用の問題点は、故障時対応の負荷とバックアップなどの運用管理だ。故障が発生するとベンダーへの連絡やデータセンターへの入館申請などの手間がかかる。また数十TBに及ぶデータのテープバックアップには所要時間がかかり、ディスクでバックアップしようとすればコストがかさむ。ストレージやサーバを拡張する際のサイジング設計にも工数がかかっていた。

 またメールでのZIPファイルのやりとりは、データを一元管理できず、やりとりの証跡も管理できない。別メールでパスワードを通知する運用は従業員の手間になるだけでなく、機密保持という観点で不安がある。また、一時的なデータ置き場として外部へデータ送受信専用のサーバも用意していたが、ユーザーアカウントの管理やパスワードリカバリーなどのサポートに負荷がかかっていた。

「当社ではプロジェクトごとに複数の取引先があり、新規の取引先も増加しています。グローバルに広がる顧客やパートナー企業と、簡単でセキュアにファイルを共有する方法が求められていました」(関氏)

Google ドライブには権限管理とデータ移動時のエラー対応の課題が

 ポケモンは業務プラットフォームにG Suiteを利用していたため、Google ドライブは利用できる環境にあった。データセンタークラスの品質の1Gbps専用線を用いており、社外ネットワークとの接続にも不安はない。そこで、当初はオンプレミスのファイルサーバをGoogle ドライブに移行したいと考えた。しかしGoogle ドライブは、同社のニーズに合わない部分があったという。

 例えばGoogle ドライブの権限管理は、ファイルのオーナーが共有を許可する仕組みだが、同社は異動が頻繁にあり、その度にオーナー権限を他の人に委譲しなければならない。これをファイルごとに行う手間と時間が問題だった。

 個人用の「マイドライブ」から「共有ドライブ」にデータを移行する際に、処理の進行を示すプログレス表示がなく、エラーが起きても分からない。さらに容量制限も問題になったという。

 「Google ドライブは、ファイル数にして40万ファイルまで、ファイル階層は20階層まで、データのアップロードは1アカウント当たり1日に750GBまでという制限があります。通常の運用ではそこまで問題になりませんが、IT部門のサポートが必要な際に、すぐに対応できなかったり手間がかかったりすることがありました」(関氏)

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