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消費増税対策「ほとんどできていない」業界が明らかに

帳簿の変更、インボイス制度、軽減税率対策………。消費税のルール変更まであと約2カ月。対策はどのくらい進んでいるだろうか。アドビ システムズの調査から、現段階の対策状況はまだ不十分であることが明らかになった。さらにその中でもある業界の対策が遅れているという。

» 2019年08月05日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 あと2カ月弱で消費税の仕組みが大きく変わる。軽減税率やインボイス制度など、聞くだけではややこしいと感じる仕組みが多い。

 請求書発行や決済などの業務に関わる変更が大きいことから対策が急がれるが、現段階で対応が進んでいる企業の割合は意外と低い状況が明らかになった。中でも、最も影響を受けそうな業界に大きな課題がある状況だ。

 本稿ではその調査結果を基に、消費増税対策の現状を紹介する。

増税の対応業務、一部の業界は7割近くが不安を表明

 アドビ システムズは「消費税増税に伴う業務に関する実態調査」を発表した。調査は2019年6月13〜14日、インターネット調査形式で実施されたもの(回答数:1023)。

 それによると、消費税増税に伴う業務対応に不安を感じるかを問う質問では、不安を感じるとした割合は47.5%と、半数以下だった。ただし、業種別で見ると、小売業では不安を感じるとした回答が65.0%と、全体よりも7.5ポイントも高くなった。

不動産業界で対応が進む一方、対応が遅れる業界も

 次に、消費税増税への対応の進捗(しんちょく)状況を聞いたところ、全体で見ると34.3%が「全て対応した」「だいたい対応した」と回答した。こちらも業種別で見ると、不動産業では「全て対応した」「だいたい対応した」が55.3%となり、対応が最も進んでいることが明らかになった。

 一方で「あまり対応できていない」「全く対応できていない」と回答した割合が最も高かったのは業界もある。

 調査を「小売業」に絞ってみていくと、「あまり対応できていない」「全く対応できていない」と回答した割合が60.0%と、全体と比較して25.7ポイントも高い状況が明らかになった。増税対策に最も“不安を感じている”とした業種が、最も対応が遅れている状況が見て取れる。

 

増税対策で、皆が「対応が必要」と考える業務はどれか

 「対応が必要な業務」を聞いたところ、契約書や請求書などの「書類」が61.7%と最多で、「情報システム」(51.8%)が続いた。

 業種別では、金融業で、「情報システム」「印刷物」「書類」「Web コンテンツ」で全体平均よりポイントが高くなった。

レジの改修だけでは不十分 増税対策はデジタル化と業務改革のチャンスにもなる

 アドビ システムズの秋田夏実氏(マーケティング本部 バイスプレジデント)は、消費税増税対策に必要なのは情報システムの改修だけでなく、「申込書や申請書の対応も重要と受け止められている」と分析、「政府は軽減税率対策補助金制度やレジ買い替え補助を促進するものの、小売業における消費税増税対応の遅れが目立つ」と指摘する。

 契約書や請求書といった書類はもちろん、印刷物やWebコンテンツなど、増税対応に必要な業務は業種によって異なるが、「書類をデジタル化することでコスト削減と業務効率を向上するDocument Cloudをはじめ、アドビの多岐にわたるソリューションで、あらゆる業種のニーズにこたえるべく今後も努めてまいります」(引用ママ)とコメントした。


 消費税増税まであと約2カ月だ。軽減税率対応用の助成制度や説明会もいよいよ本格的に開催される。短期間で導入できるクラウド型のシステムも増えていることから、システムや帳票でも今からでも対策できることは少なくない。情報収集に取り組んでほしい。

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