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「Windows Virtual Desktop」とは? Horizon Cloud on Azureと何が違う? クラウドVDIの選び方ガイド(1/2 ページ)

2019年後半にもGAが予定されるマイクロソフト純正のマネージド型VDI「Windows Virtual Desktop」に注目が集まる。Windows 10やOffice 365ユーザーにとって見逃せない機能も多い。何ができて、どう使えるか、「VMware Horizon Cloud on Azure」「Citrix Cloud」「Amazon Workspaces」と何が違うのかを整理しておこう。

» 2019年07月01日 08時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 オンプレミス型VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラ)の欠点を解消する「クラウドVDI」や、クラウドVDIを「as a Service」で利用できるDaaS(Desktop as a Servece)が増えてきた。この分野では「Amazon Workspaces」が先行する状況が続いたが、2018年11月にMicrosoftが「Windows Virtual Desktop」(本文はWVDと略記)を発表した。これをきっかけに、多くの企業が実践的なクラウドVDIの選択肢として注目しつつある状況だ。WVDの本格的な市場展開が始まるのは2019年年後半と目されることから、今のうちにクラウドVDIの気になる比較ポイントをチェックしておこう。

注:本稿はパブリックプレビュー版WVDの情報を基に提供ベンダーおよび先行レビュー実施各社の情報を基に解説する。GA版における各種対応状況などは公式情報を確認してほしい。


Windows Virtual Desktopとは

 2018年11月に発表されたWVDは、端的に言うとWindowsのVDIを「Microsoft Azure」から提供するマネージドサービスだ。Microsoft Azure基盤でマルチセッションの「Windows 10」、Windows 10と高速に接続できる「Office 365」や「Office 365 ProPlus」、リモートデスクトップサービス(RDS)をまとめて利用できる。WVDは「Microsoft 365」(E3、E5、F1)や「Microsoft 365 Business」、「Windows 10」(E3、E5)のライセンスを保有していれば追加のライセンス費用がかからず、Azureの利用料金だけで利用できるため、VDI導入検討企業にとってコスト面でも運用面でも利点が多いと目されている。

 2019年3月にはパブリックプレビューが始まっており、フィードバックの反映を待って今後数カ月程度で正式リリース(GA)が予定されている。

VDIのメリット/デメリット、DaaSとパブリッククラウド型VDIの違いは

 一般的に見て、企業がVDIを利用する際の主なメリットは次のようになるだろう。

  • セキュリティ:クライアント端末側にデータが残らず、情報漏えいリスクを抑えられる
  • 管理機能:クライアント運用管理負荷が管理ツールで軽減できる(特にアカウント管理とライセンス管理)
  • DR、BCP対策:拠点設備・施設が災害などで利用できなくなっても、業務を継続できる
  • モバイルワーク・テレワークの利便性:社屋外からのシステム利用が簡単になる(働き方改革への貢献)

 VDIはOSやアプリケーション管理、運用管理(バックアップなど)を一括して実行できるため、セキュリティやコンプライアンス面でメリットが大きい。このため企業は「VMware Horizon」などを使って自社クラウド基盤にVDIを構築して運用することが多い。この際の「運用」の手間を効率化する目的でVDIをマネージドサービスとして提供する「DaaS」(Desktop as a Service)も誕生した。「Amazon WorkSpace」「Citrix Workspace Services」「VMware Horizon Cloud on Azure」(以下、Horizon Cloud on Azure)などが該当する。 中でもパブリッククラウドで提供するVDIとしてAmazon Workspacesと真っ向から対抗するサービスともいえるのがWVDだ。

Windows Vitrual Desktop(WVD)とは何か

 そもそもWVDが2020年10月に予定される「Windows 7」「Windows Server 2008/2008 R2」のサポート終了および同年10月の「Office 2010」のサポート終了に向けた移行需要を強く意識しており、Windows 7についてはWVDを利用する場合に限って、延長サポートを3年間延長する。こうしたことからWVDはWindows系OSの利用者やWindows 7のさらなる延命を希望するユーザーにとってコスト効率のよいサービスといえる。ライセンス体系に加え「Office 365」サービスを提供するデータセンターとの物理的な近さも強みもある(Office 365サービスとの近さは「Horizon Cloud on Azure」も同様)。Officeのサポート切れへの対策としては、Office 365ProPlusライセンスが使える点も魅力だ。

 ここからはWVDが提供する機能を掘り下げてみよう。

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