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» 2019年06月19日 08時00分 公開

5G+IoT+高精細映像が創る「スマートハイウェイ」 (1/2)

渋滞なく、安全で効率よく、しかも快適なドライブができる高速道路。それが「スマートハイウェイ」だ。その実現のコア技術の1つがデータ通信技術。中でも最も期待が寄せられているのが5Gである。5Gがスマートハイウェイにどう組み込まれ、何が実現するのか。その先端実証実験のあらましを紹介する。【訂正あり】

[土肥正弘,ドキュメント工房]

「スマートハイウェイ」って何?

 「スマートハイウェイ」とは、データ通信と道路交通の管制、渋滞検知・予測、その他、各種のITソリューションを利用して整備された、安全、快適で渋滞のないスムーズな交通インフラとしての高速道路のことを指す。物流や交通の合理化や快適性を追求して、各国が官民を挙げて技術開発を繰り広げている。

 国内では自動運転技術がクローズアップされることが多いが、道路や交通管制などの交通システムや、地図に各種観測情報や規制・工事情報をオーバーレイさせる「ダイナミックマップ」などの研究開発も地道に進んでおり、現在はセンサーネットワークを始めとする既存技術や新技術をどう組み合わせていくかが、研究開発の大きなテーマになっている。

スマートハイウェイ実現は「5G」をどう使うかがカギ

 これらの要素技術を接合したり連携したりする主役が、データ通信技術だ。スマートハイウェイの実現を考える際、無線通信の高度化は絶対に避けては通れない領域といえる。ここで「本命」と目されているのが5G通信だ。

 その5Gのスマートハイウェイへの適用について、2019年4月にソフトバンクとグループ内のWireless City Planningによる注目の実証実験結果が公表された。以下ではこの実証実験のあらましと意義について説明する。

 今回発表された実証実験は3つある。いずれも5Gの特徴である以下が生かされている。

  • 「超高速」(eMBB:enhanced Mobile Broadband)
  • 「同時多数接続」(mMTC:massive Machine Type Communication)

5Gはスマートハイウェイ実現にどう貢献できるか――以降でそれぞれの詳細を見ていく。

実証実験1:IoTで構造物を見守るリアルタイム振動監視

 同時多数接続が可能になる点は、IoTが活用できる絶好の場面だろう。実はハイウェイに限らず、交通領域において喫緊の課題となっているのが、橋やトンネルを含む道路構造物の老朽化への対策だ。2012年の笹子トンネル天井板落下事故はまだ記憶に新しいが、これを契機に橋やトンネルを対象に5年に1回の近接目視による点検が法令で義務付けられるようになった。しかし、5年の頻度で十分なのか、万一崩落や損壊が起きたときに迅速な対応が可能なのかといった不安が残る部分だろう。その不安解消と定期点検/常時監視のコストダウンに役立つのが、各種センサーによるリアルタイム監視である。

 今回の実証実験では、高速道路の橋桁と橋脚が接する制振ゴムの周囲に1箇所に3台の加速度センサーを取り付け、5G通信でデータを収集する試みが行われた。愛知県の衣浦豊田道路牛田料金所付近の高架橋梁でリアルタイムに収集したデータからは、遠隔地からでもセンサーが設置された場所の振動特性が観測できた。平常時の振動特性をベースにして、劣化や損傷などが生じた場合の振動特性を異常値として検出できることで、地震などの災害発生時の異常が速やかに把握できるだけでなく、特性変化を通して劣化状態の推測も可能になるかもしれない。加速度センサーに加えて騒音・CO2・PM2.5などのばいじんセンサーなどの併設も可能であり、環境影響も監視できるようになる。

図1 橋桁と橋脚の接合部に5G−mMTC無線機搭載の加速度センサーを設置 図1 橋桁と橋脚の接合部に5G〜mMTC無線機搭載の加速度センサーを設置

 そもそもは定期点検の人的負担を軽減する目的があり、今回の仕組みを応用することで定期点検そのものの合理化にも役立つものになる。

「グラントフリーアクセス」と「NOMA」

 今回の実験で技術的に確認されたのは、多数同時接続のカギとなる「グラントフリーアクセス」と「NOMA」の2つの新技術だ。

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