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» 2019年04月17日 08時00分 公開

老舗百貨店1万2000人へのG Suite導入 担当者が奮闘した4年間の記録 (1/4)

ある老舗百貨店企業は、新たな目標に向かい大きく変わろうとしていた。だが現場を見ると課題山積。現場環境を改善するため、15年間使い続けたグループウェアをG Suiteに刷新した。なぜ今までのものとは機能も操作性も違うG Suiteを選んだのか。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 大丸や松坂屋、パルコ、最近ではGINZA SIXの開店が記憶に新しいJ.フロントリテイリング。同社は、従来の小売業にとどまらず不動産事業やクレジット金融事業、人材派遣事業の強化、幼児保育事業への参入など、複数事業を展開する「マルチサービスリテイラー」へ転換しようとしている。

 そのためには、従業員一人一人が会社の進む方向を理解し、従業員同士で情報を共有しながら積極的にコラボレーションするなどして、組織全体で取り組む必要があった。だが、現場を見るとそれどころではなかった。コミュニケーションはまだ電話やメールを使ったやりとりで、情報の共有はもっぱら紙資料。従業員のメールボックスは容量が少なくいっぱいになりがちで、すぐに送信制限がかかる状態だ。ファイルサーバもこまめに過去のデータを消さなければ使えないほどだった。

 いくら新しいチャレンジを掲げても、毎日がこの状態では何も変われない。そこで、まず現場の業務環境を変えることから始めた。目を向けたのはAI(人工知能)といった今はやりの技術などではない。業務の中でも基本的なツールであるグループウェアだ。

 J.フロントリテイリング 新しい幸せ発明部 新規事業担当の土屋真弓氏は、組織と現場に挟まれながらも、1万2000人が利用するグループウェアの刷新に関わった。しかし、刷新までの道のりは決して平たんな道ではなかった。土屋氏は直面したプロジェクト課題に対して、どう乗り越えたのか。

輝かしい将来像を描くも、現場を見ると……

 J.フロントリテイリングでは、社内デジタル化の取り組みは後回しにされていた。使っていたグループウェアは15年間使い続けてきたもので、保守契約もすでに終了していたものだった。1人に割り当てられたメールボックスの容量も少なく、こまめにメールの情報を整理しなければならなかった。これが、従業員にとって1つのストレスになっていたようだ。

 当時のグループウェアにはメールやスケジューラー、掲示板といった必要最低限の機能しか備わっておらず、今は業務でも当たり前の様に使われているチャットツールや共有ドライブなどもない。コミュニケーションは常に電話かメールだった。データの共有が必要なときは、メールにデータを添付して共有するといった場面も日常的に見られた。

J.フロントリテイリング 土屋真弓氏 J.フロントリテイリング 土屋真弓氏

 昔から強く残っていた紙文化も問題の一つだった。会議や朝礼、打ち合わせに使う資料は全て紙文書。従業員の机は常に資料であふれた状態だったという。

 現場にこうした問題がある中、今から約4年前の2015年に土屋氏は今の事業部に配属となった。当時の状況を土屋氏は次のように語る。

 「グループウェア、メール、情報共有と幾つかの課題がある中で、特に保守切れのグループウェアを使い続けるのは大きなリスクになり得ると感じました。前任者も同様に考えリプレースを訴えていましたが、売り場や顧客向けサービスなどへの投資が優先され、バックオフィス系のシステム改善はなかなか前に進みませんでした」(土屋氏)

 そして土屋氏は数年前から続くグループウェアのリプレース問題を引き継ぐこととなり、「今度こそは」とリプレース実現に向けて動いた。

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