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» 2019年04月15日 08時00分 公開

強制シャットダウンシステムは効果あり? メリットや選定ポイント、定着のコツ (4/4)

[小池晃臣,タマク]
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イトーキ 「説明会を重ねて現場の理解を得る」

 オフィス設備機器大手の同社は、長時間労働の早急な改善が課題となっていた。従業員の労働時間に対する意識が管理職を含めて希薄であり、仕事を抱え込んでしまう従業員も見受けられたという。そこで同社は、勤務状況を可視化して適正な労務管理を実現するためにタイムクリエイターの導入を決めた。

 スピード感を重視し、導入決定からわずか2カ月程度で全社員のPCへの展開準備を完了した。施策はトップダウンであったが、人事部門の導入担当者も現場を回り、全従業員を対象に説明会を行って理解を得ていった。コンプライアンス徹底が急務であることを前提に、長時間労働の改善や組織マネジメントの強化につながるという意図を繰り返し説明したという。

 同社では、制度面の施策とあわせて社員1人当たりの年間残業時間を5%強短縮することに成功している。管理職のタイムマネジメントに対する意識も芽生え始め、従業員の間でも質を落とさず仕事を効率化する意識が広がり、働き方改革のきっかけになった。

北野建設 「80時間以上の残業がほぼゼロに」

 総合建設会社の同社は、社員の過重労働を抑止することが喫緊の課題だった。従業員は複数の建設現場に分かれて勤務しているため、勤務状況の把握が難しい。また、従業員たちが品質の高いモノづくりを目指すあまり、残業は仕方ないという意識が根付いていた。

 タイムクリエイターの導入時は、部門ごとにマニュアルを作成したうえで、説明会も実施。勤務時間を超過した場合に、PCをシャットダウンするのか、それとも警告だけに留めるかについては部門によって意見が分かれたが、きめ細かく社内の意見調整を行い、最終的にシャットダウンを行う方針に決定した。その結果、80時間以上残業する従業員はほぼゼロになるとともに、3割以上の社員が前年比で10%以上の残業時間短縮を達成した。従業員の間にも、勤務終了時間に仕事を終了させようという意識が定着している。

いなば農業協同組合  「柔軟な強制シャットダウンの導入」

 地域農業活性化、農産物の開発・販売、農業生産資金や生活資金の貸し付けなどの事業を手掛けるいなば農業協同組合(以下、JAいなば)は、時間外労働の削減を課題に挙げていた。勤務終了時間に終礼を実施し、残業する場合は紙の書類を提出させて上司の承認を必須にするなどの取り組みを実施していた。しかし、なかなか定着せず、残業抑止効果が得られなかったという。そこで、定時以降のPC利用を制御するという方法に着目し、試験的にPCをシャットダウンするバッチファイルを導入した。しかし、設定した時間になるとすぐシャットダウンされる仕様だったため、「データが保存できない」など従業員から不満の声が上がった。

 そこで、より柔軟な運用が可能となるタイムクリエイターの導入に踏み切った。導入はスムーズに進んだが、ルール作りには力を入れたという。具体的には、定時である17時半までは自由にPCを使える設定とし、18時半から警告画面の表示を行う。そして、19時にシャットダウンを実行。20時以降は承認の有無にかかわらずPCが使用できないようにした。こうした取り組みが、残業抑止につながっているという。

ツールの導入と並行して何をすべきか

 強制シャットダウン機能の導入で成果を上げている企業では、システムをただ導入するだけではなく、どのようにツールを活用するのかを社内で話し合い、新たに必要となる制度やルールの整備も行うことで、大きな効果を得ている。働き方を見える化することにより、上司と従業員がコミュニケーションをとり、残業に対する意識改革を行うなどのアプローチにも注力する。ルールや制度、意識や風土の面での改革も併せて行い、ツールを1つの手段やきっかけとして捉え、うまく活用することが重要だ。

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