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» 2019年02月04日 10時00分 公開

RPA×AI連携を数クリックで――Connected-RPAが実現する世界エバンジェリストが教える、RPA成功の絶対条件(3/3 ページ)

[志村裕司,Blue Prism]
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SAPの2025年問題、RPAが解決策に

 最後に、今後RPAのトレンドになりそうな考え方をお伝えしたいと思います。SAPの2025年問題はご存じでしょうか。2025年にSAP ERPの標準サポートが終了するため、SAPユーザーはそれまでに新バージョンのSAP S/4HANAに移行しなければなりません。

 そのとき、過去にアドオン開発した資産を全て見直して、プログラムの改修を行ったり、これを機に作り直したりする必要があります。プロジェクト全体で数十億円単位の話になることも多いため、SAPの移行はCIO(最高情報責任者)の大きな関心事になっています。コンサルティングファームやシステムインテグレーターは、これを商機とばかりにSAPユーザーにさまざまな提案を行っていますが、既にSAPエンジニアが足りない状況が発生していると聞きます。

 ガートナーが2013年に提唱した、SAPのベスト・イン・クラス戦略というものがあります。簡単にいうと、SAP製品群で全てのレイヤーをまかなうのではなく、SAP以外の最適な製品を組み合わせて要件を実現するという考え方です(ベストオブブリード戦略という言い方のほうが一般的かもしれません)。

 差別化システムのレイヤーは、従来SAPのアドオン開発で実装するのが一般的でした。しかし2013年からさらにテクノロジーが発展した現在においては、わざわざアドオン開発をしなくても、RPAで多くの要件を実装できます。

 専用画面や専用ロジックをアドオン開発すべきか、それともSAPの標準画面とExcelを使ってRPAを活用しながら要件を実装すべきかの判断基準を紹介しましょう。例えば、大量データを処理するのに時間的な制約があるか、単価の高いSAPエンジニアに開発コストや将来の保守コストを支払ってでも十分な効果が見込めるか、要件の変更が発生する頻度が低いか、などを検討してみてください。これらが全て「Yes」ならアドオン開発を選択します。

 SAPの移行時に、再びアドオン開発するのかRPAで実装するのかをうまく使い分けることで、コストとメンテナンス性を最適化したアーキテクチャを描くことができます。SAPエンジニア不足の解消にもつながるでしょう。これはまさに「SAPの新しいベスト・イン・クラス戦略」と言ってもよいと思います。これからSAPの移行プロジェクトをリードされる方は、ぜひこの観点をもって、RPAも手段の一つとしてご活用いただければと思います。

 なお、この考え方はSAPに限らず、全ての基幹系システムに適用できます。移行時に限らず、定常時にも応用が可能です。例えば、長年運用してきたメインフレームはちょっとした改修でも多額のコストがかかるため、なかなか手を入れづらいでしょう。そこで、人の手足としてRPAを動かすことで、システム自体を改修することなく変更要件やシステム間のデータ連携を実装できます。今後、Blue Prismのような堅牢なRPAプラットフォームが、企業システムのさまざまな場面で、まるで潤滑油のような活躍を見せてくれるでしょう。


 以上で全5回の連載を終了させていただきます。連載では、RPAを成功させるために必要な視点や考え方、実際のツールの機能に関して紹介してきました。これらを心にとめて、少しずつでもRPAの活用を全社に広げられれば、大きな成果を得られるでしょう。決して簡単な道のりではありませんが、この連載に関心を持って読んでくださった方々は、既にRPAを成功させるための一歩を踏み出していると思います。本稿で紹介したことが、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。これまでご覧いただき、ありがとうございました。

企業紹介:Blue Prism

RPA(Robotic Process Automation)ソリューション、「Blue Prism」を提供する企業。2001年に創業以来、RPAのパイオニアとして、約15年にわたり世界中の企業における新たな働き方の実現を支援してきた。「エンタープライズRPA」というコンセプトのもと、拡張性、耐障害性、セキュリティ、コンプライアンスといった機能を提供し、クラウドやAI(人工知能)との連携もサポート。Coca-Cola、Pfizer、IBM、Nokia、Siemens、Zurichといった有名企業で多くの実績を持つ。

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