連載
» 2019年02月01日 10時00分 公開

分かったつもり? AI画像認識:AIがミスリードする“人件費”にまつわる誤解

AIを導入すればすぐに人件費を削減できると思っている、AIに仕事を奪われるとやみくもに恐れる――こうした間違いによって、AI画像認識の導入は頓挫してしまいます。その理由とは?

[中尾雅俊, 矢嶋 博,パナソニック ソリューションテクノロジー]

監修:中尾雅俊

パナソニック ソリューションテクノロジー AI・アナリティクス部ソリューション推進課 主事

2017年にNVIDIAとの協業を担当したことを皮切りに、AI・データ分析中心の業務を推進。初期投資や導入リスクが大きい、「人工知能の現場導入で失敗させない」活動としてセミナー講演など多数実施。受講者からは、「AIがよく理解できた」「そんなノウハウを話しても良いの」と心配されるほど。最近の趣味は実用を兼ねたDIYや果樹菜園など。

監修:矢嶋 博

パナソニック ソリューションテクノロジー 産業IoTSI部ソリューション推進課 係長

製造業向け「AI画像認識ソリューション」のSEとして、営業支援やPoC推進を担当。ソフトウェア開発からITインフラ構築まで、これまでの幅広い経験を生かし、AI画像認識システムの提案から導入、AI学習トレーニングまでを手掛けている。趣味の風景や家族写真撮影に加え、学習用画像収集をライフワークにしている。

 AI画像認識を製造現場に適用する上での留意点や手法を解説する本連載。前回に引き続き、AI画像認識の導入を巡り、企業が陥りやすいミスジャッジについて取り上げます。

         よくあるミスジャッジ
ミスジャッジ(1) AIなら何でもできると思い込む
ミスジャッジ(2) AI画像認識で人件費が削減できると思い込む
ミスジャッジ(3) 画像データ収集の当てなくAI画像認識の導入を決める
ミスジャッジ(4) 頭脳の発育を外部ベンダー任せにする
ミスジャッジ(5) のちのシステム化の構想なくAI画像認識の導入を決める

 今回は、このうち「AI画像認識で人件費が削減できると思い込む」というミスジャッジについて説明します。

AIは人の仕事を奪うのか?

 AIは、いずれ人の仕事の多くを奪うだろう──そのような記事をメディアの間でよく目にします。例えば、半導体の組み付けや自動車の組み立てなどが、人から産業用ロボットに置き換えられたように、現在は人でしか行えないような作業が、早晩、AIで自動化されるというわけです。そういった事態が一部の現場から始まり、徐々にその範囲が拡がることは否定のしようがありません。

 だからと言って、AIの最初の導入目的を「人件費の削減」に定めるのは賢明な選択とはいえません。また、私たち自身も、必要以上にAIを恐れる必要もありません。

ミスジャッジ(2)AI画像認識で人件費が削減できると思い込む

 例えば、製造ラインの中で1人の方が検品を担当しており、その方の代替としてAI画像認識を機能させる例で考えてみましょう。この場合、人件費削減(人をゼロにする)を達成するには、AIが「全ての検査項目に対して認識率100%」を実現しなければなりません。

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