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» 2019年01月23日 08時00分 公開

事例で学ぶ! 業務改善のヒント:たった4人で5000人を“やる気”にするサイバーエージェントの人材管理テク (1/3)

成長を続けるサイバーエージェントを支えているのは、何よりも「人」の力だ。同社は常に従業員のコンディションを考え、一人一人の才能を開花させる取り組みを行うという。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 「Abema TV」「Ameba」「AWA」といったメディア事業やインターネット広告、スマホゲームなどインターネットやモバイルを軸に幅広いサービスを展開するサイバーエージェントは、現在100を超えるグループ会社を抱え、全体で約5000人の従業員を擁する。そのビジネスを推進するのは何よりも「人」であり、同社はビジネスと同様に人材マネジメントにもコストと時間、労力を注ぐ。そう考える同社が有効な人材マネジメント施策を考える上で、軸にしていることがある。それが以下の3つの項目だ。

  • 顔と名前を知ること
  • 従業員と組織の“コンディション”を知ること
  • 常に従業員の才能が開花する場所を考えること

 この3つを指針とし、サイバーエージェントグループの人材マネジメントを支えるのが、人事戦略本部に配置された専門組織「キャリアエージェント」だ。適材適所の人材配置や育成といった人事戦略に関わる業務を一手に担い、経営層や事業部門と連携を取りながら、社員一人一人の能力を最大限に引出すための人事戦略を担う中枢部門である。このキャリアエージェントはどのような人事戦略を実行しているのか。以上の3つの指針を基に説明しよう。

人事データに従業員の「顔写真」が必要なワケ

 役員会議といえば、経営情報や事業戦略を中心に進められるのが一般的だが、サイバーエージェントはそうではない。同社の役員会議で使われる資料の約半分は人事情報で占められているという。なぜなら、事業戦略だけではなく、「誰が事業の責任者を務めるか」「どういう人事体制でプロジェクトを進めているか」など適切な人材配置を考えることも重要だと考えるからだ。

 そのために使われるのが、顔と名前を一覧表示させた同社独自のリストである。これは人材管理ツール「カオナビ」の機能の一部である「シャッフルフェイス」を利用して作成されたもので、入社年次とグレード(評価)などの人事情報と、顔写真と氏名などの従業員情報がクロス表示されている。このリストを活用して、新規プロジェクトを立ち上げる際のメンバー選出や、メンバーが今よりもパフォーマンスを発揮できる部署はどこか、といったトピックが経営会議で議論される。

 だが、ここで疑問なのが人材配置を議論する上で、なぜ従業員の顔が見えることが必要なのかということだ。この点について、サイバーエージェントの人材戦略本部 キャリアエージェントに属する大久保 泰行氏は次のようにコメントする。

 「経営層と適材適所の人事配置を議論する際は、単なる組織図やメンバー一覧リストだけでは不十分です。重要なのはそれぞれの『顔』が見えることです。当社は5000人の従業員を擁するため、経営層は従業員の顔は覚えていても、名前が出てこない場合もあります。そのため、氏名だけが一覧表示されたリストでは話が前に進まないのです。不確かなまま議論を進めると、人材配置の判断を誤る恐れがあります」

 この考えによって、サイバーエージェントの経営会議では、必ず顔と氏名を一覧表示した独自リストが使われる。従業員の顔を基にした人材管理といえば、今では企業規模関わらず多くの企業で導入されている「カオナビ」がある。実は、これはもともとサイバーエージェントがカオナビに開発を依頼したことで生まれたものだ。

 サイバーエージェントが人事議論に従業員の顔写真が必要だと気付いたのは2010年頃のこと。最初は、労務チームが人事データベースから顔写真を取り出し、手作業で顔と氏名を載せたリストを作成していた。この作業を省力化するため、同社はカオナビに「顔が見られる人事管理システム」の開発を委託した。それが、今の「カオナビ」の原型である。

 サイバーエージェントは、現在でもカオナビの「シャッフルフェイス」を活用している。社員の顔写真と名前、入社年次や評価(グレード)などさまざまな軸でクロスしたマトリクスを表示できる。顔写真をクリックするとプロフィールが表示され、目的に合致するか否かを即時に判断できる。

図1:カオナビが備える機能「シャッフルフェイス」による社員のクロス集計リスト表示例 図1:カオナビが備える機能「シャッフルフェイス」による社員のクロス集計リスト表示例
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